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捌
轍2
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「リンちゃん……」
俺はそっとリンちゃんを抱きしめた。
「保安官さんが来てくれた時、とても嬉しかったのです。これでまた、お母さんとお姉ちゃんと、元の様に暮らせると……なのに……」
リンちゃんは、しばらくの間、俺の腕の中で嗚咽を漏らしていた。
「私……悔しいです。お母さんの仇を取りたくて、飛び出してきたのに……私、何もできなかった」
「それは違うよ。リンちゃん」
「え?」
「君がこの轍を見つけてくれたおかげで、二つばかりいいことがあった」
「いいこと?」
「シェルター村には、四つの通路が通じているが、奴がどれを使って逃げたか分からなかった。しかし、この通路を使ったと分かったので、逃走先をある程度……いや、かなり特定できる」
「本当ですか?」
「ああ。草の根分けても、探し出してやる。もっとも、地下に草はないけどね」
「お願いします。絶対にあいつを……」
「それともう一つ、奴がシェルター村のどこかに潜伏している恐れがあったが、これで奴はもういないとはっきりした。それが分からないことには、危なくてお医者さんに来てもらう事は出来なかったが、これで大丈夫だ」
「お医者さん?」
「そう。安全と分かったから、もうすぐ来てくれるはずだ。さあ、戻ろう」
「はい」
リンちゃんは、俺と一緒に戻りかけた。
その時……
「きゃ!」
リンちゃんは、突然小さな悲鳴を上げた。
俺はそっとリンちゃんを抱きしめた。
「保安官さんが来てくれた時、とても嬉しかったのです。これでまた、お母さんとお姉ちゃんと、元の様に暮らせると……なのに……」
リンちゃんは、しばらくの間、俺の腕の中で嗚咽を漏らしていた。
「私……悔しいです。お母さんの仇を取りたくて、飛び出してきたのに……私、何もできなかった」
「それは違うよ。リンちゃん」
「え?」
「君がこの轍を見つけてくれたおかげで、二つばかりいいことがあった」
「いいこと?」
「シェルター村には、四つの通路が通じているが、奴がどれを使って逃げたか分からなかった。しかし、この通路を使ったと分かったので、逃走先をある程度……いや、かなり特定できる」
「本当ですか?」
「ああ。草の根分けても、探し出してやる。もっとも、地下に草はないけどね」
「お願いします。絶対にあいつを……」
「それともう一つ、奴がシェルター村のどこかに潜伏している恐れがあったが、これで奴はもういないとはっきりした。それが分からないことには、危なくてお医者さんに来てもらう事は出来なかったが、これで大丈夫だ」
「お医者さん?」
「そう。安全と分かったから、もうすぐ来てくれるはずだ。さあ、戻ろう」
「はい」
リンちゃんは、俺と一緒に戻りかけた。
その時……
「きゃ!」
リンちゃんは、突然小さな悲鳴を上げた。
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