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第191話 第18ダンジョン 上層攻略①

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翌朝



「ソフィア、留守は頼んだぞ。」



「かしこまりました。どうかお気をつけて。」



「ああ。それじゃあ第18ダンジョン攻略に向かうぞ!」



「おう!!」



第18ダンジョンの上層全82層の内冒険者が死亡しているのは61~70層なので、あと5日ほどは邪神教徒と遭遇することもないだろう。

しかし、低層に降りてきている可能性もあるため気は抜けない。

まだ迷宮都市のダンジョン区域だが、念のため”邪神教徒探知”を行使しながら進んだ。



歩くこと数十分



「身分証をご提示ください。」



「ああ。」



「…問題ありません。ここ最近失踪者が多いのでどうかお気をつけて。」



「…っ!ああ、ありがとう。」



ギィィという錆びた音と共に門が開き、俺は皆を連れてそそくさと中に入った。

中は今までのダンジョンと同じ素材だが、上級者向けダンジョンよりも広く複雑な道になっていた。



「急に入ってどうしたの~?」



「落ち着いて聞いてくれ。あの門番の騎士団員…2人とも邪神教徒だった。」



「…っ!!ということは…ここは邪神教のアジトで間違いないですね。」



「じゃああいつらを殺ればよかったんじゃねーの?」



「捕縛しても自害する可能性が高いし、噓を見抜く魔道具は死者には使えない。」



「そ、そうなるとボクたちが騎士団員を殺したという事実だけが残っちゃうのです。」



「その通りだ。だから、俺達は気付いていない格好の餌のふりをして進むぞ。」



「は~い。」



コアが動いているダンジョンなだけあって、”罠探知”を行使するとあちらこちらに反応があった。

ふと気付いたのだが、邪神教徒は罠を利用して襲ってくる可能性もあるので気を付けなければならない。



続いて”魔物探知”を行使すると、Dランク魔物リザードマンと思われる魔物が20体ほどいた。

リザードマンは表立った弱点がない種族で、個体の戦闘能力もそれなりに高い。

だが基本的に群れることを嫌い、単独行動するので各個撃破すれば特に問題はない。



いつも通り俺が”構造探知”で地図を描き、アイリスが最短ルートを選んで出発した。

宝箱を探さなくていいのかと尋ねたが、低層で得られるものはたかが知れてるので要らないとのことだ。



『…やっぱり探知系4つを同時使用と結構精神的に疲れるな。精神力を鍛えないと…』



今日は探知系の同時使用の体力を残しておくため、両手剣ではなく“神鳥弓“を装備して進んだ。

弓を放つことで罠を解除でき、比較的楽に進むことができた。



順調に進んでいき、8層でとある問題に直面した。

トイレに行きたくなった…というわけではない。

ダンジョンは分泌物も全て糧として吸収するので、その辺で用を足せばいいだけなのだ。



問題とは、9層へ上がる階段の前に1mほどある宝箱が置かれていることだ。

おそらくダンジョン定番の魔物であるミミックなのだろうが、”魔物探知”の反応が点滅しているので判断しきれないのだ。



「おぉ!宝箱だ!!」



「ちょっ、待てクレア!!」



もう少し調べたいところではあったが、このままだとクレアがミミックに喰われるかもしれないので宝箱を矢で攻撃した。

やはり宝箱の正体はミミックで間違いなかったようで、攻撃を受けると魔石を残して靄になって消えた。



死ぬ寸前に”鑑定”を行使したことで、”魔物探知”が点滅していた理由が分かった。

それは、ミミックが”偽装”のユニークスキルを行使していたからだ。

完全に”偽装”に欺かれて”魔物探知”に反応がなかったら気付けなかったが、点滅していて助かった。



「おぉ、これがミミックか!」



「クレア、不用意な行動は辞めてください…」



「おう…悪かった。」



それから9層を難なく攻略し、10層のボス部屋に辿り着いた。

難易度的にはDランク魔物がここの階層ボスだろうと推測される。



「それじゃあ…開けるぞ。」



重い扉を開けると、そこには5mほどあるプルルンとした1つの個体がいた。

そう、雑魚魔物代表であるスライムだ。

ただし、体長からも分かるがこれはスライムが限りなく0に近い確率を超えて進化したCランク魔物、ヒュージスライムだ。



「…ここは俺の番だな。全員酸性液に触れないようヘイトを買ってくれ!!」



「了解なのです!!」



スライムは核を壊すだけで簡単に倒せるのだが、逆に核を壊さなければほとんど死なない。

そしてヒュージスライムは体積が大きく、核が剣では絶対に届かない場所に位置している。

その上物理攻撃に何らかの耐性を持っており、身体ごと叩き潰そうとすると反発力で飛ばされてしまう。



ヒュージスライムはちょこまかと動き回る4人に触手で攻撃しているが、一向に当たる気配は無い。

部屋に入ってから一切動かない俺は眼中にはないようだ。



「ふぅぅぅぅ…」



”神鳥弓”には矢の軌道が環境要因に左右されないという特殊効果を持つので、これで核を貫くことができるだろう。

深く息を吐くとともに弦を強く引き、そして矢を放った。

放たれた矢はスライムの体内に入っても減速することなく一直線に飛び、そしてパリンッ!という音と共に核を貫いた。

ヒュージスライムは砕かれた核を残して靄となり、宙に消えた。



「お疲れさまでした。」



「ありがとう。少しここで休憩するか。」
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