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玖
鳥沢紀里
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俺は名簿に目をやった。
あ! 一人いたな。
しかし、もう殺されていると思って、俺の脳内リストでは死亡者になっていた。いや、普通は生存していると希望すべきだが、香菜ちゃんは話では、かなり性格悪い人なので『できれば死んでいて下さい』と思ってしまったんだな……
「鳥沢紀里という女性が行方不明です。この人も、すでに竜二に殺されているのではないかと……」
「あの女は、そんな簡単に殺される奴じゃないわ」
「知っている人ですか?」
「ええ。昔因縁があってね。ネットを使っていたのは、その女よ。竜二が七人を殺したのも、おそらくそいつに唆されたのね。『あたしい、竜ちゃんの逃亡先を、みんなに話しちゃったかも』とか言ってね。でも、あいつはそんな口の軽い奴じゃないわ」
「あの……刑事さん。その人は、そんな喋り方はしないと思いますが……僕が聞いた話では、かなり横柄な……」
「男の前では、こういう可愛い喋り方をするの。でも、女の前では君の言うとおり、横柄な喋り方をするわ」
「そうなのですか?」
「そういう女なのよ。それで、君は受け入れ先のシェルターの目星をつけたそうだけど」
「はい」
俺は地図の一か所を指差した。
「このシェルターの住民は、札幌政府の呼びかけに答えたそうです。しかし、このシェルターのオーナー一家は、戦争の始まった日には法事で都心にいました。現在六本木のシェルターコミュニティーに生存していることが確認されています。そこで、僕は本人にメールを送って、家族以外にシェルターに入る事を許可している人間がいるか聞いてみました。その返事が先ほど来たのですが、誰にも許可はしていないそうです」
「なるほど」
「竜二の逃亡先がここと決まったわけではありませんが、少なくともシェルターを不法占拠している者がいます。なので、ここを調査してみようと思います」
「分かりました。そのシェルターについては、こちらで下調べをしますので、調査はその結果を待ってからにしてください。下調べの結果は、後で伝えますので、君は一度保安施設に戻ってそこで待機していて」
「保安施設? なぜです?」
「戻れば分かるわ」
一時間後、俺は事務所をアキラとリンちゃんに任せ、ミクちゃん香菜ちゃんを伴って保安施設に引き返した。
あ! 一人いたな。
しかし、もう殺されていると思って、俺の脳内リストでは死亡者になっていた。いや、普通は生存していると希望すべきだが、香菜ちゃんは話では、かなり性格悪い人なので『できれば死んでいて下さい』と思ってしまったんだな……
「鳥沢紀里という女性が行方不明です。この人も、すでに竜二に殺されているのではないかと……」
「あの女は、そんな簡単に殺される奴じゃないわ」
「知っている人ですか?」
「ええ。昔因縁があってね。ネットを使っていたのは、その女よ。竜二が七人を殺したのも、おそらくそいつに唆されたのね。『あたしい、竜ちゃんの逃亡先を、みんなに話しちゃったかも』とか言ってね。でも、あいつはそんな口の軽い奴じゃないわ」
「あの……刑事さん。その人は、そんな喋り方はしないと思いますが……僕が聞いた話では、かなり横柄な……」
「男の前では、こういう可愛い喋り方をするの。でも、女の前では君の言うとおり、横柄な喋り方をするわ」
「そうなのですか?」
「そういう女なのよ。それで、君は受け入れ先のシェルターの目星をつけたそうだけど」
「はい」
俺は地図の一か所を指差した。
「このシェルターの住民は、札幌政府の呼びかけに答えたそうです。しかし、このシェルターのオーナー一家は、戦争の始まった日には法事で都心にいました。現在六本木のシェルターコミュニティーに生存していることが確認されています。そこで、僕は本人にメールを送って、家族以外にシェルターに入る事を許可している人間がいるか聞いてみました。その返事が先ほど来たのですが、誰にも許可はしていないそうです」
「なるほど」
「竜二の逃亡先がここと決まったわけではありませんが、少なくともシェルターを不法占拠している者がいます。なので、ここを調査してみようと思います」
「分かりました。そのシェルターについては、こちらで下調べをしますので、調査はその結果を待ってからにしてください。下調べの結果は、後で伝えますので、君は一度保安施設に戻ってそこで待機していて」
「保安施設? なぜです?」
「戻れば分かるわ」
一時間後、俺は事務所をアキラとリンちゃんに任せ、ミクちゃん香菜ちゃんを伴って保安施設に引き返した。
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