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第197話 第18ダンジョン 邪神教幹部戦②
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一方その頃アイリス達は…
「ひひっ、この辺でいいんじゃねーかぁ?」
「そうですね。さっさと殺り合いましょう。」
「賛成なのです。気持ち悪いから早くアルフレッドのところに帰りたいのです。」
2人の言葉の節々に普段では考えられないような棘が混じっている。
それほどまでこの男が生理的に無理なのだろう。
「ひひっ、俺は道化師のギーヴだ。冥途の土産にでもするんだな!お嬢さんたちは?」
「変質者に名乗る名前なんてありません。」
「そうなのです。」
「ひひっ、つれないなぁ…」
道化師は一瞬残念そうに肩を竦めると、ザッと右足を後ろにずらして戦闘体勢を取った。
そして抉れている右唇から舌を出し、曲剣の峰を舐めて殺意を剥き出しにしている。
「行くぜぇ…!!」
酔っ払いのように後ろへふらついた次の瞬間、強く床を蹴る音が聞こえると共に曲剣使いはアイリスの目の前まで距離を詰めていた。
この世界に酔拳があるかは知らないが、それと同じような戦闘スタイルなのだろう。
アイリスは油断しておらず、酔っ払いのような動きが予備動作であることを見破って反撃態勢を取っていた。
イザベルは油断はしていなかったものの、急接近に反応できなかったため防御態勢を取った。
次の瞬間、曲剣と短剣が激しくぶつかったことによりけたたましい剣戟の音が響いた。
道化師は初撃を防がれると共に追撃に移行したが、アイリスはそれすらも防御した。
そしてつい見入ってしまうほどの激しい攻防と剣戟の音が続く。
その状態を破ったのは曲剣使いでもアイリスでもなく、イザベルだった。
アイリスに隠れるようにして相手の視界から逃れ、視線がアイリスへと向いたその時棍棒Lv.5“スタンブラント“を行使したのだ。
「ちっ!!」
絶妙な奇襲ではあったが、視界外にいたイザベルのことまで認識していた道化師は後ろへ跳躍して“スタンブラント“を回避した。
アイリスは追撃しようとしたが、何かに気付いた表情をしてその場に留まった。
「ひひひっ、これも引っかからねぇか!」
目を凝らしてよく見ると、目の前には非常に細いピアノ線のような鋼線が張り巡らされていた。
もしも気付かずに追撃していたら、軽装備のアイリスには致命傷になり得ただろう。
「なるほど…だから曲剣使いではなく道化師なんですね。」
「ひひっ、そういうことだなぁ。」
鋼線の向こうで道化師が何やらローブの中を漁っている。
手の内が分からない以上、相手に時間を与えれば与えるほどこちらが不利になる。
「はっ!」
「ひひっ、隙間から投擲とはお嬢さん好戦的だねぇ!」
アイリスが投げたクナイは難なく回避されたが、特に問題はない。
何故なら、クナイを投げたのは道化師が回避行動をとって他の動作ができない隙にイザベルが鋼線を叩き切るのが目的だったからだ。
「ちっ…」
アイリスは糸が左右に垂れてできたスペースを走り抜け、道化師に斬りかかろうとした。
だが道化師が手の平サイズの爆弾を2人の前に投げ、白煙が立ち昇ったため中断せざるを得なかった。
「ひひっ、ちょいとばかしお嬢さん達とは相性が悪いから逃げさせてもら…っ!?」
道化師が曲がり角を曲がろうとしたその瞬間、2人の陰が現れた。
一方は重装備に両手剣を持っている男前な女性、もう一方は軽装備で肩に槍を置いて気楽そうにしている女性。
そう、道化師が遭遇したのはクレアとスーである。
「お前たちはジョーが相手をしていたはずじゃ…まさか倒して…」
逃げた先に敵が現れ、余裕をなくした道化師は普段の口調すらままならなくなっていた。
その上自身の仲間が倒された可能性が浮上し、抉れた顔に汗を流した。
「そうだ。そういうお前はアイリス達の相手をしていたんじゃ…って、おお2人とも!!」
「逃げられそうになってたから助かったのです!!」
