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第178話 第2回パーティー会議
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「それじゃあオークション成功と師範の保釈を祝って…乾杯!!」
「乾杯~!!」
師範が保釈されたあとすぐに大熊宿に帰り、夕食がてらパーティーを開催した。
皆の顔に浮かんでいた不安の色は消え失せ、とても楽しげな表情である。
「それにしても…無事帰って来て良かったのです。」
「だな!オレも安心したぞ!!」
「うむ。お主たちには本当に感謝するのじゃ!!!」
「師範、ちなみに白金貨1,700枚なんてどこから払ったんですか?」
「そ、それは…」
何かやましいことがあるのか、質問を受けた瞬間目を逸らした。
そして変な汗をかきながらもじもじしている。
「それは~?」
「わ、妾の家と秘蔵コレクションを売ったのじゃ。もちろん家具とか雑貨だけで武器防具やアイテムは売ってないから安心するのじゃ!!」
「えっ!?もしかしてエレノア様は今、家もお金もないんですか?」
「う、うむ…そういえば今晩泊る場所を探さねばいかんのじゃ。」
「ここに泊まってはどうかしら?代金はアルフレッド様が払ってくださいますわ。」
「シルビアさん!?そんな勝手に…まあ師範のためならもちろんいいですよ。」
「弟子よー-!!ありがとうなのじゃ!!!」
「ちょっ、くっつかないで…あっ!!酒が服に…」
「アルフレッドが困っている姿は珍しいですね。」
「た、確かに珍しいのです。」
「だな!!もうちょっと見てようぜ。」
「賛成~」
「見てないで助けてくれよ!!ってか師範力入れすぎです!!あばらが折れる…」
そんなこんなでワイワイとどんちゃん騒ぎをし、いつの間にか全員寝落ちして朝を迎えた。
床で寝たため身体も痛く寝不足だが、なんとも清々しい朝だった。
『…とりあえず日課をこなしてくるか。』
門を出て少し開けた森の中で早朝訓練を行い、湖で汗を流して宿に戻った。
太陽が完全に昇りきり、さんさんと輝いている。
「あっ、おかえり~」
「ただいま。スーがこの時間に起きてるのは珍しいな。」
「あたしそんなに酷くないよ~」
「どうだかな。それで、他の皆はどうしたんだ?」
「それぞれの部屋で支度してるよ~あっ、ソフィアがこの後集まってほしいってさ~」
「場所は?」
「ここ~」
「分かった。じゃあ俺は部屋で少し時間潰してるよ。」
「りょうか~い。」
それから”アイテムボックス”の整理や武器防具の手入れをして皆が集まるのを待った。
また、ソフィアが招集した理由に見当をつけようとしたが難しかった。
数十分後
「皆様、これをご覧ください。」
「これは…新聞か?」
「はい。昨晩食堂に忘れていったお客様のものですが、姉様に頂いたのです。」
「おっ、”六王遺跡の探索成功”って記事があるぞ!!オレ達も載ってるんじゃないか?」
「”冒険者学校卒業者が集うアルフレッドパーティーが遺跡の探索に成功”…と書いてありますね。」
『父上がオークション会場で言ってたことか。』
遺跡の探索に成功したことや発掘品をオークションで売ったことなどが事細かに書かれていた。
そして、師範が遺跡を破壊したことももちろん載っていた。
「”アルフレッドパーティー”…ですか。そういえば私たちはまだパーティー名を決めていませんでしたね。」
「そ、そういえばそうなのです。」
「別にアルフレッドパーティーで良くな~い?」
「俺だけのパーティーみたいじゃないか?」
「じゃあアルフレッドが名前考えてよ~」
「俺はそういうの苦手なんだよな…誰か思いつく人いないか?」
周りを見回すと、全員が首を横に振った。
別に”アルフレッドパーティー”でも構わないが、もっとかっこいい名前が無いかと思ってしまうのだ。
脳内で中二病的な単語を組み合わせてはいるものの、なかなかしっくりくるものがない。
「…では次回のパーティー会議まで保留ということでよろしいでしょうか?」
「そうだな。」
「では次に、パーティーハウスの件についてです。パーティー資金は目標の金貨100枚を優に超え、金貨11,864枚まで増えました!!」
「おぉ~」
「今までは金貨100~300枚を前払いしてローンで購入するつもりでしたが、大抵の高級住宅を一括払いすることが可能になりました!!」
「おおおおおおおおおお!!!!!!!!!」
「…つまりいつでも拠点を変更できるということか。」
「おっしゃる通りです。」
「私たちの目標の1つはテレジア王国の迷宮都市ラビリンスにあるダンジョン全ての攻略…で合ってますよね?」
「は、はいなのです。迷宮都市に移すのはどうなのです?」
「おっ、それいいな!!オレも早くダンジョン攻略したいぜ!!!」
「半分以上のダンジョンはまだ完全攻略されてないし、あたしたちが先駆者になりたいね~」
「だな。迷宮都市に拠点を移すことに賛成の者は挙手してくれ。」
すると、全員がまるで授業参観時の小学生のようにビシッと挙手した。
「…じゃあそれで決定だな。そうと決まれば早速行動だ。知り合いに挨拶周りをして、移動の準備をするぞ。」
「おう!!」
俺としては世界中をじっくり見て回ってからでもいいと思うが、ダンジョン攻略の第一線に立って先駆者になることに比べればいつでもできることだ。
