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第180話 蟲のダンジョン ラスボス戦
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待つこと数分
ボス部屋の床全体に巨大な魔法陣が展開された。
これは俺がよく知っている“転移“の魔法陣だ。
『…これ“魔法分解“で無効化したらどうなるんだ?』
好奇心に負けそうになったが、ラスボス戦が出来なくなったら嫌なのでなんとか我慢した。
『ついにラスボスか…気を引き締めていこう!!』
俺は全てのバフをかけ直し、深呼吸して心を落ち着かせた。
そして魔法陣が眩い光を放つとともに、俺は“転移“させられた。
『ん…ここは…?』
そこは広大な砂漠フィールドで、敵らしき姿は見られない。
「グガガガガァァ!!!!」
『な、なんだ!?!?』
激しい咆哮が聞こえた。
その咆哮は、何故か全方向から聞こえたように感じた。
落ち着いて"レーダー“を行使すると、敵は遠い前方に存在していた。
このフィールドは周囲が岩壁に覆われており、全方向から聞こえたのはその反響によるものだろう。
『それにしても…なかなか強い魔力反応だな。』
おそらくグレイと同程度のステータス値を誇っているだろう。
もし魔王候補者になる前にここに来ていたら、死んでいたかもしれない。
地響きとともに魔力反応が近づいて来る。
これがもし足音であるのならば、途轍も無く巨大な虫の魔物であるということだ。
『なっ…!?!?なんだ…その姿は…!?!?』
俺はラスボスと思われる魔物の姿を見て後退りした。
ソレは異形の姿をしていた。
蜘蛛の足に蟻の胴体、蝶の羽に蜂の針。
カブトムシの角にクワガタのハサミ…
他にも数種類の虫の身体的特徴が結合されていた。
『これが本物のキメラってやつか…醜いな…』
その異形を“鑑定“すると、結合している大方の魔物スキルを習得していた。
俺は右手で火属性魔法限界突破Lv.1“業火球“と水属性魔法限界突破Lv.1“止水球“を、左手で風属性魔法限界突破Lv.1“暴風球“と土属性魔法限界突破Lv.1“磐石球“をストックした。
基本四属性は相反的な属性であるため、効果が打ち消されるように感じるかもしれない。
威力の弱い魔法同士だったらそうだが、限界突破魔法に関してはむしろ逆なのだ。
『…安らかに逝け。』
“魔力念操作“で基本四属性の限界突破魔法を順番にキメラに直撃させた。
“業火球“と“止水球“の接触による激しい爆発が起こり、その爆発で“磐石球“が岩石に砕かれ、そして“暴風球“で収束される。
風の籠の中は摂氏何千度にも至る灼熱空間となり、さらに沸騰している水滴と鋭く砕けた岩石が縦横無尽に飛び交っている。
「グガガガッッッ!!」
キメラの身体は徐々に焼け爛れ、全身に深い切り傷を負い、そしてその切り傷が繋がって身体が粉々に千切れて死んだ。
『一撃で仕留められてよかった。変な恐怖感があったから真っ向から戦いたくなかったんだよな。』
ダンジョンがキメラの死を確認したようで、再び地面に“転移“の魔法陣が現れた。
それに乗って“転移“した先は、なんと宝物殿のような場所だった。
警戒しながらその宝物殿に入った。
赤い絨毯に壁掛け、そして至る所に金銀財宝の山ができていた。
『おぉ…!!長年放置されてるはずなのに埃ひとつない…!!使い道ないけど貰っておくか!!』
そんなに苦労して攻略した訳でもないが、貰えるものは貰っておく主義だ。
俺は周囲にあった金銀財宝、ついでに絨毯や壁掛けを全て“アイテムボックス“に収納しようとた。
しかし絨毯と壁掛けはダンジョンの一部だったようで、収納できなかった。
『一番使い道あったのにな…まあいいか。』
今収納したものを“鑑定“すると、昔使われていたと思われる貨幣や飾るようの武器や防具ばかりで、戦闘に役立たないものばかりだ。
お金には困っていないのだが…
『…おっ、宝箱だ!!財宝の山で隠れてたのか…!!』
“罠探知“を行使すると、今まで経験したことがないほど頑丈な罠が仕掛けられていた。
おそらくこれが蟲のダンジョンの本当の攻略報酬だろう。
『よし…“罠解除“!…ん?』
“罠解除“を行使しても、罠が無効化されない。
俺は諦めずに何度も何度も“罠解除“を行使し続けた。
『くそ…なんで解除されないんだ…?』
“罠解除“スキルは限界突破Lv.1に達しているし、ランクが足りないということはあり得ないだろう。
何か封印を解く鍵があるのかと思ったが、それも見当たらない。
『…試してみるか。』
実はダンジョン攻略本に向かう途中、死神から“念話“が届いた。
「汝に困難が待ち受けた時、天魔の剣が汝を助けてくれるだろう。」
とのことだ。
俺が天魔の剣を持っていることも、これからダンジョン攻略に向かうことも一切話していないのだが…
どうして知っているのだろうか。
『…まあいいか。』
俺は“アイテムボックス“の底に眠っていた天魔の剣を取り出した。
すると、剣と宝箱の中身が共鳴するように、激しい金属音が鳴った。
『おぉ…今なら開く気がする…』
俺は天魔の剣を右手で握り締めながら、左手で宝箱に触れた。