「丁度良いところに来ました。包囲して仕留めましょう!!」
「は~い!」
道化師はスーが槍を構えた瞬間に距離を取ったが、反対側にはアイリスとイザベルがいる。
両方が見えるように右の壁に張り付き、必死な表情で思考した次の瞬間。
はっと何か思いついたような表情を見せると、不気味な笑みを浮かべた。
「…ひひっ、邪神教に栄光あれぇぇぇ!!」
そう言うと、道化師のローブの内側で爆弾と思しき大量の球体が膨張し始めた。
ほんの一瞬で数倍に膨れ上がったことによりローブが破れ、道化師は直径50cmほどの爆弾に埋め尽くされて身体が見えなくなった。
「っ!!全員退避!!」
瞬時に相手の思惑を理解したアイリスが叫び、4人全員が曲がり角を曲がってダンジョンの壁に身を隠した。
そしてほんの数秒後大きな爆発と共に黒煙が立ち昇った。
鞭使いを倒してからリポップする魔物を仕留めつつ応援に向かっていた俺は、巨大な爆発を見て足を速めた。
”冒険者探知”に4人の反応はあるものの、重傷を負っているかもしれないからだ。
「…ん?」
だが、突如曲がり角を左に曲がった辺りに”邪神教徒探知”に反応が現れたので足を止めた。
同時に”迷彩偽装”と”無音偽装”、”無臭偽装”を行使して息を潜め、反応源へにじり寄った。
「ひひっ…危なかったぜぇ…」
そこにはピエロの服装をした顔半分が抉れている男が壁に寄りかかっていた。
全身に斬り傷や血のにじみがあり、命からがら逃げだしてきたといった具合だ。
『ピエロ…?それよりこいつはアイリス達が相手にした奴か。爆発を起こして逃げてきたのか?…まあいい。俺が仕留めるか。』
「…逃げた先に俺がいるなんて運がなかったな。」
偽装系スキルを全て解除し、姿を現して話しかけた。
ピエロは目をカッと見開いて驚き、自分が幻覚を見ているのではないかと抉れた頬をつねった。
「…全くその通りだなぁ。お前がここにいるということは…アマンダも逝ったか。」
「ああ。同じところに送ってやる。安らかに逝け。」
俺は完全に戦意喪失して床に座り込んだピエロの首を斬り落とした。
「ふぅ…これで終わりみたいだな。」
「ひひっ、この辺でいいんじゃねーかぁ?」
「そうですね。さっさと殺り合いましょう。」
「賛成なのです。気持ち悪いから早くアルフレッドのところに帰りたいのです。」
2人の言葉の節々に普段では考えられないような棘が混じっている。
それほどまでこの男が生理的に無理なのだろう。
「ひひっ、俺は道化師のギーヴだ。冥途の土産にでもするんだな!お嬢さんたちは?」
「変質者に名乗る名前なんてありません。」
「そうなのです。」
「ひひっ、つれないなぁ…」
道化師は一瞬残念そうに肩を竦めると、ザッと右足を後ろにずらして戦闘体勢を取った。
そして抉れている右唇から舌を出し、曲剣の峰を舐めて殺意を剥き出しにしている。
「行くぜぇ…!!」
酔っ払いのように後ろへふらついた次の瞬間、強く床を蹴る音が聞こえると共に曲剣使いはアイリスの目の前まで距離を詰めていた。
この世界に酔拳があるかは知らないが、それと同じような戦闘スタイルなのだろう。
アイリスは油断しておらず、酔っ払いのような動きが予備動作であることを見破って反撃態勢を取っていた。
イザベルは油断はしていなかったものの、急接近に反応できなかったため防御態勢を取った。
次の瞬間、曲剣と短剣が激しくぶつかったことによりけたたましい剣戟の音が響いた。
道化師は初撃を防がれると共に追撃に移行したが、アイリスはそれすらも防御した。
そしてつい見入ってしまうほどの激しい攻防と剣戟の音が続く。
その状態を破ったのは曲剣使いでもアイリスでもなく、イザベルだった。
アイリスに隠れるようにして相手の視界から逃れ、視線がアイリスへと向いたその時棍棒Lv.5“スタンブラント“を行使したのだ。
「ちっ!!」
絶妙な奇襲ではあったが、視界外にいたイザベルのことまで認識していた道化師は後ろへ跳躍して“スタンブラント“を回避した。
