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尋問

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 後ろ手に手錠を掛けて、アキラを椅子に座らせた。

 正直、こんな事をする必要はないような気がするが、仮想現実バーチャルリアリティの中で幼女に裏切られ時の事を思うとやはり必要な処置だろう。

 俺は机挟んでアキラと向かい合った。

「札幌政府では、君の情報をほとんど掴んでいない。ただアキラという少年が二人に協力しているという情報だけだ。なので、私は出発前にこの周辺の住民を調べた。個人情報保護法のため名簿とかは調べられなかったが、藤野ふじのあきらという高校生のSNSを見つけた。このあたりに住んでいたらしいが……」
「それ僕です」
「そうか。正直、個人情報を晒し過ぎだと思うが、今回はそれで手間が省けた。ところで、このシェルターは君の家ではないのか?」
「はい、この上に僕の家がありました」
「では、先に謝っておこう。勝手に入ってすまなかった。暗闇の中でバッテリーが切れて困っていたのだ。ここで充電した電気代は後で請求してくれ」
「いえ、それは構いません。どうせ微々たるものだし」
「それで、聞くけどシェルターの中がひどく荒れている。ここでいったい何があった?」
「このシェルターは、戦争が始まる半年前に政府の助成金を受けて父が作ったのです。最初の数か月は、僕もよくこの中に入っていたのですが、そのうち飽きてしまい、戦争の始まる前は一ヶ月間誰も入らなかったのです」
「その間に、奴らに入られてしまったのだね?」
「はい。戦争が始まる前、奴らは警察に追われていました。そこで奴らは家のシェルターをピッキングでこじ開けて中に隠れていたのです。家の家族はそんなことも知らないで、戦争が始まった時にここへ逃げ込んで、奴らと鉢合わせに……それからは、地獄でした。父も母も殺され、僕も毎日殴られていました。殺されなかったのは、奴らがパソコンを使えなかったからです」
 
 俺の場合、鉢合わせになったのは家出少女だったが、下手をすると俺もこういう目に合っていたかもしれないな。

「保安官さん」

 俺の横で黙って聞いていたリンちゃんが口を挟んできた。

「アキラ君は、あいつらに脅されて仕方なく協力させられていたのです。もう手錠は外してあげて」
「その前に、もう一つ確認することがあるのだ。アキラ君。君が女性を強姦したと証言している人がいるのだが、これは事実かい?」

 まあ、どうせデマだろ。こいつは、そんな事をする奴には見えない。

「事実……です」

 なに?
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