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第77話 剣闘祭 第4回戦 vsユタワ校②

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「それでは2戦目に移ります!!」



次の相手は弓使いの男エルフ…相性がいいので苦戦しないだろう。

というか、これまでの試合で彼は短剣使いだったはずだ。



『太腿に短剣を持ってるのか…ってか決闘で遠距離武器の弓を使うのはどうかと思うがな。』



弓は撃つまでに時間がかかるため、番えている最中に距離を詰められる。

彼はその対策として短剣を持っているのだろうが…短剣に持ち替えるまでにやられるのでほとんど無意味だ。



「それでは両者武器を構えて…試合開始!!」



「はっ!!」



開始と同時に男エルフが矢を放った。

スーは鳥人族特有の動体視力を活かし、それを回避した。



「えっ…!?!?」



しかし、回避した先に矢が飛んできた。

何とか槍で弾き、前を向くと2本の矢が既に飛んできていた。



『なっ…!?!?早撃ちの達人だったのか…!!』



1秒に約2本の矢を番い、放っている。

早撃ちはスキルチェインと同様システム外スキルなので、彼の実力を見誤ってしまった。



『“精霊付与“のユニークスキル保持者の他にこんな隠し球がいたとは…スー、頑張ってくれ…!!』



スーの動体視力と空間把握能力は常軌を逸している。

以前、アイリスとの模擬戦でそれが露わになった。



アイリスが“瞬足“を行使し、移動速度の変化を利用してスーの懐に入り込もうとした時…

まるで未来を予知したかのようにアイリスの移動先に槍を構え、そのまま仕留めた。



俺はその行動に圧巻し、スーに尋ねると



「普通に見て反応しただけだよ~足の向きとか筋肉の動きとか…慣れれば案外簡単だよ~!!」



と、のほほんと答えた。



俺はそれがあまりに現実離れしていて信じられず、試しに不意打ちで練習用の短剣を右太腿投げてみた。

すると、スーはまるで短剣が飛んでくる時間と場所が分かっているように左へ避けた。



「ちょっとアルフレッド!!急に何するの~!!」



「すまんすまん。」



それ以降、俺はスーの実力を認めている。

正直Lvやステータス値が上がったら、俺は模擬戦で負けるかもしれない。



『神業だな…さすが。』



周辺視野で飛んでくる矢の場所と被弾する時間を把握してある時は身体を捻り、ある時は槍で弾いて男エルフへの距離を縮めてゆく。



5mまで近づいたところで男エルフは弓を投げつけ、その隙に短剣に持ち替えようとした。

だが、スーはそれを予想していた。



投げつけてきた弓を槍で打ち返し、男エルフの身体にぶつけた。

そして怯んだところを“ステラスピア“で仕留めた。



「試合終了ーー!!勝者、アインザス校スー選手ーー!!」



「矢の弾幕を華麗に回避して無傷で仕留めましたね…恐るべき戦闘技術です。」



正直もしも俺がスーの立場だったら、“闘気操術“を駆使しても無傷では済まなかっただろう。

本当に…末恐ろしい戦闘技術だ。




3戦目は短剣使いで俊敏性を活かす女エルフだったが、アイリスより遅いので瞬殺だった。

4戦目も両手剣使いでガタイのいい男エルフだったが、クレアより力も技術も劣っていたので瞬殺だった。



「スー選手の勢いが止まらない!!このまま5人抜きとなるのかーー!!」



「それでは5戦目に移ります!!」



ついに“精霊付与“のユニークスキル保持者、男エルフの登場だ。

得物は俺と同じバスタードソード…俺との戦闘経験を活かせるだろう。



「両者武器を構えて…試合開始!!」



“精霊付与“の男エルフもスーも、その場で睨み合っている。

男エルフは戦闘技術を、スーは“精霊付与“のユニークスキルを警戒しているようだ。



「…はぁぁぁぁ!!!」



男エルフが先手を切った。

バスタードソードを両手で持ち、右下段に構えて距離を詰める。



『“精霊付与“は…まだ行使してないみたいだな。』



だが、あらかじめ



「鍔迫り合いになった瞬間に行使し、武器破壊を狙ってくるかもしれない。」



と戦力分析の書類に記載し、ぐるっと囲んで強調しておいた。

そのため、スーは鍔迫り合いを避けるために攻撃を回避した。



『ん…?あの男エルフ、動きに無駄が多くないか…?』



狙いが見え見えで、攻撃速度が遅く威力も弱い。

剣を扱っているというより、むしろ剣に振り回されている感じだ。



『いや…これは酔拳的なフェイントなのか…?』



それにしては隙だらけだ。

スーもあまりの戦闘技術の無さに困惑しているようだ。



「下等生物の分際で生意気な!!“精霊付与“!!」



ついにバスタードソードを大きく上へ掲げ、ユニークスキルを行使した。

まるでアニメに出てくる聖剣のように、周囲から光の粒のようなものが持つバスタードソードへ集められて…



『…へ?』



戦力分析の書類にもう1つ記載しているのを忘れていた。

確か



「“精霊付与“を行使する際は大きな隙ができるはずだ。行使中の対策は練っているだろうが、相手を倒せる可能性が最も高い。』



と。

観客の視線が剣に集まる光に向かう中、スーはその注意書きに従って距離を詰めていた。



「なっ…!?!?お、お前!!卑怯だぞ!!」



「知らないよ~!!」



相手が両手を掲げているところに“ステラスピア“を行使し、男エルフの身体に5つの穴を開けた。



「し、試合終了ーー!!第4回戦、アインザス校の勝利ーー!!」



「スー選手も5人抜き達成しましたね。素晴らしい。」



男エルフが馬鹿で戦闘技術が低かったようで良かった。

正直光の粒が少し集まっただけでも、途轍もないエネルギーのようなものを感じたのだ。



「あたしも5人抜き出来たよ~!!」



「矢の雨をよく突破しましたね。」



「オレも感動したぞ!!」



「えへへ~」



「スー、よくやったな。」



「ありがと~」
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