次の瞬間、眩い光とともに蓋が開き、中から何かが浮かび上がってきた。
『これは…なんだ…?』
ボス部屋の床全体に巨大な魔法陣が展開された。
これは俺がよく知っている“転移“の魔法陣だ。
『…これ“魔法分解“で無効化したらどうなるんだ?』
好奇心に負けそうになったが、ラスボス戦が出来なくなったら嫌なのでなんとか我慢した。
『ついにラスボスか…気を引き締めていこう!!』
俺は全てのバフをかけ直し、深呼吸して心を落ち着かせた。
そして魔法陣が眩い光を放つとともに、俺は“転移“させられた。
『ん…ここは…?』
そこは広大な砂漠フィールドで、敵らしき姿は見られない。
「グガガガガァァ!!!!」
『な、なんだ!?!?』
激しい咆哮が聞こえた。
その咆哮は、何故か全方向から聞こえたように感じた。
落ち着いて"レーダー“を行使すると、敵は遠い前方に存在していた。
このフィールドは周囲が岩壁に覆われており、全方向から聞こえたのはその反響によるものだろう。
『それにしても…なかなか強い魔力反応だな。』
おそらくグレイと同程度のステータス値を誇っているだろう。
もし魔王候補者になる前にここに来ていたら、死んでいたかもしれない。
地響きとともに魔力反応が近づいて来る。
これがもし足音であるのならば、途轍も無く巨大な虫の魔物であるということだ。
『なっ…!?!?なんだ…その姿は…!?!?』
俺はラスボスと思われる魔物の姿を見て後退りした。
ソレは異形の姿をしていた。
蜘蛛の足に蟻の胴体、蝶の羽に蜂の針。
カブトムシの角にクワガタのハサミ…
他にも数種類の虫の身体的特徴が結合されていた。
『これが本物のキメラってやつか…醜いな…』
その異形を“鑑定“すると、結合している大方の魔物スキルを習得していた。
俺は右手で火属性魔法限界突破Lv.1“業火球“と水属性魔法限界突破Lv.1“止水球“を、左手で風属性魔法限界突破Lv.1“暴風球“と土属性魔法限界突破Lv.1“磐石球“をストックした。
基本四属性は相反的な属性であるため、効果が打ち消されるように感じるかもしれない。
威力の弱い魔法同士だったらそうだが、限界突破魔法に関してはむしろ逆なのだ。
『…安らかに逝け。』
“魔力念操作“で基本四属性の限界突破魔法を順番にキメラに直撃させた。
“業火球“と“止水球“の接触による激しい爆発が起こり、その爆発で“磐石球“が岩石に砕かれ、そして“暴風球“で収束される。
風の籠の中は摂氏何千度にも至る灼熱空間となり、さらに沸騰している水滴と鋭く砕けた岩石が縦横無尽に飛び交っている。
「グガガガッッッ!!」
キメラの身体は徐々に焼け爛れ、全身に深い切り傷を負い、そしてその切り傷が繋がって身体が粉々に千切れて死んだ。
『一撃で仕留められてよかった。変な恐怖感があったから真っ向から戦いたくなかったんだよな。』
ダンジョンがキメラの死を確認したようで、再び地面に“転移“の魔法陣が現れた。
それに乗って“転移“した先は、なんと宝物殿のような場所だった。
警戒しながらその宝物殿に入った。
赤い絨毯に壁掛け、そして至る所に金銀財宝の山ができていた。
『おぉ…!!長年放置されてるはずなのに埃ひとつない…!!使い道ないけど貰っておくか!!』
そんなに苦労して攻略した訳でもないが、貰えるものは貰っておく主義だ。
俺は周囲にあった金銀財宝、ついでに絨毯や壁掛けを全て“アイテムボックス“に収納しようとた。
しかし絨毯と壁掛けはダンジョンの一部だったようで、収納できなかった。
『一番使い道あったのにな…まあいいか。』
今収納したものを“鑑定“すると、昔使われていたと思われる貨幣や飾るようの武器や防具ばかりで、戦闘に役立たないものばかりだ。
お金には困っていないのだが…
『…おっ、宝箱だ!!財宝の山で隠れてたのか…!!』
“罠探知“を行使すると、今まで経験したことがないほど頑丈な罠が仕掛けられていた。
おそらくこれが蟲のダンジョンの本当の攻略報酬だろう。
『よし…“罠解除“!…ん?』
“罠解除“を行使しても、罠が無効化されない。
俺は諦めずに何度も何度も“罠解除“を行使し続けた。
『くそ…なんで解除されないんだ…?』
“罠解除“スキルは限界突破Lv.1に達しているし、ランクが足りないということはあり得ないだろう。
何か封印を解く鍵があるのかと思ったが、それも見当たらない。
『…試してみるか。』
実はダンジョン攻略本に向かう途中、死神から“念話“が届いた。
「汝に困難が待ち受けた時、天魔の剣が汝を助けてくれるだろう。」
とのことだ。
俺が天魔の剣を持っていることも、これからダンジョン攻略に向かうことも一切話していないのだが…
どうして知っているのだろうか。
『…まあいいか。』
俺は“アイテムボックス“の底に眠っていた天魔の剣を取り出した。
すると、剣と宝箱の中身が共鳴するように、激しい金属音が鳴った。
『おぉ…今なら開く気がする…』
俺は天魔の剣を右手で握り締めながら、左手で宝箱に触れた。
次の瞬間、眩い光とともに蓋が開き、中から何かが浮かび上がってきた。
『これは…なんだ…?』
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