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第246話 凱旋
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「アルフレッドー-------!!!!!!!!」
「っ!!どうしたクレア!?」
「最後の攻撃すごかったな!!!!!!」
「あ、ああ。ありがとう。」
”深淵を覗く者”の人々は口をぽかんと開けて呆然と突っ立っている。
俺の本気の攻撃が想像を絶するもので、頭の処理が追い付かないのだろう。
かく言う俺も師範の本気を初めて見た時は同じようになったものだ。
「…やはり模擬戦は本気ではなかったんですね。」
「まあな。」
「いつか本気で相手してもらうのです!!!!」
「あっ、ずるい!!あたしも本気のアルフレッドと戦いたい!!!」
「オレも!!!」
「もっと強くなったらな。」
「ちぇ~…」
クレア達がワイワイとボス戦の感想を語り合っている中、俺は”深淵を覗く者”のところへ向かった。
今後のことを決めるためである。
「ケイン!…ケイン!!!」
「わっ!あの…すごい攻撃でしたね。」
「ああ。それでこの後の予定は?」
「疲れたので記録の扉から帰還しようと思っています。」
「俺達も同行していいか?」
「構いませんが…どうしてですか?」
「外にはいつもながら大勢のファンが待ってるだろ?」
「え、ええ。いつも凱旋パレードみたいになりますね。」
「俺達も一緒に最前線を攻略したわけだしな。一緒に凱旋して”アルフレッドパーティー”の知名度を上げておきたいんだ。」
「十分有名だと思いますが…」
「…えっ?」
いつの間に認知されていたのだろうか?
特にこれと言った偉業は成し遂げていないし、迷宮都市にいる普通の冒険者と変わらないと思うが…
「…知らないんですか?」
「あ、ああ。教えてくれ。」
「色々ありますよ。”ペンシルゴン領における魔物征伐生還者達”、”剣闘祭優勝パーティー”、”エレノア=ブラッドボーンの弟子とその教え子達”、”邪神教の敵対パーティー”、”新遺跡の単独攻略パーティー”、”第18ダンジョン上層最前線パーティー”、”伯爵家を崩壊させたパーティー”…」
「ちょっ、多いな!というか冒険者登録前の情報までどこから…!?」
「おそらく情報屋でしょうね。お金を出せばどんな情報でも仕入れてくれるので。」
「そうか…」
「これに”第4ダンジョン上層最前線パーティー”の称号が増えますね。」
「称号過多だな…まあいい。帰還準備が整ったら教えてくれ。」
「分かりました。」
”深淵を覗く者”が休憩している間、動き足りないと不満を口にする4人と模擬戦を行った。
アイリスがヴォルガノフの実力を見て模擬戦に誘っていたが、流石に断られたらしい。
”深淵を覗く者”は俺達の実戦に近い模擬戦を見て苦笑いをしていた。
「…アルフレッドさん、そろそろ行きます。」
「了解。」
どこか名残惜しいボス部屋を後にして、俺達は記録の扉のある奥の部屋へ向かった。
そして全員が120層記録の扉を登録し、息をのんだ。
「…じゃあ行くか。」
「おう!!!!」
記録の扉をくぐり抜けると、そこには視界には収まらないほど大量の人々がいた。
同じ冒険者から商人、はたまた迷宮都市に住む一般人までありとあらゆる職種の人が揃っている。
「”深淵を覗く者”と”アルフレッドパーティー”が帰ってきたぞー-------!!!!!!!」
「おおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!」
誰かが俺達の帰還を宣言すると、耳がキーンとするほどの歓声が沸き上がった。
俺達は対等の立場として、”深淵を覗く者”の横を歩く。
「すげー多いな!!」
「だね~!!!」
「剣闘祭より多いのです!!!」
「私にはちょっとうるさいです…」
「ボ、ボクも…」
