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玖
成り済まし
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『どうしたの? なんか、だるそうだけど』
PC画面に現れた中野刑事が、怪訝な顔で俺を見つめていた。今回はアンドロイドを使わないで、テレビ電話をかけてきたのだ。
「ちょっと、風呂で逆上せまして」
『そう。気を付けてね。君は身体が資本なのだから』
「はあ、肝に銘じておきます」
『今夜は、よく寝るのよ。明日には、件のシェルターへ行ってもらうから』
「何か分かったのですか?」
『何も分からなかった。だから、君に行ってもらうの』
「なにも?」
『こちらの資料によると、シェルターのオーナーは初狩信夫という五十代の男性。家族は奥さん子供二人。君の言うとおり、この一家は六本木のシェルターに生存していた』
ちなみに六本木のシェルターとは、個人用のシェルターではなく大江戸線六本木駅を利用したものだ。その中で多くの難民が共同生活しているらしい。
『初狩家のシェルターには、オーナーの許可を得ないで住み着いている者がいる。平時なら不法侵入で逮捕だけど、今は緊急避難処置として認められる。ただし、身分詐称をしなければ』
「どういう事です?」
『シェルター内にいる者に電話で連絡を取ったところ、電話に出た人物は初狩信夫と名乗った』
「だって、初狩さんは六本木に……」
『つまり、シェルター内の人物はオーナーに成りすましている。正直に名前を名乗れない事情があるという事は、犯罪歴がある可能性もある』
「窃盗団のメンバー?」
『その可能性があるわ。君の睨んだ通り、そこに竜二が匿われているかもしれない』
「分かりました。明日、調査に行きます。しかし、住民がドアを開けてくれなかったら……」
『六本木の保安官が、初狩氏から受け取った合鍵をドローンでそちらに送ってくれることになっているの。明日の朝には届くから、それを受け取ってから出発してね』
「了解しました」
そこで通話を切ると思ったのだが、中野刑事が不意に顔をしかめた。
PC画面に現れた中野刑事が、怪訝な顔で俺を見つめていた。今回はアンドロイドを使わないで、テレビ電話をかけてきたのだ。
「ちょっと、風呂で逆上せまして」
『そう。気を付けてね。君は身体が資本なのだから』
「はあ、肝に銘じておきます」
『今夜は、よく寝るのよ。明日には、件のシェルターへ行ってもらうから』
「何か分かったのですか?」
『何も分からなかった。だから、君に行ってもらうの』
「なにも?」
『こちらの資料によると、シェルターのオーナーは初狩信夫という五十代の男性。家族は奥さん子供二人。君の言うとおり、この一家は六本木のシェルターに生存していた』
ちなみに六本木のシェルターとは、個人用のシェルターではなく大江戸線六本木駅を利用したものだ。その中で多くの難民が共同生活しているらしい。
『初狩家のシェルターには、オーナーの許可を得ないで住み着いている者がいる。平時なら不法侵入で逮捕だけど、今は緊急避難処置として認められる。ただし、身分詐称をしなければ』
「どういう事です?」
『シェルター内にいる者に電話で連絡を取ったところ、電話に出た人物は初狩信夫と名乗った』
「だって、初狩さんは六本木に……」
『つまり、シェルター内の人物はオーナーに成りすましている。正直に名前を名乗れない事情があるという事は、犯罪歴がある可能性もある』
「窃盗団のメンバー?」
『その可能性があるわ。君の睨んだ通り、そこに竜二が匿われているかもしれない』
「分かりました。明日、調査に行きます。しかし、住民がドアを開けてくれなかったら……」
『六本木の保安官が、初狩氏から受け取った合鍵をドローンでそちらに送ってくれることになっているの。明日の朝には届くから、それを受け取ってから出発してね』
「了解しました」
そこで通話を切ると思ったのだが、中野刑事が不意に顔をしかめた。
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