76 / 246
第76話 剣闘祭 第4回戦 vsユタワ校①
しおりを挟む
「…って、師範!!今何時ですか⁉︎」
「まだ6:00だから安心するのじゃ。」
「よかった…」
普段は朝の訓練のために4:30に起きているので、いつもよりは遅い。
しかし、剣闘祭に遅刻する失態は回避できそうだ。
「…弟子よ、身体に異常はあるのじゃ?」
「いえ。むしろTPが滾って調子がいいくらいです。」
“闘気操術“でTPを循環させる体内の経路も、心なしか広くなった気がする。
今ならTP5,000を纏って戦えそうだ。
「ふむ…副作用が無いことになにか心当たりはあるのじゃ?」
「そうですね…TP切れの症状が出ないことでしょうか?」
「それじゃな!!きっとお主は状態異常に対するユニークスキルを持っておるのじゃよ!!」
「なるほど…!!」
『師範も師範なりに心配してくれたみたいだし、知ってたとは言えないからな…』
「それなら納得なのじゃ!!妾はもう部屋に戻るのじゃ。」
「はい。ありがとうございます。」
4人はまだ寝ているのだろうか?
丸薬のせいなのか、身体から異臭がするので水浴びをしに外へ出た。
「あ、アルフレッドおはよ~」
「スー!早起きなんて珍しいな。」
「今日は試合だからね~!」
そういえば昨晩、ユタワ校の対策会議に参加しそびれてしまった。
戦力分析の書類はアイリスに渡しておいたので大丈夫だろうが…
「…スー、準備は万端か?」
「うん!アルフレッドが役立たずな代わりにアイリスが頑張ってくれたから!」
「それは…すまん。」
「冗談だよ~!!でも大丈夫!!アルフレッドが作ってくれた書類見たから!!」
「そうか。けど大将の男エルフには本当に気をつけろよ?」
「魔剣もどきの剣を扱うんでしょ~?」
「ああ。」
「警戒してるから大丈夫だよ~」
「了解。じゃあまた後でな。」
「うん!」
本当に緊張していないようだったので、これ以上心配するのは野暮だろう。
水浴びを終え、自室に戻った。
「…あっ、そういえば遺書も書いてたな。」
机の上に置いたままになっているので、まだ誰も読んでいないようだ。
改めて読むと小っ恥ずかしい内容なので、これは“アイテムボックス“の底で封印しておこう。
それから色々と準備している間に3人も起き、5人でコロッセオに向かった。
「なぁアルフレッド、昨日どうしたんだ?様子がおかしかったぞ?」
「あぁいや、昨日初めて師範…エレノア様の稽古を受けてな。死ぬほど疲れてたんだよ。」
「やっぱりそうだったんですね。」
「ボ、ボク心配しました。」
「すまん。今後ああいうことにはならないから安心してくれ。」
「そうですか。それは良かったです。」
なんとか誤魔化せてよかった。
この4人に生死を彷徨うところだったと言ったら、何をされるかわからない。
「やっぱりアルフレッドだけエレノア様の稽古ずるいな~」
「クレアも剣闘祭で活躍すれば後継者に選ばれるんじゃないか?」
「そうだな!!頑張るか!!」
そんなことを話しているうちに到着した。
ひとまず控室で支度と使用武器の選りすぐった後、急いで賭場に向かった。
「おう坊主!!今日も来たな!!」
「ああ!!オヤジさん、アインザス校1番手の5人抜きに金貨1枚!!」
「はいよ!!」
実のところ、スーが“精霊付与“を使う男エルフに勝てるか分からない。
性能差で武器を壊されたら負けてしまうだろう。
『まぁ…今までのスーの頑張りを信じるか!!』
チケットを受け取り、すぐに控室に戻った。
4人は既に準備が整っていたので、さっさと装備を着用して合流した。
「じゃあ…行くよ~!!」
「アインザス校の入場だーー!!今日も5人抜きを魅せてくれるのかーー!!」
「今日は鳥人族のスー選手が1番手ですね。その実力が気になるところです。」
先頭に立って入場するスーは普段の能天気な様子とはまるで違い、自信満々で猛者のようだ。
「じゃあスー、俺達は後ろで見守ってるから頑張れよ!!」
「うん!!」
エルフを見るのはエリス先生以来、2度目だ。
ユタワ校のエルフは美しいというより可愛いと言った雰囲気で、個人的にはエリス先生の方が断然好きだ。
…それはさておき、相手の大将以外はステータス値も勝っているので特に苦戦することはないだろう。
相手の1番手、女エルフの得物はスーと同じく槍…戦闘技術の差で勝てるだろう。
「それでは第4回戦1試合目を始めます!!両者武器を構えて…試合開始!!」
「やぁぁぁ!!!」
開始と同時に、女エルフが槍Lv.1“スピア“を行使して一直線に攻撃を仕掛けた。
エルフの敏捷性を生かした素早い突きだ。
対人戦を行うとき、相手の油断を突いて仕留めるのがセオリーだ。
女エルフは最も油断している瞬間と言われる開始直後を狙ったようだ。
普通の相手なら、この突きで葬れただろう。
…そう、普通の相手ならば。
「なっ…!?!?」
スーは攻撃を完全に見切り、パリィした。
普段からアイリスの異常な速度の攻撃とやり合っているのだ。
