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第十二章
腕(かいな)の中のリリアーナ 50 おっきくなーれ!!
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厚い雲が切れて月が顔を覗かせた。東屋の中が明るくなり、リリアーナの後ろ姿が目に映る。
「おっきくなーれ!!」
「リリアーナ……様……?」
リリアーナは身体をビクッと震わせて、暫くはそのまま固まっていた。手摺りにとまっていたコマドリが、鳴き声を響かせながら飛び立っていく。それに助けられたように、彼女はゆっくりと振り返り、カイトのことを見上げた。
ずっと泣いていたようで顔は涙でくしゃくしゃになり、手には杖が握られている。その杖はリリアーナが攫われた時に部屋の中に落ちていた魔法の杖であった。
「リリアーナ様、突然いなくなって心配しておりました」
カイトは少し距離を置いたまま、優しく話しかける。
「おっきく……なれないの……」
カイトが目を見開き、リリアーナは`今度こそは ‘ と杖を持った右手を高々と上げる。
「リリアーナが古より力を持つ賢者の石に命じる――!」
そこで彼女は思い切り杖を振り下ろした。
「大きくなーれ!!」
***
村を出発した後、リリアーナはリーフシュタインへの帰り道をサイラスと一緒に馬に乗り、色々と相談に乗ってもらっていた。
「それで私達の間に座ったのですね。カイトの馬に乗らなかったのもそのせいですか……」
「わたし変な子……カイトはきらいになったかも……」
「大丈夫です。カイトがリリアーナ様を嫌いになるなんて、天地がひっくり返っても有り得ません。それにその状態は恋する乙女特有のものです。皆そうなるので変ではありませんよ」
リリアーナが振り返ってサイラスを仰ぎ見た。
「そうなの!?」
「はい。リリアーナ様は以前からカイトをお好きでしたよね?」
「うん」
「それは、カイトに対する憧れも混じった`好き ‘ という気持ちで、恋ではなかったのです。今回、カイトを男性として意識をし、`好き ‘ という気持ちが成長をして`恋 ‘ になったのだと思います。恋をした相手が側にいると、緊張して変な事をしたり、言ったり、赤くなってしまったりもします。」
「恋……」
リリアーナがカイトを見ると、彼はキルスティンを前に乗せていて、ちょうど彼女がカイトに声をかけていた。期せずして、キルスティンの声が耳に入る。
「何か訳があるのだと思います。だってリリアーナ様はカイトのことが大好きですもの。私もカイトが……カイトのことが、大好きです……!」
リリアーナは息を呑む。ツキン、と胸の奥に痛みを感じながら成り行きを見守っていた。
「ありがとうキルスティン。君は優しいな」
カイトがその言葉に籠もった意味を、汲み取っていない事が分かりほっとしていると、サイラスとイフリートの肩が堪えるように震えていた。
すぐにサイラスを見上げてお願いをする。
「サイラス、魔法の杖をわたしにちょうだい。オーガスタが部屋においてきたやつ」
「あれは証拠物件なので、差し上げるわけには……」
「お願い、どうしてもほしいの!!」
「姫様、あれは本物ではありません。念のために今、私の知り合いの魔導師に鑑定させてますが、偽物だと思われます」
「それでもいいの、だって…」
「まあ、偽物ならお渡ししても構わないか」
リリアーナは言いかけた言葉を飲み込んだ。
サイラスにはオーガスタの説明が聞こえていなかったようだ。最初の呪文を唱えない限り、あれはただの杖なのだ。でもこの事を言ってしまったら渡してもらえなくなる。
「城に帰って、その男に本物かどうかを確認してからのお渡しになりますがよろしいですか?」
リリアーナは嬉しそうにこくこくと頷いた。
城に帰り着き、サイラスが男に確認をする。思った通り偽物で『杖をお渡しできますよ』とリリアーナに伝えると、彼女は嬉しそうに彼の首にかじりついて、顔一杯に笑みを浮かべながらその頬にキスをした。
実はサイラスはその時に`リリアーナ様のこの喜びようは何か話していないことがあるな ‘ と気付く。
しかし、偽物で危険はないし、取り上げるのも可哀想だと、深くは考えずにそのままにしてしまったのだ。
ただ肝心の杖であるが、すぐには渡してもらえずにいた。証拠物件としていくつかの手続きを踏んだ後に、やっと今日渡してもらえたのである。
最初は部屋で試そうかと思ったが、オーガスタに異常な拒否反応を示すフランチェスカに、杖が見つかったら取り上げられそうなのでやめにした。
夜間も一人がまだ怖くて、フランチェスカに傍で寝てもらっているので無理である。
フランチェスカがいない時でも、誰かしらが傍らに控えていた……。
バルコニーの椅子に座って溜息を吐いた時に、気持ちの良い風が吹いてくる。野外で過ごすのにいい季節だ。
(そうだ! おそとで夕食を食べて、その時に暗いところにかくれたらどうだろう? かくれてもおかしくないものは……かくれんば! 夕食の後でかくれんぼをして、そのまま人のいないところに行って、杖でおとなにもどればいい!)
