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第223話 グリフィン伯爵家 終結
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拘束した伯爵を気絶させて馬車に投げ込み、ひと段落ついた。
『…そういえばアイリスの方は生贄達を上手く救出できたか?』
”生命探知”で地下室を見てみると、そこは既にもぬけの殻だった。
地下通路を辿るようにして探していると、どうやら全員逃げ出して既にこちらへ向かっているようだ。
短いように感じたが、数時間も戦っていたので時間的余裕があったらしい。
「ところでクレアとスーはどうしたんだ?」
「宝探しだー-!!って言ってどこか行っちゃったのです。」
「あいつららしいな。…1つ聞きたいことがある。」
「どうしたのです?」
「さっきのユニークスキル、今までと演出がまるで違ったよな?」
今までの演出はイザベルが祈りを捧げると対象者の身体が光って回復するというものである。
しかし、先程の”神の御加護”はまるで全く別物のような演出だった。
「そ、そうなのです!!ボクもすっごいびっくりしたのです!!」
「今までにああいった演出はなかったのか?」
「はいなのです!」
「そうか…」
何となくだが、あの光には創造神様に似たような感覚を感じた。
悪魔を仕留めかねている俺を見かねて力を貸してくれたのだろうか?
『…近いうちに教会まで祈祷しに行くか。』
感謝を伝えるとともに、邪神と悪魔の関係についても聞きたいところだ。
もし悪魔が邪神の手先であるならば、悪魔を仕留める攻撃手段の習得が必要になってくる。
心のやるべきことリストにそっとメモを取った。
「おーー-い!!!アルフレッドー---!!!」
「ちょっとこっち来て~~~~!!!!」
「今行く!!!」
声の方を振り返ると、2人がいる辺りは綺麗な土の地面が広がっていた。
2人は瓦礫を”アイテムボックス”の魔道具に収納しながら探しているようだ。
『何か見つけたのか…?気になるな…』
考察しながら2人の元へ向かうと、何やら一辺20cm程度の黒い箱を持っていた。
材質は鋼鉄で硬く頑丈なので、中身がそれほど貴重だということだ。
「…開けていいか?」
「おう!!!」
「うんっ!!!」
両手で蓋を取り外すと、そこにはガラス玉のように透明で小さな球が大量に入っていた。
大きさは5cm程度で、特に何か特別な能力があるようには見えない。
「”鑑定”頼む!!」
「これは絶対いい品だよ~!!」
「分かった。どれどれ…っ!!」
「どうだった!?」
「あー…”魂保管玉”っていう生贄の魂を保管しておくものだな。保管するとガラス玉に色が付くらしいからこの中には1つも魂はないな。」
「そ、そんな危ない物だったのか!」
「そっか…じゃあこれはアルフレッドにあげるよ。」
「あ、ああ。」
これは絶対に他人の手に渡ってはいけないものだが、計64個も入っているのでもしかするとこれは人為的に作られたものである可能性が高い。
クエスト報告ついでにパウロと相談しておく必要があるだろう。
「…宝は大方俺が奪取しておいたから後で山分けしよう。」
「本当か!?」
「ああ。」
「よっしゃ!!」
それからそこら中で気絶して伸びている私兵達をかき集めて一か所にまとめ、拘束した。
作業中にグリフィン伯爵家に襲撃に来た同業者計5パーティーに会い、伯爵を含めて身柄を引き渡した。
その間にアイリスは生贄達とこの街内に到着し、それぞれ家族の元へ返したようだ。
”通信の水晶”で俺に報告が届いたのだ。
「…そろそろ撤収するぞ。」
「アイリスはどうしたんだ?」
「別のことを任せてる。門前の食事処で集合する手筈だ。」
「りょうか~い!」
装備に着いた砂埃を落とし、物々しい武器を仕舞って街を歩いた。
途中でクレアが空腹を我慢できずに屋台飯に手を出そうとしたが、何とか止めて食事処に到着した。
「お疲れアイリス。急に別件を任せて悪かったな。」
「いえ。あの状況では最善の判断でしたから。」
「そうか。」
「あっ、お姉ちゃん達!!!」
「悪い伯爵は倒してきたのです!」
「だからもう安心だよ~!!」
「あー--!!!!!腹減った!!!先に料理食わせてくれ!!!」
「そ、そうですね!今準備します!!」
結論から言うと、この店の料理はどれも絶品だった。
その上様々な国から仕入れているらしく、パンや麺だけでなく米もあり料理の種類が豊富だった。
俺達は5人で何十品をも平らげ、実に満足だ。
「ふぅ…美味しかったな。」
クレア達4人が向こうで看板娘とワイワイしていると、父親店主がこちらへ歩いてきた。
微笑ましく見ているだけで少し暇だったので、ちょうどいい。
「失礼かと存じますが、本当に伯爵様を…?一体どうして…?」
「不可侵条約を破って俺達”アルフレッドパーティー”に手を出してな。それでギルド全体でグリフィン伯爵家を潰すことになったんだ。」
「あ、貴方達があの…!!改めてありがとうございます!!」
「気にするな。俺達にも利益はあったからな。」
”アイテムボックス”から金貨の入った袋を取り出し、店主に手渡した。
食事代と今まで伯爵に搾り取られたであろう分の金貨だ。
「…っ!!多すぎますよ!!」
「気にするな…と言っても無理だな。これは俺からの投資だ。」
「投資…?」
「この金でこの子狐亭を大きくするんだ。それでいつか迷宮都市にも出店するのを楽しみにしている。」
「あ…ありがとうございます!!」
それから俺達は子狐亭の2人に見送られながらグリフィン伯爵領を出発した。
子狐亭の人気が爆上がりし、僅か数年で王国を代表する食事処になったのはまた別のお話。
『…そういえばアイリスの方は生贄達を上手く救出できたか?』
”生命探知”で地下室を見てみると、そこは既にもぬけの殻だった。
地下通路を辿るようにして探していると、どうやら全員逃げ出して既にこちらへ向かっているようだ。
短いように感じたが、数時間も戦っていたので時間的余裕があったらしい。
「ところでクレアとスーはどうしたんだ?」
「宝探しだー-!!って言ってどこか行っちゃったのです。」
「あいつららしいな。…1つ聞きたいことがある。」
「どうしたのです?」
「さっきのユニークスキル、今までと演出がまるで違ったよな?」
今までの演出はイザベルが祈りを捧げると対象者の身体が光って回復するというものである。
しかし、先程の”神の御加護”はまるで全く別物のような演出だった。
「そ、そうなのです!!ボクもすっごいびっくりしたのです!!」
「今までにああいった演出はなかったのか?」
「はいなのです!」
「そうか…」
何となくだが、あの光には創造神様に似たような感覚を感じた。
悪魔を仕留めかねている俺を見かねて力を貸してくれたのだろうか?