それに比べたらもはや止まって見える。
相手が体勢を崩したところで背後に回り込み、槍Lv.3“ステラスピア“で5点を貫いて仕留めた。
「試合終了ーー!!勝者、アインザス校スー選手ーー!!」
『普段の実力を存分に発揮できてるな。』
順調なスタートを切ることができた。
「まだ6:00だから安心するのじゃ。」
「よかった…」
普段は朝の訓練のために4:30に起きているので、いつもよりは遅い。
しかし、剣闘祭に遅刻する失態は回避できそうだ。
「…弟子よ、身体に異常はあるのじゃ?」
「いえ。むしろTPが滾って調子がいいくらいです。」
“闘気操術“でTPを循環させる体内の経路も、心なしか広くなった気がする。
今ならTP5,000を纏って戦えそうだ。
「ふむ…副作用が無いことになにか心当たりはあるのじゃ?」
「そうですね…TP切れの症状が出ないことでしょうか?」
「それじゃな!!きっとお主は状態異常に対するユニークスキルを持っておるのじゃよ!!」
「なるほど…!!」
『師範も師範なりに心配してくれたみたいだし、知ってたとは言えないからな…』
「それなら納得なのじゃ!!妾はもう部屋に戻るのじゃ。」
「はい。ありがとうございます。」
4人はまだ寝ているのだろうか?
丸薬のせいなのか、身体から異臭がするので水浴びをしに外へ出た。
「あ、アルフレッドおはよ~」
「スー!早起きなんて珍しいな。」
「今日は試合だからね~!」
そういえば昨晩、ユタワ校の対策会議に参加しそびれてしまった。
戦力分析の書類はアイリスに渡しておいたので大丈夫だろうが…
「…スー、準備は万端か?」
「うん!アルフレッドが役立たずな代わりにアイリスが頑張ってくれたから!」
「それは…すまん。」
「冗談だよ~!!でも大丈夫!!アルフレッドが作ってくれた書類見たから!!」
「そうか。けど大将の男エルフには本当に気をつけろよ?」
「魔剣もどきの剣を扱うんでしょ~?」
「ああ。」
「警戒してるから大丈夫だよ~」
「了解。じゃあまた後でな。」
「うん!」
本当に緊張していないようだったので、これ以上心配するのは野暮だろう。
水浴びを終え、自室に戻った。
「…あっ、そういえば遺書も書いてたな。」
机の上に置いたままになっているので、まだ誰も読んでいないようだ。
改めて読むと小っ恥ずかしい内容なので、これは“アイテムボックス“の底で封印しておこう。
それから色々と準備している間に3人も起き、5人でコロッセオに向かった。
「なぁアルフレッド、昨日どうしたんだ?様子がおかしかったぞ?」
「あぁいや、昨日初めて師範…エレノア様の稽古を受けてな。死ぬほど疲れてたんだよ。」
「やっぱりそうだったんですね。」
「ボ、ボク心配しました。」
「すまん。今後ああいうことにはならないから安心してくれ。」
「そうですか。それは良かったです。」
なんとか誤魔化せてよかった。
この4人に生死を彷徨うところだったと言ったら、何をされるかわからない。
「やっぱりアルフレッドだけエレノア様の稽古ずるいな~」
「クレアも剣闘祭で活躍すれば後継者に選ばれるんじゃないか?」
「そうだな!!頑張るか!!」
そんなことを話しているうちに到着した。
ひとまず控室で支度と使用武器の選りすぐった後、急いで賭場に向かった。
「おう坊主!!今日も来たな!!」
「ああ!!オヤジさん、アインザス校1番手の5人抜きに金貨1枚!!」
「はいよ!!」
実のところ、スーが“精霊付与“を使う男エルフに勝てるか分からない。
性能差で武器を壊されたら負けてしまうだろう。
『まぁ…今までのスーの頑張りを信じるか!!』
チケットを受け取り、すぐに控室に戻った。
4人は既に準備が整っていたので、さっさと装備を着用して合流した。
「じゃあ…行くよ~!!」
「アインザス校の入場だーー!!今日も5人抜きを魅せてくれるのかーー!!」
「今日は鳥人族のスー選手が1番手ですね。その実力が気になるところです。」
先頭に立って入場するスーは普段の能天気な様子とはまるで違い、自信満々で猛者のようだ。
「じゃあスー、俺達は後ろで見守ってるから頑張れよ!!」
「うん!!」
エルフを見るのはエリス先生以来、2度目だ。
ユタワ校のエルフは美しいというより可愛いと言った雰囲気で、個人的にはエリス先生の方が断然好きだ。
…それはさておき、相手の大将以外はステータス値も勝っているので特に苦戦することはないだろう。
相手の1番手、女エルフの得物はスーと同じく槍…戦闘技術の差で勝てるだろう。
「それでは第4回戦1試合目を始めます!!両者武器を構えて…試合開始!!」
「やぁぁぁ!!!」
開始と同時に、女エルフが槍Lv.1“スピア“を行使して一直線に攻撃を仕掛けた。
エルフの敏捷性を生かした素早い突きだ。
対人戦を行うとき、相手の油断を突いて仕留めるのがセオリーだ。
女エルフは最も油断している瞬間と言われる開始直後を狙ったようだ。
普通の相手なら、この突きで葬れただろう。
…そう、普通の相手ならば。