クレアとスーは満面の笑みで、アイリスとイザベルは引きつった笑みで手を振りながら歩いた。
俺は人混みがそれほど好きではないので、どちらかと言えば引きつった笑みを浮かべていただろう。
人に囲まれた道を進み、冒険者ギルドに到着した。
「おう!おかえりさん!」
「ああ。ただいま。」
出迎えたパウロに報告しようとしたが、疲れているだろうからということで攻略成功の報告だけした。
ギルドを出ると、再び耳がキーンとするほどの歓声が沸き上がった。
「”アルフレッドパーティー”の皆さん、せっかくですし一緒に祝勝会でもしませんか?」
「おっ、いいな!!じゃあオレ達のパーティーハウスでやろうぜ!」
「賛成~!!」
「ボクも!」
「私も構いません。ソフィアに連絡しておきますね。」
「ああ。ありがとうアイリス。」
人に囲まれた道を抜け、俺達は逃げ込むようにパーティーハウスに帰還した。
玄関に入るや否やケインが”防音結界の宝珠”を設置してくれたので、歓声は収まった。
「皆様、おかえりなさいませ。”深淵を覗く者”の皆様、いらっしゃいませ。」
「ただいまソフィア。」
「メイドさんがいる…」
「すごいですね…」
「恐縮です。皆様、席でお待ちください。」
「手伝うよ。」
「ありがとうございます。」
それからソフィアの大量の料理が全て完成し、テーブルに並べた。
”深淵を覗く者”の人々は美味しそうな料理を前に頬が緩んでいた。
「…アルフレッドさん、音頭をお願いします。」
「ふんっ、今回は君に譲ってあげるさ。」
「それじゃあ”深淵を覗く者”と”アルフレッドパーティー”の120層攻略成功を祝って…乾杯!!!」
「乾杯!!!!!!!!!」
その後俺達は楽しく祝勝会を挙げた。
”深淵を覗く者”は明日、120層攻略成功のインタビューを受けるとのことで早めに退室した。
「アルフレッドー--!!もっと飲めよー---!!」
「そうだよ~~~~!!」
「お前等…酔ってるな…」
「酔ってないのれす!!!!!」
「イザベルまで!!アイリスは…って寝てるし!!ソフィア、悪いが部屋に運ぶの手伝ってくれ…」
「かしこまりました。」
俺はクレアとスーを、ソフィアはアイリスとイザベルを背負って階段を上る。
初めて酒を飲んだ時を思い出し、感慨にふける。
「うっ…吐きそう…」
「あたしも…」
「ちょっ、お前等!!部屋まで我慢…」
「おぅぇぇぇ!!!!」
「…最悪。」
時々トラブルもあるが、実に充実した日常である。
創造神様、俺をこの世界に転生してくれて本当にありがとうございました。
「っ!!どうしたクレア!?」
「最後の攻撃すごかったな!!!!!!」
「あ、ああ。ありがとう。」
”深淵を覗く者”の人々は口をぽかんと開けて呆然と突っ立っている。
俺の本気の攻撃が想像を絶するもので、頭の処理が追い付かないのだろう。
かく言う俺も師範の本気を初めて見た時は同じようになったものだ。
「…やはり模擬戦は本気ではなかったんですね。」
「まあな。」
「いつか本気で相手してもらうのです!!!!」
「あっ、ずるい!!あたしも本気のアルフレッドと戦いたい!!!」
「オレも!!!」
「もっと強くなったらな。」
「ちぇ~…」
クレア達がワイワイとボス戦の感想を語り合っている中、俺は”深淵を覗く者”のところへ向かった。
今後のことを決めるためである。
「ケイン!…ケイン!!!」
「わっ!あの…すごい攻撃でしたね。」
「ああ。それでこの後の予定は?」
「疲れたので記録の扉から帰還しようと思っています。」
「俺達も同行していいか?」
「構いませんが…どうしてですか?」
「外にはいつもながら大勢のファンが待ってるだろ?」
「え、ええ。いつも凱旋パレードみたいになりますね。」
「俺達も一緒に最前線を攻略したわけだしな。一緒に凱旋して”アルフレッドパーティー”の知名度を上げておきたいんだ。」
「十分有名だと思いますが…」
「…えっ?」
いつの間に認知されていたのだろうか?