『…近いうちに教会まで祈祷しに行くか。』
感謝を伝えるとともに、邪神と悪魔の関係についても聞きたいところだ。
もし悪魔が邪神の手先であるならば、悪魔を仕留める攻撃手段の習得が必要になってくる。
心のやるべきことリストにそっとメモを取った。
「おーー-い!!!アルフレッドー---!!!」
「ちょっとこっち来て~~~~!!!!」
「今行く!!!」
声の方を振り返ると、2人がいる辺りは綺麗な土の地面が広がっていた。
2人は瓦礫を”アイテムボックス”の魔道具に収納しながら探しているようだ。
『何か見つけたのか…?気になるな…』
考察しながら2人の元へ向かうと、何やら一辺20cm程度の黒い箱を持っていた。
材質は鋼鉄で硬く頑丈なので、中身がそれほど貴重だということだ。
「…開けていいか?」
「おう!!!」
「うんっ!!!」
両手で蓋を取り外すと、そこにはガラス玉のように透明で小さな球が大量に入っていた。
大きさは5cm程度で、特に何か特別な能力があるようには見えない。
「”鑑定”頼む!!」
「これは絶対いい品だよ~!!」
「分かった。どれどれ…っ!!」
「どうだった!?」
「あー…”魂保管玉”っていう生贄の魂を保管しておくものだな。保管するとガラス玉に色が付くらしいからこの中には1つも魂はないな。」
「そ、そんな危ない物だったのか!」
「そっか…じゃあこれはアルフレッドにあげるよ。」
「あ、ああ。」
これは絶対に他人の手に渡ってはいけないものだが、計64個も入っているのでもしかするとこれは人為的に作られたものである可能性が高い。
クエスト報告ついでにパウロと相談しておく必要があるだろう。
「…宝は大方俺が奪取しておいたから後で山分けしよう。」
「本当か!?」
「ああ。」
「よっしゃ!!」
それからそこら中で気絶して伸びている私兵達をかき集めて一か所にまとめ、拘束した。
作業中にグリフィン伯爵家に襲撃に来た同業者計5パーティーに会い、伯爵を含めて身柄を引き渡した。
その間にアイリスは生贄達とこの街内に到着し、それぞれ家族の元へ返したようだ。
”通信の水晶”で俺に報告が届いたのだ。
「…そろそろ撤収するぞ。」
「アイリスはどうしたんだ?」
「別のことを任せてる。門前の食事処で集合する手筈だ。」
「りょうか~い!」
装備に着いた砂埃を落とし、物々しい武器を仕舞って街を歩いた。
途中でクレアが空腹を我慢できずに屋台飯に手を出そうとしたが、何とか止めて食事処に到着した。
「お疲れアイリス。急に別件を任せて悪かったな。」
「いえ。あの状況では最善の判断でしたから。」
「そうか。」
「あっ、お姉ちゃん達!!!」
「悪い伯爵は倒してきたのです!」
「だからもう安心だよ~!!」
「あー--!!!!!腹減った!!!先に料理食わせてくれ!!!」
「そ、そうですね!今準備します!!」
結論から言うと、この店の料理はどれも絶品だった。
その上様々な国から仕入れているらしく、パンや麺だけでなく米もあり料理の種類が豊富だった。
俺達は5人で何十品をも平らげ、実に満足だ。
「ふぅ…美味しかったな。」
クレア達4人が向こうで看板娘とワイワイしていると、父親店主がこちらへ歩いてきた。
微笑ましく見ているだけで少し暇だったので、ちょうどいい。
「失礼かと存じますが、本当に伯爵様を…?一体どうして…?」
「不可侵条約を破って俺達”アルフレッドパーティー”に手を出してな。それでギルド全体でグリフィン伯爵家を潰すことになったんだ。」
「あ、貴方達があの…!!改めてありがとうございます!!」
「気にするな。俺達にも利益はあったからな。」
”アイテムボックス”から金貨の入った袋を取り出し、店主に手渡した。
食事代と今まで伯爵に搾り取られたであろう分の金貨だ。
「…っ!!多すぎますよ!!」
「気にするな…と言っても無理だな。これは俺からの投資だ。」
「投資…?」
「この金でこの子狐亭を大きくするんだ。それでいつか迷宮都市にも出店するのを楽しみにしている。」
「あ…ありがとうございます!!」
それから俺達は子狐亭の2人に見送られながらグリフィン伯爵領を出発した。
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