ダンジョン攻略に心躍るのは事実なので、旅はまた今度にするとしよう。
「乾杯~!!」
師範が保釈されたあとすぐに大熊宿に帰り、夕食がてらパーティーを開催した。
皆の顔に浮かんでいた不安の色は消え失せ、とても楽しげな表情である。
「それにしても…無事帰って来て良かったのです。」
「だな!オレも安心したぞ!!」
「うむ。お主たちには本当に感謝するのじゃ!!!」
「師範、ちなみに白金貨1,700枚なんてどこから払ったんですか?」
「そ、それは…」
何かやましいことがあるのか、質問を受けた瞬間目を逸らした。
そして変な汗をかきながらもじもじしている。
「それは~?」
「わ、妾の家と秘蔵コレクションを売ったのじゃ。もちろん家具とか雑貨だけで武器防具やアイテムは売ってないから安心するのじゃ!!」
「えっ!?もしかしてエレノア様は今、家もお金もないんですか?」
「う、うむ…そういえば今晩泊る場所を探さねばいかんのじゃ。」
「ここに泊まってはどうかしら?代金はアルフレッド様が払ってくださいますわ。」
「シルビアさん!?そんな勝手に…まあ師範のためならもちろんいいですよ。」
「弟子よー-!!ありがとうなのじゃ!!!」
「ちょっ、くっつかないで…あっ!!酒が服に…」
「アルフレッドが困っている姿は珍しいですね。」
「た、確かに珍しいのです。」
「だな!!もうちょっと見てようぜ。」
「賛成~」
「見てないで助けてくれよ!!ってか師範力入れすぎです!!あばらが折れる…」
そんなこんなでワイワイとどんちゃん騒ぎをし、いつの間にか全員寝落ちして朝を迎えた。
床で寝たため身体も痛く寝不足だが、なんとも清々しい朝だった。
『…とりあえず日課をこなしてくるか。』
門を出て少し開けた森の中で早朝訓練を行い、湖で汗を流して宿に戻った。
太陽が完全に昇りきり、さんさんと輝いている。
「あっ、おかえり~」
「ただいま。スーがこの時間に起きてるのは珍しいな。」
「あたしそんなに酷くないよ~」
「どうだかな。それで、他の皆はどうしたんだ?」
「それぞれの部屋で支度してるよ~あっ、ソフィアがこの後集まってほしいってさ~」
「場所は?」
「ここ~」
「分かった。じゃあ俺は部屋で少し時間潰してるよ。」
「りょうか~い。」
それから”アイテムボックス”の整理や武器防具の手入れをして皆が集まるのを待った。
また、ソフィアが招集した理由に見当をつけようとしたが難しかった。
数十分後
「皆様、これをご覧ください。」
「これは…新聞か?」
「はい。昨晩食堂に忘れていったお客様のものですが、姉様に頂いたのです。」
「おっ、”六王遺跡の探索成功”って記事があるぞ!!オレ達も載ってるんじゃないか?」
「”冒険者学校卒業者が集うアルフレッドパーティーが遺跡の探索に成功”…と書いてありますね。」
『父上がオークション会場で言ってたことか。』
遺跡の探索に成功したことや発掘品をオークションで売ったことなどが事細かに書かれていた。
そして、師範が遺跡を破壊したことももちろん載っていた。
「”アルフレッドパーティー”…ですか。そういえば私たちはまだパーティー名を決めていませんでしたね。」
「そ、そういえばそうなのです。」
「別にアルフレッドパーティーで良くな~い?」
「俺だけのパーティーみたいじゃないか?」
「じゃあアルフレッドが名前考えてよ~」
「俺はそういうの苦手なんだよな…誰か思いつく人いないか?」
周りを見回すと、全員が首を横に振った。
別に”アルフレッドパーティー”でも構わないが、もっとかっこいい名前が無いかと思ってしまうのだ。
脳内で中二病的な単語を組み合わせてはいるものの、なかなかしっくりくるものがない。
「…では次回のパーティー会議まで保留ということでよろしいでしょうか?」
「そうだな。」
「では次に、パーティーハウスの件についてです。パーティー資金は目標の金貨100枚を優に超え、金貨11,864枚まで増えました!!」
「おぉ~」
「今までは金貨100~300枚を前払いしてローンで購入するつもりでしたが、大抵の高級住宅を一括払いすることが可能になりました!!」
「おおおおおおおおおお!!!!!!!!!」
「…つまりいつでも拠点を変更できるということか。」
「おっしゃる通りです。」
「私たちの目標の1つはテレジア王国の迷宮都市ラビリンスにあるダンジョン全ての攻略…で合ってますよね?」
「は、はいなのです。迷宮都市に移すのはどうなのです?」
「おっ、それいいな!!オレも早くダンジョン攻略したいぜ!!!」
「半分以上のダンジョンはまだ完全攻略されてないし、あたしたちが先駆者になりたいね~」
「だな。迷宮都市に拠点を移すことに賛成の者は挙手してくれ。」
すると、全員がまるで授業参観時の小学生のようにビシッと挙手した。
「…じゃあそれで決定だな。そうと決まれば早速行動だ。知り合いに挨拶周りをして、移動の準備をするぞ。」
「おう!!」
俺としては世界中をじっくり見て回ってからでもいいと思うが、ダンジョン攻略の第一線に立って先駆者になることに比べればいつでもできることだ。
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