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第一章
国を作ろう
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「とりあえず、じいさんの事情は分かったから、この世界の事を教えて」
「何から聞きたいですか?」
「まず、俺たちのいる場所。ここは、島なの? 大陸なの?」
「本州ほどの大きさの島です。島の名前はタンジル」
「タンジル? どんな漢字?」
「島の名に、漢字は使っていません」
「え? だってこの辺りの転生者は、日本人がほとんどで、漢字も使っていると聞いたけど」
「簡単な漢字でしたら使います。しかし、ランドール殿。我々は身一つ……いや魂一つで送り込まれたのです。複雑な漢字を書けますか?」
「え? 何を言ってるの?」
「ではここに」
じいさんは、紙と筆をリュックから出した。
「ランドール殿が前世で死んだ時、何歳だったか書いてみて下さい」
なんでそんな事を? 俺は筆を手に取り。墨汁を着けて紙に『二十二』と書いたところで筆が止まる。『さい』ってどういう漢字だったっけ? いや、大体の形は分かるのだが、細かいところが思い出せない。
「分かりましたか? 我々は前世でコンピューターに頼り過ぎてしまい、ある程度画数の多い漢字は読めるけど、書くことは出来なくなっていたのです」
「なんてこった。自分の名前とかは?」
「漢字で書く者も稀にいますが、ほとんどカタカナを使っています。それと、苗字を使っている者は、ほとんどいません」
「苗字を使わないで不便じゃないの?」
「それだけ人口が少ないのですよ」
「なるほど」
「ちなみに、私が転生した時点で、この島の人口は千人ほどでした」
「たった千人?」
「増やそうにも、この世界は魂の絶対数が少ないので」
だから、しいちゃん達死神が、地球人を勧誘していたわけか。
「人口が少なかったので、当初島には国は一つだけだったのですが、人口が増えて今は国が五つあります」
「五つも。人口はどのくらい増えたの?」
「はっきり調べる手段はありませんが、恐らく島全土で三~四万ほどかと」
「少ないな。それで本州ほどもある島を開拓しきれるのかな?」
「できません」
「え?」
「先ほど言った五つの国が領土にしているのは、島のほんの一部です。島の土地の大半は未開地です。どこの国の領土でもありません」
「そうなの?」
「ランドール殿。先ほど、王になって欲しいと言ったのは、決して今ある国を武力で侵略しようと言うのではありません。未開地を開拓して新しい国を作るという意味です」
「ああ! そういう意味だったのか」
国を手に入れる=侵略 としか思いつかなかったので勘違いしてしまったが、ゼロから国を作るという手もあったんだ。
「しかし、国は三人だけでは作れないよ」
この場合、しいちゃんは数に入らない。
「ご心配なく。このアルベルト、六十年の間に築き上げた人脈がございます。新しい国造りに参加を希望する者の百人や二百人、すぐに集められるでしょう」
国を作るに百人や二百人でも足りないような気がするけど……
「いかがです? 国王になる気になりましたか?」
「ちょっと考えさせてくれ」
俺が前世で引きこもるようになったのは、社会に馴染めなかったからだ。
では、そんな俺が転生したからと言って、すでにその世界にある社会に馴染めるだろうか?
いや、無理だ。そのぐらいなら、ゼロから自分に合う社会を作った方がいい。
「アルベルト。その話に乗るよ。国を作る」
「おお! 決意されましたか」
「ただし、当分、給料は払えないよ」
「当然です。当面の間、私は地位さえ頂ければ」
「では、アルベルトは大臣に任命する」
「拝命いたします」
この場合、何大臣になるのか分からないが……
「何から聞きたいですか?」
「まず、俺たちのいる場所。ここは、島なの? 大陸なの?」
「本州ほどの大きさの島です。島の名前はタンジル」
「タンジル? どんな漢字?」
「島の名に、漢字は使っていません」
「え? だってこの辺りの転生者は、日本人がほとんどで、漢字も使っていると聞いたけど」
「簡単な漢字でしたら使います。しかし、ランドール殿。我々は身一つ……いや魂一つで送り込まれたのです。複雑な漢字を書けますか?」
「え? 何を言ってるの?」
「ではここに」
じいさんは、紙と筆をリュックから出した。
「ランドール殿が前世で死んだ時、何歳だったか書いてみて下さい」
なんでそんな事を? 俺は筆を手に取り。墨汁を着けて紙に『二十二』と書いたところで筆が止まる。『さい』ってどういう漢字だったっけ? いや、大体の形は分かるのだが、細かいところが思い出せない。
「分かりましたか? 我々は前世でコンピューターに頼り過ぎてしまい、ある程度画数の多い漢字は読めるけど、書くことは出来なくなっていたのです」
「なんてこった。自分の名前とかは?」
「漢字で書く者も稀にいますが、ほとんどカタカナを使っています。それと、苗字を使っている者は、ほとんどいません」
「苗字を使わないで不便じゃないの?」
「それだけ人口が少ないのですよ」
「なるほど」
「ちなみに、私が転生した時点で、この島の人口は千人ほどでした」
「たった千人?」
「増やそうにも、この世界は魂の絶対数が少ないので」
だから、しいちゃん達死神が、地球人を勧誘していたわけか。
「人口が少なかったので、当初島には国は一つだけだったのですが、人口が増えて今は国が五つあります」
「五つも。人口はどのくらい増えたの?」
「はっきり調べる手段はありませんが、恐らく島全土で三~四万ほどかと」
「少ないな。それで本州ほどもある島を開拓しきれるのかな?」
「できません」
「え?」
「先ほど言った五つの国が領土にしているのは、島のほんの一部です。島の土地の大半は未開地です。どこの国の領土でもありません」
「そうなの?」
「ランドール殿。先ほど、王になって欲しいと言ったのは、決して今ある国を武力で侵略しようと言うのではありません。未開地を開拓して新しい国を作るという意味です」
「ああ! そういう意味だったのか」
国を手に入れる=侵略 としか思いつかなかったので勘違いしてしまったが、ゼロから国を作るという手もあったんだ。
「しかし、国は三人だけでは作れないよ」
この場合、しいちゃんは数に入らない。
「ご心配なく。このアルベルト、六十年の間に築き上げた人脈がございます。新しい国造りに参加を希望する者の百人や二百人、すぐに集められるでしょう」
国を作るに百人や二百人でも足りないような気がするけど……
「いかがです? 国王になる気になりましたか?」
「ちょっと考えさせてくれ」
俺が前世で引きこもるようになったのは、社会に馴染めなかったからだ。
では、そんな俺が転生したからと言って、すでにその世界にある社会に馴染めるだろうか?
いや、無理だ。そのぐらいなら、ゼロから自分に合う社会を作った方がいい。
「アルベルト。その話に乗るよ。国を作る」
「おお! 決意されましたか」
「ただし、当分、給料は払えないよ」
「当然です。当面の間、私は地位さえ頂ければ」
「では、アルベルトは大臣に任命する」
「拝命いたします」
この場合、何大臣になるのか分からないが……
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