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『凄いな!また満点じゃないか!偉い!偉いぞ~葵!』
お父…さん?
『今日は葵の好きな物を食べましょ!何がいい?』
お母さん…?
『えー!ずるいよー!お姉ちゃんばっかり!』
瑠奈…
なんで…?
みんなは…もう…
『わたしが満点取ったんだから当たり前でしょ~?悔しかったらあんたも満点取ってみなさい!』
あれ…?わたし…?なんで…どうしてそこにいるの…?
『なによ?!あたしがバカだって言いたい訳?!』
『あら、そんなこと一言も言ってないけど?被害妄想も大概にして下さーい』
『もぉー!あー言えばこー言う!
ふん!お姉ちゃんのアイス食べたけど謝ってやんなーい!』
『は?!食べた?!期間限定のアレを?!ちょっと!!あんた外でなさいよ!!今すぐ!!』
『やーだね~』
『こんのッ』
ふふ。懐かしい。
あったなぁ。そんなことも。
確か、次の日にちゃんとお店に行って同じアイス買ってきてくれたんだよね。
いいなぁ。
戻りたいなぁ。
あの頃の、楽しかった日々が羨ましい
どうしてわたしはここにいるんだろう。
どうしてわたしだけが生きてるんだろう。
どうしてわたしは今も一人ぼっちなんだろう。
一緒に、皆と一緒に居たい。それだけなのに。
喧嘩しても、不満があっても、全部我慢する
文句も言わないし、言うこともちゃんと聞く
ただ…ただそばに居てくれるだけでいいのに。
『葵』
『葵』
『お姉ちゃん』
やめて。
呼ばないで。
これ以上、
悲しみたくないの
いくら望んでも、もうあの日々には戻れないって分かってる。会うことすら叶わないって分かってるの。
『なあに?』
期待したくない。
だから…お願いだから、幸せに満ちたわたしを見せないで。
あの頃の幸福から…
だれか…はやく連れ出して…
眩しい光を感じて意識が浮上した。
もう朝のようだ。
目を開けると何故か視界がぼやけていた。
「ん…あれ?なんで泣いてるんだろう…」
枕が湿っており、ヨダレかと思ったら涙だった。
なにか怖い夢でも見たのだろうか?
自分の頬と眼を拭いながら考えるが、夢を見た記憶はない。
少しの間頭を悩ませてみたものの、一向に思い出せないのでそんなこともあるよなと自己完結し、ベッドから降りた。
そこでふと、何気なく自室を見回した私は昨日と違う光景に目を瞬かせた。
見渡す限り、箱、箱、箱。
それとは別に、リボンをつけたぬいぐるみや花束、本等が部屋中いたるところに積まれていた。
そこで漸くこの現状の原因を思い出した。
「何この量…到底一人からもらったとは思えないんだけど。馬鹿じゃん。いや、馬鹿でしかないよこれは」
財力をひけらかしているのだろうか?
確かに王族だしお金は持ってそうだけど、改めて、プレゼントの域を超えているなと思った。
部屋の3分の2は埋め尽くされ、ベッド周辺以外殆ど足の踏み場がない状態へと変貌している。
とりあえず開けて分別した方が良さそうだ。
なぜ昨日部屋に戻ってきた時気付かなかったのか。それは私にも分からない。
「気が遠くなるな…」
運のいいことにおバカさんはまだのようだ。
最近はめっきりプレゼントなんて貰わないけれど、昔は、私が何か貰い物をしたらあの子たちに奪われていた。
その頃の私は内気な少女で、おバカさんをただ黙って見ているだけで抵抗すらしなかった。
てっきり、今回も私が留守にしている時や寝ている時にこっそり盗んでいくのだろうと思っていた。
しかし、まだあるという事は気がついていないのかこれから盗もうとしているのか…
まぁ別に私は物に執着しない質だから盗まれてもいいんだけどね。一応、一応ね。これはレオ様から貰ったものだから気にしただけ。うん。
考えながら、開けて、分類ごとに分けて、また開けてを繰り返しているけれど、果たして減っているのだろうか。一向に減っている気配がない。既に20個は開けたはずなのに、まだまだ残っている。
…これは日が暮れそうだ。
三分の一程の開封が終わった昼頃、乳母が来客があると知らせに来た。
一先ず作業を一旦中断した私は、開封のせいで汚れてしまったワンピースから、先ほど開封した時に出てきたワンピースへと着替えることにした。
本邸に越してきたのだから以前のように汚れた服でうろちょろするのは何だかいただけない気がしたからだ。
そう、だから別に望んで着るわけじゃない。
ただ目の前に置いてあったから着るんだ。
