上 下
1 / 55
その翌日  (卓也一人称)

1

しおりを挟む
 ラジオから流れる心地よい音楽で俺は目を覚ました。

 スマホを見ると午前五時五十五分。

 もうちょっとしたら起きるか。

 それにしても変な夢を見たな。

 叔父さんから相続した家の庭木を切っていたら、突然Jアラートが鳴って、シェルターに入ったら、ミクちゃんという家出少女がいて……

 えらくリアルだったけど、あれは夢だ。夢に決まっている。夢じゃなきゃヤダあ!

 だって、あの女の子とセックスしたなんて事が現実だったら、俺逮捕じゃん。

 そうだよな。夢だよな。もちっと寝てるか。

 俺は寝返りを打った。


 …………………夢じゃなかった。


「おはよう、お兄ちゃん」

 ベッドの横に、俺のТシャツをワンピースのように着こなしているミクちゃんが立っていた。

「お……おはよう、ミクちゃん」

 さようなら。俺の人生。このシェルターから出たら、俺は刑務所で残りの人生過ごすのだな……

「お兄ちゃん」

「なに?」

「おはようのチューして」
しおりを挟む

処理中です...