「なっ…!?!?」
スーは攻撃を完全に見切り、パリィした。
普段からアイリスの異常な速度の攻撃とやり合っているのだ。
それに比べたらもはや止まって見える。
相手が体勢を崩したところで背後に回り込み、槍Lv.3“ステラスピア“で5点を貫いて仕留めた。
「試合終了ーー!!勝者、アインザス校スー選手ーー!!」
『普段の実力を存分に発揮できてるな。』
順調なスタートを切ることができた。
0
お気に入りに追加
1,280
あなたにおすすめの小説
戦闘狂の水晶使い、最強の更に先へ
真輪月
ファンタジー
お気に入り登録をよろしくお願いします!
感想待ってます!
まずは一読だけでも!!
───────
なんてことない普通の中学校に通っていた、普通のモブAオレこと、澄川蓮。……のだが……。
しかし、そんなオレの平凡もここまで。
ある日の授業中、神を名乗る存在に異世界転生させられてしまった。しかも、クラスメート全員(先生はいない)。受験勉強が水の泡だ。
そして、そこで手にしたのは、水晶魔法。そして、『不可知の書』という、便利なメモ帳も手に入れた。
使えるものは全て使う。
こうして、澄川蓮こと、ライン・ルルクスは強くなっていった。
そして、ラインは戦闘を楽しみだしてしまった。
そしていつの日か、彼は……。
カクヨムにも連載中
小説家になろうにも連載中
異世界なんて救ってやらねぇ
千三屋きつね
ファンタジー
勇者として招喚されたおっさんが、折角強くなれたんだから思うまま自由に生きる第二の人生譚(第一部)
想定とは違う形だが、野望を実現しつつある元勇者イタミ・ヒデオ。
結構強くなったし、油断したつもりも無いのだが、ある日……。
色んな意味で変わって行く、元おっさんの異世界人生(第二部)
期せずして、世界を救った元勇者イタミ・ヒデオ。
平和な生活に戻ったものの、魔導士としての知的好奇心に終わりは無く、新たなる未踏の世界、高圧の海の底へと潜る事に。
果たして、そこには意外な存在が待ち受けていて……。
その後、運命の刻を迎えて本当に変わってしまう元おっさんの、ついに終わる異世界人生(第三部)
【小説家になろうへ投稿したものを、アルファポリスとカクヨムに転載。】
【第五巻第三章より、アルファポリスに投稿したものを、小説家になろうとカクヨムに転載。】
転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位
最弱スキルも9999個集まれば最強だよね(完結)
排他的経済水域
ファンタジー
12歳の誕生日
冒険者になる事が憧れのケインは、教会にて
スキル適性値とオリジナルスキルが告げられる
強いスキルを望むケインであったが、
スキル適性値はG
オリジナルスキルも『スキル重複』というよくわからない物
友人からも家族からも馬鹿にされ、
尚最強の冒険者になる事をあきらめないケイン
そんなある日、
『スキル重複』の本来の効果を知る事となる。
その効果とは、
同じスキルを2つ以上持つ事ができ、
同系統の効果のスキルは効果が重複するという
恐ろしい物であった。
このスキルをもって、ケインの下剋上は今始まる。
HOTランキング 1位!(2023年2月21日)
ファンタジー24hポイントランキング 3位!(2023年2月21日)
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
チート狩り
京谷 榊
ファンタジー
世界、宇宙そのほとんどが解明されていないこの世の中で。魔術、魔法、特殊能力、人外種族、異世界その全てが詰まった広大な宇宙に、ある信念を持った謎だらけの主人公が仲間を連れて行き着く先とは…。
それは、この宇宙にある全ての謎が解き明かされるアドベンチャー物語。
くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~
はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま)
神々がくじ引きで決めた転生者。
「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」
って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう…
まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか
Shining Rhapsody 〜神に転生した料理人〜
橘 霞月
ファンタジー
異世界へと転生した有名料理人は、この世界では最強でした。しかし自分の事を理解していない為、自重無しの生活はトラブルだらけ。しかも、いつの間にかハーレムを築いてます。平穏無事に、夢を叶える事は出来るのか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる