174 / 186
第174話 蟲のダンジョン 中層①
しおりを挟む
それから安全地帯で”腐蝕”スキルを実験した。
効果は体験した通り、物質的なものすべてを腐らせ溶かすというものだ。
自身にも付与することができるが、付与しすぎると自分も腐って溶けるらしい。
『…自身への付与は辞めておこう。』
転移門を開通していわゆるセーブポイントを設置した後、11層に登った。
そこは洞窟の中のように狭い道が続いており、所々で岩が溶かされたような跡がある。
『ここの層の魔物は酸を使うのか…?』
岩がドロドロになるということは、かなりの強酸だ。
掠るだけでも身体が溶けるだろう…
『できれば対面は避けたいな…あ、そうだ。さっき思いついた戦法使ってみるか。』
俺は”レーダー”でこの層に俺以外の人族や魔族がいないことを確認し、そして毒魔法”デッドリーポイズンエリア”を11層全体に広がるように行使した。
そう、広範囲毒殺だ。
これならMPを結構消費するが、少し待つだけで魔物を一掃できる。
『我ながらえげつない戦法を思いついてしまった…』
待つこと数分
ステータスを眺めていると、経験値がどんどん流れ込んできた。
やっと毒が回って死んだのだろう。
『…よし、じゃあ進むか。』
少し直進すると、開けた場所に出た。
そこには蟻の魔物の死体がゴロゴロと転がっていた。
『なるほどな…あの強酸は蟻酸だったのか。』
便利な魔物スキルだったら”略奪”しようと思ったが、強酸を吐くという人間離れしたものだったので遠慮しておいた。
ということは、11層は巨大な蟻の巣状の場所ということだ。
そう考えると、穴を掘っているかもしれないので罠を警戒して進んだ方がよさそうだ。
俺は常に”レーダー”と”罠探知”を行使して注意しながら進んだ。
予想通り、道の至る所に穴が掘られて道が複雑化していた。
『…”マッピング”面倒くさいけど頑張るか。』
そして数十分移動し続け、思ったことがある。
『…宝箱が全然見つからない。』
おそらく11層の大方は”マッピング”し終えているだろう。
それにも関わらず、まだ宝箱を一つも見かけていない。
『どういうことだ…?』
まさか蟻酸で宝ごと溶かされてしまったのか…?
いや、もしそうだとしてもダンジョン型魔物が再設置するはずだ。
ではそもそもこの層には宝箱が無いのか…?
いや、そうしたら侵入する冒険者の数が減ってダンジョン型魔物が損をする羽目になる。
『…っ!!まさか…穴の中にあるのか…?』
まだ”マッピング”していないところといえば12層に続く階段までの数十メートルと縦穴、つまり落とし穴の中だけだ。
『…一度確認してみるか。』
俺は風属性魔法を行使して宙に浮き、すぐ後ろにあった落とし穴の中を光属性魔法”ライト”で照らしながらゆっくりと降りていった。
『ん…?底に何かあるな。』
”ライト”の光球を底の方に移動してみると、予想通り宝箱があった。
早速宝箱を開けるべく”罠探知”を行使すると、”毒魔法”の時と同じくらい強い反応があった。
M おっ…!!これは期待できるな!!』
普通では見つからないような場所に設置されており、しかも強い罠が仕掛けられている…
相当レアな代物に違いない!