特にこれと言った偉業は成し遂げていないし、迷宮都市にいる普通の冒険者と変わらないと思うが…
「…知らないんですか?」
「あ、ああ。教えてくれ。」
「色々ありますよ。”ペンシルゴン領における魔物征伐生還者達”、”剣闘祭優勝パーティー”、”エレノア=ブラッドボーンの弟子とその教え子達”、”邪神教の敵対パーティー”、”新遺跡の単独攻略パーティー”、”第18ダンジョン上層最前線パーティー”、”伯爵家を崩壊させたパーティー”…」
「ちょっ、多いな!というか冒険者登録前の情報までどこから…!?」
「おそらく情報屋でしょうね。お金を出せばどんな情報でも仕入れてくれるので。」
「そうか…」
「これに”第4ダンジョン上層最前線パーティー”の称号が増えますね。」
「称号過多だな…まあいい。帰還準備が整ったら教えてくれ。」
「分かりました。」
”深淵を覗く者”が休憩している間、動き足りないと不満を口にする4人と模擬戦を行った。
アイリスがヴォルガノフの実力を見て模擬戦に誘っていたが、流石に断られたらしい。
”深淵を覗く者”は俺達の実戦に近い模擬戦を見て苦笑いをしていた。
「…アルフレッドさん、そろそろ行きます。」
「了解。」
どこか名残惜しいボス部屋を後にして、俺達は記録の扉のある奥の部屋へ向かった。
そして全員が120層記録の扉を登録し、息をのんだ。
「…じゃあ行くか。」
「おう!!!!」
記録の扉をくぐり抜けると、そこには視界には収まらないほど大量の人々がいた。
同じ冒険者から商人、はたまた迷宮都市に住む一般人までありとあらゆる職種の人が揃っている。
「”深淵を覗く者”と”アルフレッドパーティー”が帰ってきたぞー-------!!!!!!!」
「おおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!」
誰かが俺達の帰還を宣言すると、耳がキーンとするほどの歓声が沸き上がった。
俺達は対等の立場として、”深淵を覗く者”の横を歩く。
「すげー多いな!!」
「だね~!!!」
「剣闘祭より多いのです!!!」
「私にはちょっとうるさいです…」
「ボ、ボクも…」
クレアとスーは満面の笑みで、アイリスとイザベルは引きつった笑みで手を振りながら歩いた。
俺は人混みがそれほど好きではないので、どちらかと言えば引きつった笑みを浮かべていただろう。
人に囲まれた道を進み、冒険者ギルドに到着した。
「おう!おかえりさん!」
「ああ。ただいま。」
出迎えたパウロに報告しようとしたが、疲れているだろうからということで攻略成功の報告だけした。
ギルドを出ると、再び耳がキーンとするほどの歓声が沸き上がった。
「”アルフレッドパーティー”の皆さん、せっかくですし一緒に祝勝会でもしませんか?」
「おっ、いいな!!じゃあオレ達のパーティーハウスでやろうぜ!」
「賛成~!!」
「ボクも!」
「私も構いません。ソフィアに連絡しておきますね。」
「ああ。ありがとうアイリス。」
人に囲まれた道を抜け、俺達は逃げ込むようにパーティーハウスに帰還した。
玄関に入るや否やケインが”防音結界の宝珠”を設置してくれたので、歓声は収まった。
「皆様、おかえりなさいませ。”深淵を覗く者”の皆様、いらっしゃいませ。」
「ただいまソフィア。」
「メイドさんがいる…」
「すごいですね…」
「恐縮です。皆様、席でお待ちください。」
「手伝うよ。」
「ありがとうございます。」
それからソフィアの大量の料理が全て完成し、テーブルに並べた。
”深淵を覗く者”の人々は美味しそうな料理を前に頬が緩んでいた。
「…アルフレッドさん、音頭をお願いします。」
「ふんっ、今回は君に譲ってあげるさ。」
「それじゃあ”深淵を覗く者”と”アルフレッドパーティー”の120層攻略成功を祝って…乾杯!!!」
「乾杯!!!!!!!!!」
その後俺達は楽しく祝勝会を挙げた。
”深淵を覗く者”は明日、120層攻略成功のインタビューを受けるとのことで早めに退室した。
「アルフレッドー--!!もっと飲めよー---!!」
「そうだよ~~~~!!」
「お前等…酔ってるな…」
「酔ってないのれす!!!!!」
「イザベルまで!!アイリスは…って寝てるし!!ソフィア、悪いが部屋に運ぶの手伝ってくれ…」
「かしこまりました。」
俺はクレアとスーを、ソフィアはアイリスとイザベルを背負って階段を上る。
初めて酒を飲んだ時を思い出し、感慨にふける。
「うっ…吐きそう…」
「あたしも…」
「ちょっ、お前等!!部屋まで我慢…」
「おぅぇぇぇ!!!!」
「…最悪。」
時々トラブルもあるが、実に充実した日常である。
創造神様、俺をこの世界に転生してくれて本当にありがとうございました。
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