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第186話 初心者向けダンジョン
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パーティーハウスで生活できるようになったが、契約した残りの日数は猫耳宿で過ごした。
猫耳宿の猫獣人たちはクレア達に負けず劣らずの美少女揃いで、特に前世の趣味だった。
契約日数が終わり、俺は悔やみながらもパーティーハウスへ帰った。
「はぁ…迷宮都市の情報収集もひと段落ついたし、そろそろダンジョンの1つでも潜ってみるか?」
「待ちわびたぜ!!」
「あたしも~!」
「早速装備を整えて出発しましょう!」
「は、はいなのです!!」
皆待ちきれなかったようで、決闘都市にいた頃にクエストへ向かう時よりも支度が早かった。
期待に胸を躍らせてパーティーハウスを出発した。
迷宮都市にはダンジョンが無数に存在する。
それらは例外なく遥か上空と地下の両方に伸びており、地下ダンジョンの方が難易度が高いらしい。
それぞれより高くより深い階層に行くほど現れる魔物は強くなり、宝箱等から得られるアイテムのランクも高くなる。
ダンジョンは完全攻略、最上層と最下層にいる両方のラスボスを倒してその奥にあるダンジョンコアを破壊、しない限り成長し続け、階層の増加は留まるところを知らないという。
これをすることでダンジョンの成長が止まり、一定時間で一定数の魔物が出現するただの魔物出現スポットになるのだ。
ちなみに階層ボスやラスボスも出現するが、オリジナル個体に比べてステータス値が劣っているらしい。
今向かっているのは完全攻略されたダンジョンの中でも上下階層が計50層以下の初心者向けダンジョンと呼ばれている場所で、攻略するのは上階の方である。
正直俺達の実力ならば最初から未攻略の超高難易度ダンジョンに挑んでも死ぬことはないだろうが、これはパーティー会議で決めたことなのだ。
「…っと、そろそろ見えてきたな。」
目の前には前世の高層ビルと同等以上の高さで、石造りの塔が建っている。
石造りなのはあくまで見た目だけで、どんな怪力の持ち主でもダンジョンの壁や床は全く破壊できなかったという。
もしこれらの素材で武器防具が作れたら最高の物ができると言われている。
「他のダンジョンは見上げても頂上が見えないのに…なんか見劣りするね~」
「小さいダンジョンですし仕方ありませんよ。」
「ほら、早くダンジョンコアを破壊しに行こうぜ!」
「か、完全攻略されたからコアはないのです…」
「というかクレア、未許可で破壊したら犯罪だからな?」
「そ、そうだったな。」
現在発見されているダンジョンの約1/3は完全攻略されているが、ダンジョンによって得られる経済効果はスタンピードというリスクを大きく上回るリターンがあるためダンジョン法として制定されている。
一応ダンジョンコア破壊を国に申請することはできるが、今まで1度も通った試しがない。
政治利用されると少しロマンが薄れる気がするが、ダンジョン攻略すること自体は変わらないので気にしなくていいだろう。
ちなみに完全攻略されたほとんどはダンジョン法が制定される前だが、制定後1度だけ冒険者が無許可で完全攻略したことがあるらしい。
その冒険者は高ランクだったため牢屋に監禁されて拷問を受けた後、推定損害賠償を支払って釈放されたという。
もしこれが低ランク冒険者であったら、死ぬまでずっと鉱山労働させられていただろうと言われている。
『俺達はギルド的にはまだBランクだからな…師範に弁護されなければ間違いなく鉱山労働送りだな。』
そんなことを考えているうちに洞窟のようなダンジョンの入り口に着いた。
入り口には完全攻略されてスタンピードの可能性が無くなったため鉄の薄い門と騎士団の警備兵2人しかいない。
「身分証を提示してください。」
「ああ。」
「…問題ありません。それではどうぞお楽しみください。」
ギィィという錆びた音と共に門が開き、俺達はダンジョンの中に入った。
洞窟のような入り口とは全く持って異なり、中はまるで人工物のように壁や天井が整備された一直線だった。
あくまで人工物のようであるだけで、もちろん誰にも手入れされていない。
照明はないはずなのにダンジョン内は明るく、視界の及ぶ範囲が全てくっきりと見えるほどだ。
これはダンジョン自体が発光しているためだと言われているが、場所によっては暗かったり逆に眩しかったりするらしい。
「なんか…緊張感無いな。」
「だね~5層ごとにある階層ボス部屋まで走らない?」
「そうしましょうか。」
前衛がクレアとアイリス、中衛がスー、後衛が俺とイザベルで隊列を組み”魔物探知”と”罠探知”行使しつつダンジョン内を疾走した。
1層ではスライム1匹、2層では2匹、3層では3匹、4層ではゴブリン1匹しか現れず、罠も無かったので瞬殺して5層ボス部屋の扉に辿りついた。
「…警備兵の見送りの言葉が引っかかっていましたが、ここはもはやアトラクションなのでは?」
「そうだな。…つまらないしさっさと終わらせようか。」
重いと言われているボス部屋を片手で押し開け、前を見るとボスはスライム3匹とゴブリン1匹だけだった。
相手がこちらに気付く前にクレアが瞬殺し、初めてのボス戦は終了した。
それから足を止めることなく魔物を瞬殺して進み、10分も経たずに最上層のラスボス部屋に到着した。
ラスボスはウルフ3匹とオーク1匹だけで、呆れてイラつき始めたクレアによって秒殺された。
「…余裕過ぎたし次は完全攻略された上級者向けダンジョンの下層に挑もうか。」