ドレスも夜の闇に溶け込むよう、紺色を指定して着せてもらう。
かくれんぼで隠れる振りをして抜け出し、あずやま(東屋)までくらやみの中を、びくびくしながらがんばって歩いた。
これで大人になれる! と胸を膨らませて呪文を唱え、杖を思い切り振ったのだが……
***
かくして冒頭に戻ることになる。
リリアーナの姿はそのままだ。
「おっきくなーれ! おとなになーれ!!」
懸命に杖を振りながら、願いを口にする彼女の手元にカイトはふと視線を向けた。次の瞬間目を見張り、急いで跪いてリリアーナの右手首を取る。
「これは……酷い……」
リリアーナは何百回と杖を振り続けていたようで、手や指の皮が剥けてところどころ血が滲み出ていた。彼が杖を取り上げようとすると、その手を振り払い杖を胸に押し当て、東屋の端へと逃げてしまう。
「まだやる!」
「リリアーナ様、その杖は本物では…」
「本物だもん! わたしがへたなだけで、もうちょっとで大人になるもん!」
「リリアーナ様……」
「だって……だって、大人にならないと……」
リリアーナはぽろぽろと涙を零し始めた。
「婚約解消して、カイトがほかの人と結婚しちゃう………」
ぽろぽろと…ぽろぽろと…流れ落ちる涙は……ふっくらした頬を濡らしていく――
カイトはぐっと喉を詰まらせる。
彼はやがて……決心したように顔を上げると立ち上がり、リリアーナに近付いていった。
「やっ、やっ、カイト来ないで! おっきくなーれ!」
慌てふためいたリリアーナに、カイトが右腕を伸ばしてくる。
(取り上げられてしまう!!)
リリアーナは願いを口にし続けながら、やみくもに杖を振り回した。
びしっ――
「あっ……」
身を屈ませたカイトの顔に、杖が当たってしまった。リリアーナの手から杖が滑り落ち、カランと乾いた音を立てる。
「カイト……」
「はい――」
カイトの頬は擦れて赤く跡もついたが、その表情は優しい。いつもと変わらずに――
リリアーナの瞳から、ぶわっと涙が溢れ出た。
「ご、ごめんなさい……! ごめんなさいーーー!!」
うわんうわんと、今では盛大に泣くリリアーナを、カイトはそっと抱き上げた。胸の中に優しく抱きしめる。
「……しません」
「ふぇ……?」
リリアーナは自分の泣き声が大きくて、カイトが何を言ったか聞き取れなかった。
「婚約解消はいたしません」
「……ほん…とに……?」
「はい。リリアーナ様が望む限りいたしません」
そう、子供でも、大人でも、リリアーナは自分にとって唯一無二の女性――
リリアーナはまだ信じられないようで、大きな碧い瞳をぱっちりと開けてカイトを見ている。
「ほんとのほんと……?」
「はい」
「よ、良かった……こわかったけど…あずやままで来て…がんばって…ほんと良かった……」
驚きのためか、いつのまにか涙も止まっている。
「あずまやですよ。リリアーナ様」
「そうとも言う」
カイトはくすくすと笑いを零した。
そしてリリアーナをじっと見つめる。
「今日ぐらいは許してもらえるでしょうか――」
「え?」
彼はリリアーナの顎に手を添えると、顔を傾けてそっと近づけた。
リリアーナは顔が近付いたと思ったら、唇が重なり目が点になる。
離れた後は顔じゅうを桜色に染め、どうしていいか分からずに腕の中でおたおたした。カイトの胸に愛しい想いが込み上げたところで、リリアーナの身体を月の光が取り巻いて輝き始める。
「んっ……!?」
それが何か見極めようとカイトが両腕を伸ばし、彼女を身体から離したところで、ぽんっ、とリリアーナが元に戻った。16歳のリリアーナに――
「おっきくなーれ!!」
「リリアーナ……様……?」
リリアーナは身体をビクッと震わせて、暫くはそのまま固まっていた。手摺りにとまっていたコマドリが、鳴き声を響かせながら飛び立っていく。それに助けられたように、彼女はゆっくりと振り返り、カイトのことを見上げた。
ずっと泣いていたようで顔は涙でくしゃくしゃになり、手には杖が握られている。その杖はリリアーナが攫われた時に部屋の中に落ちていた魔法の杖であった。
「リリアーナ様、突然いなくなって心配しておりました」