俺は”罠解除”で罠を取り外し、蓋を開けた。
宝箱の中身は、”アジリティーリングS”というものだった。
効果は敏捷性60%増加、攻撃力10%低下だった。
『おぉ…!!当たりだ!!!』
この〇〇%増減は元の値に作用するようで、また”ストレングスリング”の効果と同時に装備しても効果を発揮できるようだ。
…ということは最大で十個同時に装備できるということだ。
『ワンチャン足の指にもつけて二十個行けるか…?』
”ストレングスリング”も”アジリティーリング”もデザインはシンプルなので、たくさん付けていても悪趣味には見られないだろう。
…おそらく。
『ま、まあ気を取り直して他の宝箱も探しますか!!』
それから合計3つの宝箱を見つけたが、どれも”〇〇のリング”系だった。
こちらは予想を外してしまった。
『おかしいな…どれも見つかりにくい場所に設置されてたけど…』
考えてもわからなさそうなので、素直に攻略本をカンニングしよう。
「本来は道の端や行き止まりの広場に設置される宝箱だが、この層では縦穴の底に移動されていることが多い。
これはダンジョンが意図的に設置したのではなく、設置された宝箱を魔物が移動したことで起きている事象である。
よって、特別な宝箱というわけではないので中身は他のものと同じである。」
とのことだ。
つまり”アジリティーリング”を見つけたのは偶然だったらしい。
『紛らわしいわ!!ダンジョン側も一回撤去して見つかりやすい場所に再設置してくれればいいのに…!!』
文句を言ってもどうしようもないので、先に進もう。
効果は体験した通り、物質的なものすべてを腐らせ溶かすというものだ。
自身にも付与することができるが、付与しすぎると自分も腐って溶けるらしい。
『…自身への付与は辞めておこう。』
転移門を開通していわゆるセーブポイントを設置した後、11層に登った。
そこは洞窟の中のように狭い道が続いており、所々で岩が溶かされたような跡がある。
『ここの層の魔物は酸を使うのか…?』
岩がドロドロになるということは、かなりの強酸だ。
掠るだけでも身体が溶けるだろう…
『できれば対面は避けたいな…あ、そうだ。さっき思いついた戦法使ってみるか。』
俺は”レーダー”でこの層に俺以外の人族や魔族がいないことを確認し、そして毒魔法”デッドリーポイズンエリア”を11層全体に広がるように行使した。
そう、広範囲毒殺だ。
これならMPを結構消費するが、少し待つだけで魔物を一掃できる。
『我ながらえげつない戦法を思いついてしまった…』
待つこと数分
ステータスを眺めていると、経験値がどんどん流れ込んできた。
やっと毒が回って死んだのだろう。
『…よし、じゃあ進むか。』
少し直進すると、開けた場所に出た。
そこには蟻の魔物の死体がゴロゴロと転がっていた。
『なるほどな…あの強酸は蟻酸だったのか。』
便利な魔物スキルだったら”略奪”しようと思ったが、強酸を吐くという人間離れしたものだったので遠慮しておいた。
ということは、11層は巨大な蟻の巣状の場所ということだ。
そう考えると、穴を掘っているかもしれないので罠を警戒して進んだ方がよさそうだ。
俺は常に”レーダー”と”罠探知”を行使して注意しながら進んだ。
予想通り、道の至る所に穴が掘られて道が複雑化していた。
『…”マッピング”面倒くさいけど頑張るか。』
そして数十分移動し続け、思ったことがある。
『…宝箱が全然見つからない。』
おそらく11層の大方は”マッピング”し終えているだろう。
それにも関わらず、まだ宝箱を一つも見かけていない。
『どういうことだ…?』
まさか蟻酸で宝ごと溶かされてしまったのか…?
いや、もしそうだとしてもダンジョン型魔物が再設置するはずだ。
ではそもそもこの層には宝箱が無いのか…?
いや、そうしたら侵入する冒険者の数が減ってダンジョン型魔物が損をする羽目になる。
『…っ!!まさか…穴の中にあるのか…?』
まだ”マッピング”していないところといえば12層に続く階段までの数十メートルと縦穴、つまり落とし穴の中だけだ。
『…一度確認してみるか。』
俺は風属性魔法を行使して宙に浮き、すぐ後ろにあった落とし穴の中を光属性魔法”ライト”で照らしながらゆっくりと降りていった。
『ん…?底に何かあるな。』
”ライト”の光球を底の方に移動してみると、予想通り宝箱があった。
早速宝箱を開けるべく”罠探知”を行使すると、”毒魔法”の時と同じくらい強い反応があった。
M おっ…!!これは期待できるな!!』
普通では見つからないような場所に設置されており、しかも強い罠が仕掛けられている…
相当レアな代物に違いない!
