『シェルターに逃げ込んだら、中に家出少女が棲みついていたのだが、どうすればいい？』

玖

……やっぱり、人が悪い……

　しかし、どこへ行っても竜二は締め出されていた。
　
「これは、いいわ」

　刑事さんも人が悪いな。まあ、竜二に同情する余地など微塵もないが、人が困っているところを見て喜ぶとは……

　まあ、俺も見ていて『ざまあ』とは思ったけど……

「小渕沢君。これを見て」

　キララ＝中野刑事の差し出したタブレットには、地下道の地図が表示されていた。シェルターを表すマークのいくつかには、青い丸と赤い丸が付けられている。

「青い印が着いているシェルターは、工作員がいることが以前から分かっていたシェルター。赤い方は、竜二が入れてもらおうとしたシェルター」
「という事は……」
「見ての通り、竜二は青い印の着いているシェルターにはすべて回った。今は青い印の着いていないシェルターの前にいる。つまり、そのシェルターには、今までこっちが知らなかった工作員が潜んでいる可能性があるという事よ」

　なるほど。こうやって竜二が歩き回れば、潜入工作員の居場所が次々と分かってしまうわけだ。さっき『これは、いいわ』と言ったのは、そういう事だったのだな。別に、竜二が苦しんでいる様を見て喜んでいるわけでは……

「それにしても、竜二の奴いい気味ね。仲間からも見捨てられて。笑えるわ」

　……やっぱり、人が悪い……