『シェルターに逃げ込んだら、中に家出少女が棲みついていたのだが、どうすればいい？』

玖

エロ漫画の先生

「僕の描いた漫画……やっぱり、法律的にダメですか？」

　え？　漫画？　なんのことだ？

　おっさんは漫画家だった。シェルター内に入ってみると、パソコン画面に、おっさんの描いたロリエロ漫画が表示されている。

　あ！　これ、俺も戦前に読んだことある。戦争が始まってから、掲載サイトが閉鎖されて読めなくなってしまったのだが……

　まさか、こんなところに作者本人がいたとは……

「現行法では違法ではありませんが、あなたの漫画は青少年に悪影響のある有害図書です」

　中野刑事……そんなにきつく言わなくても……おっさんは、すっかり萎縮している。

「刑事さん、漫画の事は、そのへんにして……」

　刑事は、俺の方を向いてギロっと睨んだ。こええ……

　アンドロイドを通して、なんつう迫力……刑事さんがコワいというべきか、それを忠実に再現できるアンドロイドの技術が凄いと感心すべきか……

「君も、この人の漫画を読んでいたの？」
「はあ……読んでいましたが……」
「だから、ロリコンになるのよ！」

　ロリコンは、元々だけどな……

「あの……漫画の事はともかく、肝心の聞き込みが、まだなのですけど……」
「そうだったわね」

　気を取り直して聞き込みをしてみると、たまに散歩に出る以外、おっさんはシェルターから出ることはなく、近隣住民ともほとんど接触がなかったのだ。

　なので、件のシェルター住民との、接触もない。

　ただ、地下道を散歩している時に、無人シェルターから荷物を運び出している者たちを見かけたという。

　その時は、引っ越しだと思って挨拶していったそうだ。