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玖
住民調査
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「まったく、なんなのよ! あのおっさんは」
キララは……というより、それを操作している中野刑事は、歩きながらいきり立っていた。
「空き巣と、引っ越しの見分けもつかないのかしら」
「まあまあ、刑事さん。下手に空き巣と気が付いて騒ぎ立てたら、悲惨な事になっていたかもしれませんよ」
そう。空き巣の現場に遭遇して下手に騒ぎ立てていたら、あのおっさん殺されていたかもしれない。
「分かっているわよ。せめて、気が付かないふりをして、やり過ごしてから、通報するぐらいしてくれれば……」
いや、民間人にそんな事を期待しても……
「それより、問題はあの人の生活態度よ」
「はあ、何か問題でも?」
「問題しかないわよ! いい歳をした男が、結婚もしないで部屋に閉じこもって不健全な漫画を描いて」
そんなの本人の勝手だと思うけどな……
「今は日本の人口が激減している。日本再生のために子供を作らなきゃならない。そのために男は十人まで結婚できる事になったのに、あの男は身体になんの問題もないのに、結婚しようとしない。これは犯罪的な怠慢だわ」
「結婚て、相手がいないと、できないのですけど……」
「相手なんて、いくらだっているでしょう。今は女が余っているのよ」
いくら女が余っているといっても、それぞれ好みがあるからな……
そうこうしている間に、次のシェルターに着いた。
シェルターには『金氏』と書かれた表札がかかっていた。出てきたのは、中年のおばさん。
「初狩さんのシェルターですか? 初狩さんとは交流していませんので分かりませんわ。一度だけ若い娘さんが出てくるのを見かけましたが……」
「それは、いつごろですか?」
「昨日のことです」
キララは、スマホに紀里の顔写真を表示して見せた。
「こんな女でしたか?」
「さあ? 後姿だったので、はっきりとは」
「そうですか。ところで、金氏さんのシェルターは申請によると金氏さん夫婦と息子さん。その他に近所の女性を二人保護した事になっていますが、間違いはありませんか?」
「間違いありませんけど、何か問題でも?」
「いえ、ただの住民調査です」
キララは……というより、それを操作している中野刑事は、歩きながらいきり立っていた。
「空き巣と、引っ越しの見分けもつかないのかしら」
「まあまあ、刑事さん。下手に空き巣と気が付いて騒ぎ立てたら、悲惨な事になっていたかもしれませんよ」
そう。空き巣の現場に遭遇して下手に騒ぎ立てていたら、あのおっさん殺されていたかもしれない。
「分かっているわよ。せめて、気が付かないふりをして、やり過ごしてから、通報するぐらいしてくれれば……」
いや、民間人にそんな事を期待しても……
「それより、問題はあの人の生活態度よ」
「はあ、何か問題でも?」
「問題しかないわよ! いい歳をした男が、結婚もしないで部屋に閉じこもって不健全な漫画を描いて」
そんなの本人の勝手だと思うけどな……
「今は日本の人口が激減している。日本再生のために子供を作らなきゃならない。そのために男は十人まで結婚できる事になったのに、あの男は身体になんの問題もないのに、結婚しようとしない。これは犯罪的な怠慢だわ」
「結婚て、相手がいないと、できないのですけど……」
「相手なんて、いくらだっているでしょう。今は女が余っているのよ」
いくら女が余っているといっても、それぞれ好みがあるからな……
そうこうしている間に、次のシェルターに着いた。
シェルターには『金氏』と書かれた表札がかかっていた。出てきたのは、中年のおばさん。
「初狩さんのシェルターですか? 初狩さんとは交流していませんので分かりませんわ。一度だけ若い娘さんが出てくるのを見かけましたが……」
「それは、いつごろですか?」
「昨日のことです」
キララは、スマホに紀里の顔写真を表示して見せた。
「こんな女でしたか?」
「さあ? 後姿だったので、はっきりとは」
「そうですか。ところで、金氏さんのシェルターは申請によると金氏さん夫婦と息子さん。その他に近所の女性を二人保護した事になっていますが、間違いはありませんか?」
「間違いありませんけど、何か問題でも?」
「いえ、ただの住民調査です」
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