靴やアクセサリーも、出し終えたプレゼントの中から適当に見繕い、一応形だけは公爵令嬢っぽくなったと思う。
ドレスの方が本邸の使用人に私の立場をわからせるのに最適なんだけど、一人では着られないから今回はワンピースだ。
簡単に鏡でチェックしてから扉を開けると、外で待機していたらしい乳母と目が合った。
それから共に来客の元へと向かった。
「失礼します。お嬢様をお連れ致しました。」
応接間の扉の向こうに声をかけた乳母は、それだけ告げるとさっさと入れと言わんばかしに私を押し込んできた。
半ば躓きながら室内に入ると、見慣れない青年と父が座っていた。
「こっちに来なさい」
「あ、はい」
ムスッとした声に呼ばれ、誰だこの美形は?と思いながら父の元へ向かう。
「アルフォンス殿。紹介しましょう!娘のミシェルです。生意気な子でしてねぇ、はは、どうぞ厳しく教えてやって下さい!…ミシェル。こちらがアルフォンス・フォリー殿、今日からお前の講師になって下さる。いいか!泥を塗るような真似は絶対するなよ!」
子は親に似るってね。まぁそれは置いといて。
はーん。なるほど。家庭教師だったんだね~このイケメンは。
お父様にしちゃ仕事が早くて何よりだわ。
でも、愛想は良くないねぇ。さっきから嫌そうな顔を隠そうともしないし、やたら不躾な視線寄越してくるし。
まあ別に学べれば誰でもいんだけど。
そう脳内でぼやくこと数秒。
今回も背中をピシッと伸ばして45度に曲げた最敬礼で挨拶を返した。
「初めまして。ミシェル・プライナスと申します。まだまだ若輩者ではございますが、ご指導ご鞭撻の程宜しくお願い致します。」
「…は…はぁ」
いつも癇癪を起こして我儘放題だった娘がこんなことを言うなんて思ってなかったのだろう。ちらっと見たお父様は目を丸くしていた。
目の前のアルフォンス先生も事前に私のことを聞いていたのか、信じられないと言いたげな顔をしていた。
先程のふたりの態度に不満を抱いていたから間抜けな顔が見れて気分が少しスッキリする
してやったりと思いながら一先ず父の隣へ腰をおろす。
「それで?いつ話し合いが進むんですか?」
その後も暫くの間動きが停止していたふたり。
私が痺れを切らし声をかけるまで放心したようにボーッとしていた。正直、こんなにいい反応が返ってくるとは思っていなかった。
達成感に包まれる中、(そんなに私はできない子だと思われていたの?!)と内心かなり落ち込んだのは、私だけの秘密だ。
お父…さん?
『今日は葵の好きな物を食べましょ!何がいい?』
お母さん…?
『えー!ずるいよー!お姉ちゃんばっかり!』
瑠奈…
なんで…?
みんなは…もう…
『わたしが満点取ったんだから当たり前でしょ~?悔しかったらあんたも満点取ってみなさい!』
あれ…?わたし…?なんで…どうしてそこにいるの…?
『なによ?!あたしがバカだって言いたい訳?!』
『あら、そんなこと一言も言ってないけど?被害妄想も大概にして下さーい』
『もぉー!あー言えばこー言う!
ふん!お姉ちゃんのアイス食べたけど謝ってやんなーい!』
『は?!食べた?!期間限定のアレを?!ちょっと!!あんた外でなさいよ!!今すぐ!!』
『やーだね~』
『こんのッ』
ふふ。懐かしい。
あったなぁ。そんなことも。
確か、次の日にちゃんとお店に行って同じアイス買ってきてくれたんだよね。
いいなぁ。
戻りたいなぁ。
あの頃の、楽しかった日々が羨ましい
どうしてわたしはここにいるんだろう。
どうしてわたしだけが生きてるんだろう。
どうしてわたしは今も一人ぼっちなんだろう。
一緒に、皆と一緒に居たい。それだけなのに。
喧嘩しても、不満があっても、全部我慢する
文句も言わないし、言うこともちゃんと聞く
ただ…ただそばに居てくれるだけでいいのに。
『葵』
『葵』
『お姉ちゃん』
やめて。
呼ばないで。
これ以上、
悲しみたくないの
いくら望んでも、もうあの日々には戻れないって分かってる。会うことすら叶わないって分かってるの。
『なあに?』
期待したくない。
だから…お願いだから、幸せに満ちたわたしを見せないで。
あの頃の幸福から…
だれか…はやく連れ出して…
眩しい光を感じて意識が浮上した。
もう朝のようだ。
目を開けると何故か視界がぼやけていた。
「ん…あれ?なんで泣いてるんだろう…」
枕が湿っており、ヨダレかと思ったら涙だった。
なにか怖い夢でも見たのだろうか?