カイトは少し距離を置いたまま、優しく話しかける。
「おっきく……なれないの……」
カイトが目を見開き、リリアーナは`今度こそは ‘ と杖を持った右手を高々と上げる。
「リリアーナが古より力を持つ賢者の石に命じる――!」
そこで彼女は思い切り杖を振り下ろした。
「大きくなーれ!!」
***
村を出発した後、リリアーナはリーフシュタインへの帰り道をサイラスと一緒に馬に乗り、色々と相談に乗ってもらっていた。
「それで私達の間に座ったのですね。カイトの馬に乗らなかったのもそのせいですか……」
「わたし変な子……カイトはきらいになったかも……」
「大丈夫です。カイトがリリアーナ様を嫌いになるなんて、天地がひっくり返っても有り得ません。それにその状態は恋する乙女特有のものです。皆そうなるので変ではありませんよ」
リリアーナが振り返ってサイラスを仰ぎ見た。
「そうなの!?」
「はい。リリアーナ様は以前からカイトをお好きでしたよね?」
「うん」
「それは、カイトに対する憧れも混じった`好き ‘ という気持ちで、恋ではなかったのです。今回、カイトを男性として意識をし、`好き ‘ という気持ちが成長をして`恋 ‘ になったのだと思います。恋をした相手が側にいると、緊張して変な事をしたり、言ったり、赤くなってしまったりもします。」
「恋……」
リリアーナがカイトを見ると、彼はキルスティンを前に乗せていて、ちょうど彼女がカイトに声をかけていた。期せずして、キルスティンの声が耳に入る。
「何か訳があるのだと思います。だってリリアーナ様はカイトのことが大好きですもの。私もカイトが……カイトのことが、大好きです……!」
リリアーナは息を呑む。ツキン、と胸の奥に痛みを感じながら成り行きを見守っていた。
「ありがとうキルスティン。君は優しいな」
カイトがその言葉に籠もった意味を、汲み取っていない事が分かりほっとしていると、サイラスとイフリートの肩が堪えるように震えていた。
すぐにサイラスを見上げてお願いをする。
「サイラス、魔法の杖をわたしにちょうだい。オーガスタが部屋においてきたやつ」
「あれは証拠物件なので、差し上げるわけには……」
「お願い、どうしてもほしいの!!」
「姫様、あれは本物ではありません。念のために今、私の知り合いの魔導師に鑑定させてますが、偽物だと思われます」
「それでもいいの、だって…」
「まあ、偽物ならお渡ししても構わないか」
リリアーナは言いかけた言葉を飲み込んだ。
サイラスにはオーガスタの説明が聞こえていなかったようだ。最初の呪文を唱えない限り、あれはただの杖なのだ。でもこの事を言ってしまったら渡してもらえなくなる。
「城に帰って、その男に本物かどうかを確認してからのお渡しになりますがよろしいですか?」
リリアーナは嬉しそうにこくこくと頷いた。
城に帰り着き、サイラスが男に確認をする。思った通り偽物で『杖をお渡しできますよ』とリリアーナに伝えると、彼女は嬉しそうに彼の首にかじりついて、顔一杯に笑みを浮かべながらその頬にキスをした。
実はサイラスはその時に`リリアーナ様のこの喜びようは何か話していないことがあるな ‘ と気付く。
しかし、偽物で危険はないし、取り上げるのも可哀想だと、深くは考えずにそのままにしてしまったのだ。
ただ肝心の杖であるが、すぐには渡してもらえずにいた。証拠物件としていくつかの手続きを踏んだ後に、やっと今日渡してもらえたのである。
最初は部屋で試そうかと思ったが、オーガスタに異常な拒否反応を示すフランチェスカに、杖が見つかったら取り上げられそうなのでやめにした。
夜間も一人がまだ怖くて、フランチェスカに傍で寝てもらっているので無理である。
フランチェスカがいない時でも、誰かしらが傍らに控えていた……。
バルコニーの椅子に座って溜息を吐いた時に、気持ちの良い風が吹いてくる。野外で過ごすのにいい季節だ。
(そうだ! おそとで夕食を食べて、その時に暗いところにかくれたらどうだろう? かくれてもおかしくないものは……かくれんば! 夕食の後でかくれんぼをして、そのまま人のいないところに行って、杖でおとなにもどればいい!)
