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第三章
ロングボウの勝利の女神は?
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武術大会の試合は全てメイン会場で行われる。収容人数は二万五千人、現代でいう闘牛場の作りに近い。一日目の午前にロングボウの部、午後に剣術の部、二日目の午前に体術の部、午後に騎馬試合の部となっている。
騎馬試合は花形であるために、最終日である二日目の後半に組まれる事が多い。そして終わった後に国を越え、誰彼構わず入り乱れて朝まで飲み明かすのである。
――こちらはロングボウの部控え室――
「カイト、調子はどうだ?二種目もよく出場する気になったな。」
グスタフから声を掛けられた。
「はい、俺も昨日まで二種目出場する事を知りませんでした。」
カイト、弓の手入れや照準合わせで若干疲れてます。
「ホントか!?サイラス副団長から聞いてなかったのか?という事は、俺のほうが先にお前の出場を知ってたのか・・・」
「それも昨日、ある事を質問しに行ったら急に告げられたんです。そうでなかったらまだ知らなかったかも・・・」
「・・・いや、いくらなんでもそれは・・・あり得る・・・じゃなくて、ほら!お前は副団長に目を掛けられてるから。」
「――目を付けられてるの間違いでは・・・?」
「ラザファム!調子はどうだ!」
あからさまに話題を変えたグスタフである。
「うっ――!」
カイトとグスタフは思わず息を呑んだ。
そこにはカイトに輪を掛けて暗い雰囲気のラザファムがいた。`悲愴‘という言葉がぴったしな面持ちである。
「どうした・・・ラザファム・・・」
「グスタフ隊長、聞いて下さいよ~!!!ロングボウの勝利の女神がサファイア様なんですよ!」
――ああ。
二人共なんとなく納得がいった。勝利の女神は優勝者にメダルをかけて、頬にキスをしてくれるのである。
「サファイア様がどこの馬の骨か分からないやつにキスするのは嫌だから、俺かグスタフ隊長が絶対優勝するようにって・・・。グスタフ隊長はまだいいですよ!?例え優勝しなくても、歩兵隊長だしサファイア様とは殆ど顔を合わせないから!俺は!?・・・四六時中顔を合わせる俺はどうすればいいんですか~!!」
「ラザファム。」
「グスタフ隊長・・・」
そうだ、去年準優勝したグスタフ隊長ならきっと言ってくれる・・・『俺に任せろ』と。
ラザファムの両肩を掴んだグスタフは・・・
「――頑張れよ。」
「えー!?『任せろよ!』じゃないんですか?」
「いや、まあ、今年はなかなか手ごわい奴が多くてな・・・」
グスタフは明後日の方向を向いている。
「グスタフ隊長~!!!」
俺は巻き込まれまい、と距離を置くカイトであった。
幕を開けてみれば、順当にグスタフが勝ち抜いた。準優勝はラザファム。去年六位からの大躍進である。これもある意味サファイアのお陰であろう。
カイトは五位となかなかの好成績で、弓を引く姿が美しいと大層話題になったのであった。
そして、二日目の体術の部へと舞台は移っていくのである。
騎馬試合は花形であるために、最終日である二日目の後半に組まれる事が多い。そして終わった後に国を越え、誰彼構わず入り乱れて朝まで飲み明かすのである。
――こちらはロングボウの部控え室――
「カイト、調子はどうだ?二種目もよく出場する気になったな。」
グスタフから声を掛けられた。
「はい、俺も昨日まで二種目出場する事を知りませんでした。」
カイト、弓の手入れや照準合わせで若干疲れてます。
「ホントか!?サイラス副団長から聞いてなかったのか?という事は、俺のほうが先にお前の出場を知ってたのか・・・」
「それも昨日、ある事を質問しに行ったら急に告げられたんです。そうでなかったらまだ知らなかったかも・・・」
「・・・いや、いくらなんでもそれは・・・あり得る・・・じゃなくて、ほら!お前は副団長に目を掛けられてるから。」
「――目を付けられてるの間違いでは・・・?」
「ラザファム!調子はどうだ!」
あからさまに話題を変えたグスタフである。
「うっ――!」
カイトとグスタフは思わず息を呑んだ。
そこにはカイトに輪を掛けて暗い雰囲気のラザファムがいた。`悲愴‘という言葉がぴったしな面持ちである。
「どうした・・・ラザファム・・・」
「グスタフ隊長、聞いて下さいよ~!!!ロングボウの勝利の女神がサファイア様なんですよ!」
――ああ。
二人共なんとなく納得がいった。勝利の女神は優勝者にメダルをかけて、頬にキスをしてくれるのである。
「サファイア様がどこの馬の骨か分からないやつにキスするのは嫌だから、俺かグスタフ隊長が絶対優勝するようにって・・・。グスタフ隊長はまだいいですよ!?例え優勝しなくても、歩兵隊長だしサファイア様とは殆ど顔を合わせないから!俺は!?・・・四六時中顔を合わせる俺はどうすればいいんですか~!!」
「ラザファム。」
「グスタフ隊長・・・」
そうだ、去年準優勝したグスタフ隊長ならきっと言ってくれる・・・『俺に任せろ』と。
ラザファムの両肩を掴んだグスタフは・・・
「――頑張れよ。」
「えー!?『任せろよ!』じゃないんですか?」
「いや、まあ、今年はなかなか手ごわい奴が多くてな・・・」
グスタフは明後日の方向を向いている。
「グスタフ隊長~!!!」
俺は巻き込まれまい、と距離を置くカイトであった。
幕を開けてみれば、順当にグスタフが勝ち抜いた。準優勝はラザファム。去年六位からの大躍進である。これもある意味サファイアのお陰であろう。
カイトは五位となかなかの好成績で、弓を引く姿が美しいと大層話題になったのであった。
そして、二日目の体術の部へと舞台は移っていくのである。
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