自分の頬と眼を拭いながら考えるが、夢を見た記憶はない。
少しの間頭を悩ませてみたものの、一向に思い出せないのでそんなこともあるよなと自己完結し、ベッドから降りた。
そこでふと、何気なく自室を見回した私は昨日と違う光景に目を瞬かせた。
見渡す限り、箱、箱、箱。
それとは別に、リボンをつけたぬいぐるみや花束、本等が部屋中いたるところに積まれていた。
そこで漸くこの現状の原因を思い出した。
「何この量…到底一人からもらったとは思えないんだけど。馬鹿じゃん。いや、馬鹿でしかないよこれは」
財力をひけらかしているのだろうか?
確かに王族だしお金は持ってそうだけど、改めて、プレゼントの域を超えているなと思った。
部屋の3分の2は埋め尽くされ、ベッド周辺以外殆ど足の踏み場がない状態へと変貌している。
とりあえず開けて分別した方が良さそうだ。
なぜ昨日部屋に戻ってきた時気付かなかったのか。それは私にも分からない。
「気が遠くなるな…」
運のいいことにおバカさんはまだのようだ。
最近はめっきりプレゼントなんて貰わないけれど、昔は、私が何か貰い物をしたらあの子たちに奪われていた。
その頃の私は内気な少女で、おバカさんをただ黙って見ているだけで抵抗すらしなかった。
てっきり、今回も私が留守にしている時や寝ている時にこっそり盗んでいくのだろうと思っていた。
しかし、まだあるという事は気がついていないのかこれから盗もうとしているのか…
まぁ別に私は物に執着しない質だから盗まれてもいいんだけどね。一応、一応ね。これはレオ様から貰ったものだから気にしただけ。うん。
考えながら、開けて、分類ごとに分けて、また開けてを繰り返しているけれど、果たして減っているのだろうか。一向に減っている気配がない。既に20個は開けたはずなのに、まだまだ残っている。
…これは日が暮れそうだ。
三分の一程の開封が終わった昼頃、乳母が来客があると知らせに来た。
一先ず作業を一旦中断した私は、開封のせいで汚れてしまったワンピースから、先ほど開封した時に出てきたワンピースへと着替えることにした。
本邸に越してきたのだから以前のように汚れた服でうろちょろするのは何だかいただけない気がしたからだ。
そう、だから別に望んで着るわけじゃない。
ただ目の前に置いてあったから着るんだ。
靴やアクセサリーも、出し終えたプレゼントの中から適当に見繕い、一応形だけは公爵令嬢っぽくなったと思う。
ドレスの方が本邸の使用人に私の立場をわからせるのに最適なんだけど、一人では着られないから今回はワンピースだ。
簡単に鏡でチェックしてから扉を開けると、外で待機していたらしい乳母と目が合った。
それから共に来客の元へと向かった。
「失礼します。お嬢様をお連れ致しました。」
応接間の扉の向こうに声をかけた乳母は、それだけ告げるとさっさと入れと言わんばかしに私を押し込んできた。
半ば躓きながら室内に入ると、見慣れない青年と父が座っていた。
「こっちに来なさい」
「あ、はい」
ムスッとした声に呼ばれ、誰だこの美形は?と思いながら父の元へ向かう。
「アルフォンス殿。紹介しましょう!娘のミシェルです。生意気な子でしてねぇ、はは、どうぞ厳しく教えてやって下さい!…ミシェル。こちらがアルフォンス・フォリー殿、今日からお前の講師になって下さる。いいか!泥を塗るような真似は絶対するなよ!」
子は親に似るってね。まぁそれは置いといて。
はーん。なるほど。家庭教師だったんだね~このイケメンは。
お父様にしちゃ仕事が早くて何よりだわ。
でも、愛想は良くないねぇ。さっきから嫌そうな顔を隠そうともしないし、やたら不躾な視線寄越してくるし。
まあ別に学べれば誰でもいんだけど。
そう脳内でぼやくこと数秒。
今回も背中をピシッと伸ばして45度に曲げた最敬礼で挨拶を返した。
「初めまして。ミシェル・プライナスと申します。まだまだ若輩者ではございますが、ご指導ご鞭撻の程宜しくお願い致します。」
「…は…はぁ」
いつも癇癪を起こして我儘放題だった娘がこんなことを言うなんて思ってなかったのだろう。ちらっと見たお父様は目を丸くしていた。
目の前のアルフォンス先生も事前に私のことを聞いていたのか、信じられないと言いたげな顔をしていた。
先程のふたりの態度に不満を抱いていたから間抜けな顔が見れて気分が少しスッキリする
してやったりと思いながら一先ず父の隣へ腰をおろす。
「それで?いつ話し合いが進むんですか?」
その後も暫くの間動きが停止していたふたり。
私が痺れを切らし声をかけるまで放心したようにボーッとしていた。正直、こんなにいい反応が返ってくるとは思っていなかった。
達成感に包まれる中、(そんなに私はできない子だと思われていたの?!)と内心かなり落ち込んだのは、私だけの秘密だ。
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