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10.おさなごころ

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「恋じゃなくて、それなのに先生のことが知りたいの?」

そんなにおかしいことかしら。
だって知らないことが多いことに気づいてしまったのですもの。

「そうなの。今朝のことがあってから少し気になってしまって」

「ふぅん、何がそんなに気になったのかな?」

えっ、ライネーリ先生?どうしてここに来たの?

笑っているのに空気がピリッとした気がする。
そうよね!自分の知らないところで個人情報を知ろうとされたら気分が悪いに決まってるわ!

「ライネーリ先生、今朝は助けていただきありがとうございました」

まずはお礼から。本当に助かりましたもの。

「…うん、元気そうでよかった。朝のことが少し気になったから。でも、ランチもしっかり食べれたようだし大丈夫かな?」

わざわざ様子を見に来てくださったのね。ありがたいわ。
でも、空のお皿を見られるのは少し恥ずかしいわね。

「ごはんが美味しいのは素敵なことですのよ。
朝のことを気にかけてくださってありがとうございます。彼の言動は謎でしたが、婚約破棄の件を噂されることは覚悟していましたから平気です。
理解してくれる友人もいますし」
「そうだね、困ったことがあれば抱え込まず、家族でも友人でもいいから相談しなさい。大変な時に頼ってもらえないのは寂しいと思うよ?」

ちらっとヴィオラ達に視線を向けながら優しく諭してくれる。

「はい、ありがとうございます」

ヴィオラ達も少し照れくさそうにしながら頷いてくれる。
うれしいな。

「で?」
「へっ?」

いやだ、淑女にあるまじき返しをしてしまったわ!

「ぼくの何が知りたかったのかな?
せっかくだから質問に答えるよ?」
「申し訳ありません!少し気になったことがあっただけで、何か悪事を働こうとかそういうわけではないんです!」

慌てて謝罪すると、私の勢いに驚いたのか少し目をみはったあと軽く笑われた。

「そうだね。君は勉強は得意だけど悪巧みには向いていない。今後もやめたほうがいいと思うよ」

ヴィオラ達までうんうんと頷いてる。少し悔しい。

「それで?」

あら、まだその質問が続いていたのね。白状しないとお許しが出ないらしい。

「えっとですね、今まで私は先生は先生としてしか認識していなかったといいますか…
男性女性とか年齢がどうとかではなく、先生という人種?あら?なんだか変ですわね…カテゴリ?まぁ、そう思っていたんです。
でも、今朝思いがけず私のプライベートな問題をお話することになってしまって、そのせいか先生が先生なだけでなくひとりの人として存在していると気がつきましたの。
そうしたらお年すら知らなかったと思い至りましたので知りたいと思った次第です」

よし、説明完了!

あら?3人ともポカンとした顔でこちらを見ているわ。

「こんなに精神年齢お子様だとは知らなかったな」
「姪っ子6歳との会話みたいだわ」
「情緒面が幼女でしたのね」


なんだか失礼なことを言われている気がする。




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