17 / 27
交渉
しおりを挟む
ミューが消えてから、数時間後、俺達は理科室に戻って蒸留水を試飲してみた。
「二人ともどうだい? 変な気分になる?」
ミウちゃんも、アユちゃんも首を横に振った。
俺も性欲が沸いてこない。
どうやら蒸留で、薬は取り除けるようだ。
しかし、何時間もかけてコップ三杯分がやっとだった。もう少し大がかりな装置を作っても、いずれは燃料が枯渇するだろう。
「さて、どうするか?」
「お兄さん。あたし、お兄さんの赤ちゃん作ってもいいです」
「ミウちゃん」
「もう、お兄さんとは、何度もセックスしているし……」
「しかし、アユちゃんはまだ処女だし……」
「私……処女じゃありません」
え?
「私……いじめっ子に家に連れ込まれて、そいつの兄貴に犯されました。でも、その人はロリコンではなくて、私なら子供ができないからという理由で……」
ひどい……
「だから、私とやっても大丈夫ですよ」
とはいうものの、水を飲むたびにやっていては身体が持たないし……そうだ!
「フォーク星人と交渉しよう。僕達はここに残る事に同意するが、水に変な薬を入れるのはやめろと」
「「ええ?」」
「嫌だと言うなら、今すぐミューを呼んで『地球へ帰る』と言えば要求を呑むはずだ」
「でも……」「どうやってフォーク星人と……」
「大丈夫。会う方法はあるんだ」
車はコンビニの駐車場に止まった。
車を降りた俺達は、店の裏に回る。
犬小屋の前を取り囲んだ。
「コロ。出ておいで」
ミウちゃんに呼ばれてコロが出てくる。
「きゅーん」
可愛く鳴くコロの首輪を、掴んでから俺は言った。
「もう犬のふりはしなくてもいいぞ。フォーク星人」
そう。コロはフォーク星人が擬態していたのだ。
俺達を見張るために……
「きゅうん」
(何を言っているのだ? こいつは? 私の正体が分かるはずがない)
「心の声も聞こえている」
(なに?)
「さっき、低開発知性体保護協会の人に会って、ここがどこであるか聞いた。僕たちが望めば地球に帰れることも」
(そんな……出ていくのか?)
「よく聞け。僕達は地球帰還の意思表示はしない。ここに残る?」
(なに? いいのか?)
「ただし、条件がいくつかある」
(どんな条件だ?)
「まず、水に変な薬を入れるのはやめろ」
(しかし……入れないとお前達は……)
「この二人に初潮が来たら子供は作る。だから薬で強制するのはよせ」
(本当に、薬を使わなくてもやるのか?)
「約束する」
(分かった。要求をのもう。正直、あの薬は高いから、あまり使いたくなかったのだ)
「それと、電気、ガス、水道を使えるようにしろ」
(それは構わんよ。ここが地球じゃないとばれた以上、止めておく意味がない)
「それともう一つ」
(今度はなんだ?)
「七日に一度は、僕達を動物園の外に出せ」
(出てどうする?)
「お前達の世界を見てみたい」
(分かった。だが、それは私の権限では決められない。上司に相談してくる。だから手を離してくれ)
首輪から手を離すと、コロはいずこかへ走り去っていった。
ミューみたいに瞬間移動はできないようだ。
「二人ともどうだい? 変な気分になる?」
ミウちゃんも、アユちゃんも首を横に振った。
俺も性欲が沸いてこない。
どうやら蒸留で、薬は取り除けるようだ。
しかし、何時間もかけてコップ三杯分がやっとだった。もう少し大がかりな装置を作っても、いずれは燃料が枯渇するだろう。
「さて、どうするか?」
「お兄さん。あたし、お兄さんの赤ちゃん作ってもいいです」
「ミウちゃん」
「もう、お兄さんとは、何度もセックスしているし……」
「しかし、アユちゃんはまだ処女だし……」
「私……処女じゃありません」
え?
「私……いじめっ子に家に連れ込まれて、そいつの兄貴に犯されました。でも、その人はロリコンではなくて、私なら子供ができないからという理由で……」
ひどい……
「だから、私とやっても大丈夫ですよ」
とはいうものの、水を飲むたびにやっていては身体が持たないし……そうだ!
「フォーク星人と交渉しよう。僕達はここに残る事に同意するが、水に変な薬を入れるのはやめろと」
「「ええ?」」
「嫌だと言うなら、今すぐミューを呼んで『地球へ帰る』と言えば要求を呑むはずだ」
「でも……」「どうやってフォーク星人と……」
「大丈夫。会う方法はあるんだ」
車はコンビニの駐車場に止まった。
車を降りた俺達は、店の裏に回る。
犬小屋の前を取り囲んだ。
「コロ。出ておいで」
ミウちゃんに呼ばれてコロが出てくる。
「きゅーん」
可愛く鳴くコロの首輪を、掴んでから俺は言った。
「もう犬のふりはしなくてもいいぞ。フォーク星人」
そう。コロはフォーク星人が擬態していたのだ。
俺達を見張るために……
「きゅうん」
(何を言っているのだ? こいつは? 私の正体が分かるはずがない)
「心の声も聞こえている」
(なに?)
「さっき、低開発知性体保護協会の人に会って、ここがどこであるか聞いた。僕たちが望めば地球に帰れることも」
(そんな……出ていくのか?)
「よく聞け。僕達は地球帰還の意思表示はしない。ここに残る?」
(なに? いいのか?)
「ただし、条件がいくつかある」
(どんな条件だ?)
「まず、水に変な薬を入れるのはやめろ」
(しかし……入れないとお前達は……)
「この二人に初潮が来たら子供は作る。だから薬で強制するのはよせ」
(本当に、薬を使わなくてもやるのか?)
「約束する」
(分かった。要求をのもう。正直、あの薬は高いから、あまり使いたくなかったのだ)
「それと、電気、ガス、水道を使えるようにしろ」
(それは構わんよ。ここが地球じゃないとばれた以上、止めておく意味がない)
「それともう一つ」
(今度はなんだ?)
「七日に一度は、僕達を動物園の外に出せ」
(出てどうする?)
「お前達の世界を見てみたい」
(分かった。だが、それは私の権限では決められない。上司に相談してくる。だから手を離してくれ)
首輪から手を離すと、コロはいずこかへ走り去っていった。
ミューみたいに瞬間移動はできないようだ。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる