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第101話 迷いの森サバイバル(南部) 文明化

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『師範が帰ってくるまであと4日か…何しようかな?』



いつも通り狩りや訓練をして時間を潰してもいいが…

せっかくの自由な時間なので、なにか普段はできないようなことがしたい。



何かやることがないか、拠点の中を見回した。

…といっても、ウルフの毛皮で作った寝袋が1つ転がっているだけだが。



『そういえば今まで地面で寝たり食べたりしてたな。少しは文明的な生活したい…そうだ!!家具でも作るか!!』



この前の暴風雨で倒れた木々があるので、材料には困らない。

作り方は詳しく知らないが…何とかなるだろう。



まずは椅子。

1.程よい太さの木を程よい高さに斬る

2.完成



『…いやシンプルだな。まあ使えるしいいか。』



次にテーブル。

1.テーブルの足になる支柱2本を程よい太さと高さに斬る

2.テーブルの机になる部分として、太い木を縦に両断する。

3.机に支柱をはめられるよう、削って凹みを作る。

4.支柱が倒れないよう、地面も削って凹みを作る。

5.それらを組み立て、イヴィープラントのツタで縛る

6.完成



『なかなか難しかったな…前世の森林公園とかのベンチにありそう。』



少しがたつくような気もしなくはないが、使えるのでいいだろう。

これで食事の時は床に座らずに食べることができる。



このテーブルは1人用なので、師範の分をもうひとつ作った。

作り終えると、既に夕方前になっていたので食事と訓練をして眠りについた。



2日目



『今日は…そうだな。食器作るか。』



今まで焼いた肉を葉の上に乗せ、木の枝で刺して食べていたのが…

何度も肉を落としてしまうことがあるくらい、ただ食べずらいのだ。



まずは皿。

1.木を厚さ5cmくらいに斬る

2.ナイフで木の中身を彫り、曲線を描くようにする

3.完成



『手触りはガサガサで最悪だけど磨くものないからなぁ…あとで探しに行くか。』



それから予備や師範の分、計5つを作った。



次に箸。

1.程よい太さと長さの木の枝を拾う

2.ナイフで削る

3.完成



『簡単な作りで良かった。スプーンは…難しそうだからやめるか。』



その後洞窟の周辺を探索し、木の皿を磨く研磨材探した。

結果、ウェアウルフ亜種に遭遇するだけで見つけられなかった。



『妥協するか…いや待てよ。“闘気操術“による武器強化で磨けるんじゃないか…?』



試しに近くに落ちていた木の葉に武器強化を施し、木の皿を擦ってみた。

すると…



『おぉ…!!』



木の葉の裏側がざらざらとしていたので、ヤスリの代わりとして使うことができた。

残りの5つも磨き終えると、夕方になっていたので食事と訓練をして眠りについた。



3日目



『今日は何作ろうかな…?』



最初は生活の文明化を目指して始めた家具制作だったが…

取り組んでいるうちに魅了され、趣味になりつつある。



今所持している材料を確認するため、“アイテムボックス“を確認した。



『生肉、木、生肉、生肉、木の枝、生肉、生肉… 生肉の量が多いな。』



いくら“アイテムボックス“は時間経過がないとはいえ、生のまま放置するのは何となく気になる。

それに、生肉のままだとお腹が空いた時にすぐ口にすることができない。



『…今日は料理に挑戦するか。』



とはいえ、社畜時代はコンビニ飯ばかりで料理をしたことがあまりない。

何とか記憶を辿りながら料理を始めた。



1品目:部位ごとに薄く切って焼いた焼肉。

2品目:柔らかい部位を分厚く切って焼いたステーキ。

3品目:ナイフで挽肉にして焼いたハンバーグ。

4品目:薄く切った肉を葉に包んで焚き火の下に埋め、地熱で焼いたローストビーフ。

5品目:乾いた木を細かく切り刻んで燃やし、煙で燻した燻製肉。



『まあまあ頑張った方では…?』



結果、“アイテムボックス“に収納していた大量の生肉の4割ほどを調理し終えた。

味付けが塩と胡椒の1種類しかないのは不可抗力だ。



『…前世の調味料に対応している素材が分からなかったし仕方ない。市場に行ったことないしな。』



これは今後の課題にしよう。

まだ日が暮れるまで少し時間があるため、早速調味料を探しに拠点を出た。



結論から言うと、何も見つからなかった。

“鑑定“で毒がない植物を判別して口にしてみたが、ほとんどはただ青臭いだけだった。



『うぅ…口の中が気持ち悪いな…』



口直しをしつつ夕食を取るため、ついさっき作ったローストビーフを食べた。

前世のレストランで食べたものには遠く及ばないが、それでもなかなか美味しかった。



その後訓練をして、眠りについた。



4日目



『今日は…身体が鈍ってきたし1日中訓練するか。』



ただひたすら素振りやソードスキルを行使する単純作業なので、詳細は割愛する。

日が暮れ始めた頃、片手剣のスキルレベルがLv.6→7に上がった。



5日目



いつも通り日の出と共に目を覚まし、訓練を行った。

朝食や昼食を挟み、14:00頃になった。



すると、外で羽ばたく音が聞こえた。

俺は急いで外に出て、出迎えた。



「師範!!おかえりなさい!!」



「うむ!!この柵はなかなかいい出来じゃな。」



「ありがとうございます!!どうぞ中へ。」



「うむ!…なっ、なんじゃこれ!?」



ただの洞穴から1つの部屋になっていることに驚いて、キョトンとしている。

その顔は一生忘れられないだろう。



「キリングベアを仕留めてから時間が余ったので、生活水準を上げたんです。」



「お、お主がこんなに器用だったとは思わなかったのじゃ…」



「俺もです。」



1週間ぶりに人と話したからだろうか?

どこか寂しかった心に温かみを感じ、満たされるような気持ちになった。
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