誰もいなくなった町

クラーゲン

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宇宙動物園園長室 5

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「園長。実はカクカクシカジカで」
「なに!? 地球人に正体を見破られた」
「しかし、地球人達はここに残ると言っています」
「本当か?」
「ただし、条件をつけてきました」
「ふむふむ。電気ガス水道は問題ない。あれは地球人に怪しまれないために、わざと止めていたのだから。しかし、薬はな」
「だめですか? 本人達が自由意志でやると言っているのだし……」
「私はなるべく効率よくやってほしいのだ。メス個体が一生の内に排卵できる卵子には限りがある。なので最初の排卵があったら、初潮などさせず受精させたい」
「欲張りですね。でも、排卵なら子宮内のマイクロマシンで確認できますので、その時にやらせればいいかと」
「ふむ。そうか」
「それと外出の件は?」
「それが、問題だな。地球人はペットとして高値で取引されている。そんな地球人を町に出したりしたら、どんな悪党が寄ってきて拉致されるか分かったものではない」
「あのう。我々も拉致したのですが……」
「我々はいいのだ」
「……」
「とにかく、万全の警備体制を整えた上で外出するなら許可しよう」
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