アイリスは追撃しようとしたが、何かに気付いた表情をしてその場に留まった。
「ひひひっ、これも引っかからねぇか!」
目を凝らしてよく見ると、目の前には非常に細いピアノ線のような鋼線が張り巡らされていた。
もしも気付かずに追撃していたら、軽装備のアイリスには致命傷になり得ただろう。
「なるほど…だから曲剣使いではなく道化師なんですね。」
「ひひっ、そういうことだなぁ。」
鋼線の向こうで道化師が何やらローブの中を漁っている。
手の内が分からない以上、相手に時間を与えれば与えるほどこちらが不利になる。
「はっ!」
「ひひっ、隙間から投擲とはお嬢さん好戦的だねぇ!」
アイリスが投げたクナイは難なく回避されたが、特に問題はない。
何故なら、クナイを投げたのは道化師が回避行動をとって他の動作ができない隙にイザベルが鋼線を叩き切るのが目的だったからだ。
「ちっ…」
アイリスは糸が左右に垂れてできたスペースを走り抜け、道化師に斬りかかろうとした。
だが道化師が手の平サイズの爆弾を2人の前に投げ、白煙が立ち昇ったため中断せざるを得なかった。
「ひひっ、ちょいとばかしお嬢さん達とは相性が悪いから逃げさせてもら…っ!?」
道化師が曲がり角を曲がろうとしたその瞬間、2人の陰が現れた。
一方は重装備に両手剣を持っている男前な女性、もう一方は軽装備で肩に槍を置いて気楽そうにしている女性。
そう、道化師が遭遇したのはクレアとスーである。
「お前たちはジョーが相手をしていたはずじゃ…まさか倒して…」
逃げた先に敵が現れ、余裕をなくした道化師は普段の口調すらままならなくなっていた。
その上自身の仲間が倒された可能性が浮上し、抉れた顔に汗を流した。
「そうだ。そういうお前はアイリス達の相手をしていたんじゃ…って、おお2人とも!!」
「逃げられそうになってたから助かったのです!!」
「丁度良いところに来ました。包囲して仕留めましょう!!」
「は~い!」
道化師はスーが槍を構えた瞬間に距離を取ったが、反対側にはアイリスとイザベルがいる。
両方が見えるように右の壁に張り付き、必死な表情で思考した次の瞬間。
はっと何か思いついたような表情を見せると、不気味な笑みを浮かべた。
「…ひひっ、邪神教に栄光あれぇぇぇ!!」
そう言うと、道化師のローブの内側で爆弾と思しき大量の球体が膨張し始めた。
ほんの一瞬で数倍に膨れ上がったことによりローブが破れ、道化師は直径50cmほどの爆弾に埋め尽くされて身体が見えなくなった。
「っ!!全員退避!!」
瞬時に相手の思惑を理解したアイリスが叫び、4人全員が曲がり角を曲がってダンジョンの壁に身を隠した。
そしてほんの数秒後大きな爆発と共に黒煙が立ち昇った。
鞭使いを倒してからリポップする魔物を仕留めつつ応援に向かっていた俺は、巨大な爆発を見て足を速めた。
”冒険者探知”に4人の反応はあるものの、重傷を負っているかもしれないからだ。
「…ん?」
だが、突如曲がり角を左に曲がった辺りに”邪神教徒探知”に反応が現れたので足を止めた。
同時に”迷彩偽装”と”無音偽装”、”無臭偽装”を行使して息を潜め、反応源へにじり寄った。
「ひひっ…危なかったぜぇ…」
そこにはピエロの服装をした顔半分が抉れている男が壁に寄りかかっていた。
全身に斬り傷や血のにじみがあり、命からがら逃げだしてきたといった具合だ。
『ピエロ…?それよりこいつはアイリス達が相手にした奴か。爆発を起こして逃げてきたのか?…まあいい。俺が仕留めるか。』
「…逃げた先に俺がいるなんて運がなかったな。」
偽装系スキルを全て解除し、姿を現して話しかけた。
ピエロは目をカッと見開いて驚き、自分が幻覚を見ているのではないかと抉れた頬をつねった。
「…全くその通りだなぁ。お前がここにいるということは…アマンダも逝ったか。」
「ああ。同じところに送ってやる。安らかに逝け。」
俺は完全に戦意喪失して床に座り込んだピエロの首を斬り落とした。
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