ドレスも夜の闇に溶け込むよう、紺色を指定して着せてもらう。
かくれんぼで隠れる振りをして抜け出し、あずやま(東屋)までくらやみの中を、びくびくしながらがんばって歩いた。
これで大人になれる! と胸を膨らませて呪文を唱え、杖を思い切り振ったのだが……
***
かくして冒頭に戻ることになる。
リリアーナの姿はそのままだ。
「おっきくなーれ! おとなになーれ!!」
懸命に杖を振りながら、願いを口にする彼女の手元にカイトはふと視線を向けた。次の瞬間目を見張り、急いで跪いてリリアーナの右手首を取る。
「これは……酷い……」
リリアーナは何百回と杖を振り続けていたようで、手や指の皮が剥けてところどころ血が滲み出ていた。彼が杖を取り上げようとすると、その手を振り払い杖を胸に押し当て、東屋の端へと逃げてしまう。
「まだやる!」
「リリアーナ様、その杖は本物では…」
「本物だもん! わたしがへたなだけで、もうちょっとで大人になるもん!」
「リリアーナ様……」
「だって……だって、大人にならないと……」
リリアーナはぽろぽろと涙を零し始めた。
「婚約解消して、カイトがほかの人と結婚しちゃう………」
ぽろぽろと…ぽろぽろと…流れ落ちる涙は……ふっくらした頬を濡らしていく――
カイトはぐっと喉を詰まらせる。
彼はやがて……決心したように顔を上げると立ち上がり、リリアーナに近付いていった。
「やっ、やっ、カイト来ないで! おっきくなーれ!」
慌てふためいたリリアーナに、カイトが右腕を伸ばしてくる。
(取り上げられてしまう!!)
リリアーナは願いを口にし続けながら、やみくもに杖を振り回した。
びしっ――
「あっ……」
身を屈ませたカイトの顔に、杖が当たってしまった。リリアーナの手から杖が滑り落ち、カランと乾いた音を立てる。
「カイト……」
「はい――」
カイトの頬は擦れて赤く跡もついたが、その表情は優しい。いつもと変わらずに――
リリアーナの瞳から、ぶわっと涙が溢れ出た。
「ご、ごめんなさい……! ごめんなさいーーー!!」
うわんうわんと、今では盛大に泣くリリアーナを、カイトはそっと抱き上げた。胸の中に優しく抱きしめる。
「……しません」
「ふぇ……?」
リリアーナは自分の泣き声が大きくて、カイトが何を言ったか聞き取れなかった。
「婚約解消はいたしません」
「……ほん…とに……?」
「はい。リリアーナ様が望む限りいたしません」
そう、子供でも、大人でも、リリアーナは自分にとって唯一無二の女性――
リリアーナはまだ信じられないようで、大きな碧い瞳をぱっちりと開けてカイトを見ている。
「ほんとのほんと……?」
「はい」
「よ、良かった……こわかったけど…あずやままで来て…がんばって…ほんと良かった……」
驚きのためか、いつのまにか涙も止まっている。
「あずまやですよ。リリアーナ様」
「そうとも言う」
カイトはくすくすと笑いを零した。
そしてリリアーナをじっと見つめる。
「今日ぐらいは許してもらえるでしょうか――」
「え?」
彼はリリアーナの顎に手を添えると、顔を傾けてそっと近づけた。
リリアーナは顔が近付いたと思ったら、唇が重なり目が点になる。
離れた後は顔じゅうを桜色に染め、どうしていいか分からずに腕の中でおたおたした。カイトの胸に愛しい想いが込み上げたところで、リリアーナの身体を月の光が取り巻いて輝き始める。
「んっ……!?」
それが何か見極めようとカイトが両腕を伸ばし、彼女を身体から離したところで、ぽんっ、とリリアーナが元に戻った。16歳のリリアーナに――
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