ダンジョンを出た時、警備兵はまたこうなったかとでも言うような表情をしていた。
俺達はそんな反応も気にせず、上級者向けダンジョンへと向かった。
猫耳宿の猫獣人たちはクレア達に負けず劣らずの美少女揃いで、特に前世の趣味だった。
契約日数が終わり、俺は悔やみながらもパーティーハウスへ帰った。
「はぁ…迷宮都市の情報収集もひと段落ついたし、そろそろダンジョンの1つでも潜ってみるか?」
「待ちわびたぜ!!」
「あたしも~!」
「早速装備を整えて出発しましょう!」
「は、はいなのです!!」
皆待ちきれなかったようで、決闘都市にいた頃にクエストへ向かう時よりも支度が早かった。
期待に胸を躍らせてパーティーハウスを出発した。
迷宮都市にはダンジョンが無数に存在する。
それらは例外なく遥か上空と地下の両方に伸びており、地下ダンジョンの方が難易度が高いらしい。
それぞれより高くより深い階層に行くほど現れる魔物は強くなり、宝箱等から得られるアイテムのランクも高くなる。
ダンジョンは完全攻略、最上層と最下層にいる両方のラスボスを倒してその奥にあるダンジョンコアを破壊、しない限り成長し続け、階層の増加は留まるところを知らないという。
これをすることでダンジョンの成長が止まり、一定時間で一定数の魔物が出現するただの魔物出現スポットになるのだ。
ちなみに階層ボスやラスボスも出現するが、オリジナル個体に比べてステータス値が劣っているらしい。
今向かっているのは完全攻略されたダンジョンの中でも上下階層が計50層以下の初心者向けダンジョンと呼ばれている場所で、攻略するのは上階の方である。
正直俺達の実力ならば最初から未攻略の超高難易度ダンジョンに挑んでも死ぬことはないだろうが、これはパーティー会議で決めたことなのだ。
「…っと、そろそろ見えてきたな。」
目の前には前世の高層ビルと同等以上の高さで、石造りの塔が建っている。
石造りなのはあくまで見た目だけで、どんな怪力の持ち主でもダンジョンの壁や床は全く破壊できなかったという。
もしこれらの素材で武器防具が作れたら最高の物ができると言われている。
「他のダンジョンは見上げても頂上が見えないのに…なんか見劣りするね~」
「小さいダンジョンですし仕方ありませんよ。」
「ほら、早くダンジョンコアを破壊しに行こうぜ!」
「か、完全攻略されたからコアはないのです…」
「というかクレア、未許可で破壊したら犯罪だからな?」
「そ、そうだったな。」
現在発見されているダンジョンの約1/3は完全攻略されているが、ダンジョンによって得られる経済効果はスタンピードというリスクを大きく上回るリターンがあるためダンジョン法として制定されている。
一応ダンジョンコア破壊を国に申請することはできるが、今まで1度も通った試しがない。
政治利用されると少しロマンが薄れる気がするが、ダンジョン攻略すること自体は変わらないので気にしなくていいだろう。
ちなみに完全攻略されたほとんどはダンジョン法が制定される前だが、制定後1度だけ冒険者が無許可で完全攻略したことがあるらしい。
その冒険者は高ランクだったため牢屋に監禁されて拷問を受けた後、推定損害賠償を支払って釈放されたという。
もしこれが低ランク冒険者であったら、死ぬまでずっと鉱山労働させられていただろうと言われている。
『俺達はギルド的にはまだBランクだからな…師範に弁護されなければ間違いなく鉱山労働送りだな。』
そんなことを考えているうちに洞窟のようなダンジョンの入り口に着いた。
入り口には完全攻略されてスタンピードの可能性が無くなったため鉄の薄い門と騎士団の警備兵2人しかいない。
「身分証を提示してください。」
「ああ。」
「…問題ありません。それではどうぞお楽しみください。」
ギィィという錆びた音と共に門が開き、俺達はダンジョンの中に入った。
洞窟のような入り口とは全く持って異なり、中はまるで人工物のように壁や天井が整備された一直線だった。
あくまで人工物のようであるだけで、もちろん誰にも手入れされていない。
照明はないはずなのにダンジョン内は明るく、視界の及ぶ範囲が全てくっきりと見えるほどだ。
これはダンジョン自体が発光しているためだと言われているが、場所によっては暗かったり逆に眩しかったりするらしい。
「なんか…緊張感無いな。」
「だね~5層ごとにある階層ボス部屋まで走らない?」
「そうしましょうか。」
前衛がクレアとアイリス、中衛がスー、後衛が俺とイザベルで隊列を組み”魔物探知”と”罠探知”行使しつつダンジョン内を疾走した。
1層ではスライム1匹、2層では2匹、3層では3匹、4層ではゴブリン1匹しか現れず、罠も無かったので瞬殺して5層ボス部屋の扉に辿りついた。
「…警備兵の見送りの言葉が引っかかっていましたが、ここはもはやアトラクションなのでは?」
「そうだな。…つまらないしさっさと終わらせようか。」
重いと言われているボス部屋を片手で押し開け、前を見るとボスはスライム3匹とゴブリン1匹だけだった。
相手がこちらに気付く前にクレアが瞬殺し、初めてのボス戦は終了した。
それから足を止めることなく魔物を瞬殺して進み、10分も経たずに最上層のラスボス部屋に到着した。
ラスボスはウルフ3匹とオーク1匹だけで、呆れてイラつき始めたクレアによって秒殺された。
「…余裕過ぎたし次は完全攻略された上級者向けダンジョンの下層に挑もうか。」
ダンジョンを出た時、警備兵はまたこうなったかとでも言うような表情をしていた。
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