『シェルターに逃げ込んだら、中に家出少女が棲みついていたのだが、どうすればいい？』

肆

半ば無政府状態。逮捕はなさそう。

　北の国が日米に吹っかけた戦争は、どうやら世界中に飛び火したらしい。
　大元の北の国は無人の荒野と化してしまったが、戦争はまだ欧州でアフリカで中南米で続いていた。
　日本はと言うと、完全に無政府状態になったわけではないが、それに近い状態になっていた。
　すでに東京は首都として機能しなくなり、札幌が首都となった。
　少なくとも五年後に俺がシェルターを出ても、俺を逮捕する警察はないというわけだ。
　札幌まで出向けば警察組織は機能しているが、逮捕されるためにわざわざ出向くわけがない。

　そんな情報を俺は布団の中でスマホで収集していた。

　とりあえずこのままなら、俺が逮捕されることはなさそう。

　ただ、外は無法地帯となって、ヒャッハー軍団が暴れている恐れが……

　おや？　新しい政府広報が出ている。

　日付は昨日か。

　全然、気が付かなかったな。今日は、ほとんどミクちゃんとゲームやっていたし……

　送信元も、首相官邸の地下からではなく、札幌政府からだ。

　内容が気になるが……だめだ、もう疲れた。

　明日にしよう。

　僕はスマホの明かりを消して、布団にもぐりこんだ。

「お兄ちゃん」

　ん？　ミクちゃんの声……

「ミクちゃん？　どこにいる？」

「ここ」

　声はすぐ隣だった。

　すでにミクちゃんは俺の布団の中にいたのだ。