俺は”罠解除”で罠を取り外し、蓋を開けた。
宝箱の中身は、”アジリティーリングS”というものだった。
効果は敏捷性60%増加、攻撃力10%低下だった。
『おぉ…!!当たりだ!!!』
この〇〇%増減は元の値に作用するようで、また”ストレングスリング”の効果と同時に装備しても効果を発揮できるようだ。
…ということは最大で十個同時に装備できるということだ。
『ワンチャン足の指にもつけて二十個行けるか…?』
”ストレングスリング”も”アジリティーリング”もデザインはシンプルなので、たくさん付けていても悪趣味には見られないだろう。
…おそらく。
『ま、まあ気を取り直して他の宝箱も探しますか!!』
それから合計3つの宝箱を見つけたが、どれも”〇〇のリング”系だった。
こちらは予想を外してしまった。
『おかしいな…どれも見つかりにくい場所に設置されてたけど…』
考えてもわからなさそうなので、素直に攻略本をカンニングしよう。
「本来は道の端や行き止まりの広場に設置される宝箱だが、この層では縦穴の底に移動されていることが多い。
これはダンジョンが意図的に設置したのではなく、設置された宝箱を魔物が移動したことで起きている事象である。
よって、特別な宝箱というわけではないので中身は他のものと同じである。」
とのことだ。
つまり”アジリティーリング”を見つけたのは偶然だったらしい。
『紛らわしいわ!!ダンジョン側も一回撤去して見つかりやすい場所に再設置してくれればいいのに…!!』
文句を言ってもどうしようもないので、先に進もう。
0
お気に入りに追加
203
あなたにおすすめの小説
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
転生王子の異世界無双
海凪
ファンタジー
幼い頃から病弱だった俺、柊 悠馬は、ある日神様のミスで死んでしまう。
特別に転生させてもらえることになったんだけど、神様に全部お任せしたら……
魔族とエルフのハーフっていう超ハイスペック王子、エミルとして生まれていた!
それに神様の祝福が凄すぎて俺、強すぎじゃない?どうやら世界に危機が訪れるらしいけど、チートを駆使して俺が救ってみせる!
神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜
月風レイ
ファンタジー
グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。
それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。
と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。
洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。
カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。
異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。
「残念でした~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~ん笑」と女神に言われ異世界転生させられましたが、転移先がレベルアップの実の宝庫でした
御浦祥太
ファンタジー
どこにでもいる高校生、朝比奈結人《あさひなゆいと》は修学旅行で京都を訪れた際に、突然清水寺から落下してしまう。不思議な空間にワープした結人は女神を名乗る女性に会い、自分がこれから異世界転生することを告げられる。
異世界と聞いて結人は、何かチートのような特別なスキルがもらえるのか女神に尋ねるが、返ってきたのは「残念でした~~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~~ん(笑)」という強烈な言葉だった。
女神の言葉に落胆しつつも異世界に転生させられる結人。
――しかし、彼は知らなかった。
転移先がまさかの禁断のレベルアップの実の群生地であり、その実を食べることで自身のレベルが世界最高となることを――
異世界に転生した俺は元の世界に帰りたい……て思ってたけど気が付いたら世界最強になってました
ゆーき@書籍発売中
ファンタジー
ゲームが好きな俺、荒木優斗はある日、元クラスメイトの桜井幸太によって殺されてしまう。しかし、神のおかげで世界最高の力を持って別世界に転生することになる。ただ、神の未来視でも逮捕されないとでている桜井を逮捕させてあげるために元の世界に戻ることを決意する。元の世界に戻るため、〈転移〉の魔法を求めて異世界を無双する。ただ案外異世界ライフが楽しくてちょくちょくそのことを忘れてしまうが……
なろう、カクヨムでも投稿しています。
鑑定能力で恩を返す
KBT
ファンタジー
どこにでもいる普通のサラリーマンの蔵田悟。
彼ははある日、上司の悪態を吐きながら深酒をし、目が覚めると見知らぬ世界にいた。
そこは剣と魔法、人間、獣人、亜人、魔物が跋扈する異世界フォートルードだった。
この世界には稀に異世界から《迷い人》が転移しており、悟もその1人だった。
帰る方法もなく、途方に暮れていた悟だったが、通りすがりの商人ロンメルに命を救われる。
そして稀少な能力である鑑定能力が自身にある事がわかり、ブロディア王国の公都ハメルンの裏通りにあるロンメルの店で働かせてもらう事になった。
そして、ロンメルから店の番頭を任された悟は《サト》と名前を変え、命の恩人であるロンメルへの恩返しのため、商店を大きくしようと鑑定能力を駆使して、海千山千の商人達や荒くれ者の冒険者達を相手に日夜奮闘するのだった。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる