278 / 287
第十二章
腕(かいな)の中のリリアーナ 124(後日談)まだ甘い二人
しおりを挟む
カイトが首を傾けて、静かにリリアーナの唇を塞いだ。
緊張から、キュッと閉じられたリリアーナの唇の間を、舌先でくすぐる。リリアーナがくすぐったそうに、僅かにあけた隙間から、舌を滑り込ませた。思わず縮めた彼女の舌先を探し当てて絡め取り、柔らかく吸い上げる。
「んっ、……」
リリアーナは小さく肩を震わせて、細い指先で、カイトに縋り付いた。
「ぁ……はぁ……っ…」
キスのとき上手く息ができないリリアーナは、カイトが角度を変える度に、喘ぎながら懸命に呼吸をする。カイトが笑みを浮かべ、くちづけを、押し当てるだけの軽く…緩やかなものに変えた。
甘やかに……触れては離れ、リリアーナが慣れるのを待つように、穏やかなキスが続く。
ノックの音が部屋に響いた――。
「リリアーナ様。朝食を、お持ちしました」
「フランだわ……!」
弾かれたように、膝の上から下りようとしたリリアーナは、たちまちカイトによって引き戻される。力強い腕に背後から抱え込まれ、彼の膝の上で身動きが取れなくなってしまった。
「どこに行く?」
リリアーナの腰を掴んでいた片手が離れ、すらりと伸びた指先がつぅ…っ、と彼女の首筋を撫で上げた。ぴくっと身体を揺らしたリリアーナの顎を後ろから掴み、耳元に顔を寄せる。
「鍵の件は了承したはずだろう?」
「フ、フランにひとこと言ってくるだけ、」
耳朶を甘噛みしながらカイトが囁き、リリアーナの胸の鼓動は一段と速くなる。
「”邪魔をしないで”って言うのか?」
顎を捕らえている力は、さほど強くないのに、振り払える気がしない。耳を這う熱い舌にも負けそうになりながら、フランを思い、抗議する。
「フランが、……やぁっ、耳を舐めちゃ……」
「分かった」
「か、噛むのもダメっ、」
「”邪魔をしないで”って言うのか?」
再度問われ、根が真面目なリリアーナは、正直に、しかし恥ずかし気に答える。
「……もう少し、後で、…後で来てって……」
微笑ましいものを見る表情で、口元を緩めたカイトが、リリアーナを腕の中に横たえた。左の二の腕に彼女の頭をそっと乗せ、上から覗き込む。
「もう少し後で?」
その状況と、じっと自分の唇を見つめるカイトの視線にハッとしたリリアーナは、腕の中でもがき始めた。今、この状態から抜け出さなければ、きっとずっと抜け出せなくなる。フランは身を挺して、自分を守ろうとしてくれた。一言でいい、声を掛けたい。
カイトは腕の中から抜け出そうと、じたばたしているリリアーナを、まるで猫の子でも相手にするように、軽くあしらう。はぁはぁと肩で息をしているリリアーナを、悠然と、目を細めて見下ろした。
「それでは、全然足りない」
徐に呟いてから、ゆっくりと……リリアーナに覆いかぶさった。
***
フランチェスカはガラガラと、朝食を載せたワゴンを押しながら考えていた。
(カイトはやはり拳で起こそう。一発……いえ、二発)←腹に食らって、鍵を吐かされた事を根に持っている。
「おはよう、フランチェスカ。遅かったわね」
「おはよう、ビアンカ。ジャネットも、」
「おはよう。もうカイトもリリアーナ様も起きているわよ?」
「チッ、――そうなのね」
フランチェスカが笑みを浮かべた。
「………今、笑顔の前に舌打ちしなかった?」
ジャネットとビアンカが、びくついて、少々遠巻きになる。
「気のせいよ」
フランチェスカが、扉をノックする。
「リリアーナ様。朝食を、お持ちいたしました」
暫く待ったが返事がない。
試しにドアノブを回したが、ガチャガチャと音がするだけで開かない。フランが表向きは落ち着いた様子で、ポケットから鍵を取り出した。ビアンカが恐る恐る声をかける。
「フラン、今はやめたほうがいいわ」
右手に鍵をもったまま、笑みを浮かべて振り返る。
「なぁぜ?」
「笑顔怖っ!!」
ジャネットが慌てて説明をする。
「カイトとリリアーナ様、いい雰囲気だったのよ。邪魔しないほうがいいと思うの」
「分かったわ……」
フランチェスカが頷いたので、二人でホッとしていると、目の前で鍵が差し込まれた。
「えっ、?」
少し差し込んだところで鍵が止まってしまい、フランは回すことができない。
「あの野郎……」
不穏な言葉を吐き、ヒッと息を呑んだ二人の前で、ノックを……と言うよりは、扉をガンガンと叩き始めた。
「カイト、出てきなさい! 朝食を持ってきたわ! 起きている事は分かっているのよ!!」
「何をやっているの、フラン!」
ビアンカが慌てて羽交い絞めにする。
「離して、リリアーナ様のお世話をするんだから!」
ジャネットが宥めにかかった。
「リリアーナ様は心配しなくても大丈夫だから、ワゴンだけ中に入れたら? 後はカイトに任せればいいのよ」
「着替えを手伝わないと! 夜着のままのはずよ!」
「あっ、そういえばそうだったわね。ガウンも着ていなかったし……」
ビアンカの不用意な発言に、ジャネットはみるみるうちに青ざめ、フランはこめかみに青筋を立てた。
「ガウンを・着て・いなかった・…ですって……?」
地獄の亡者のような声で、強く区切って言うフランに、ビアンカが慌てて口を噤んだが、後の祭り。
「誰か、斧を持ってきて! それかイフリート団長!!」
「お願い、落ち着いてぇえええ!」
「扉を壊す気!?」
その時カチャリ、と扉が開いた。
***
執務室――
「口に出す前に、必ず30秒数えろ」
「30秒も数えていたら、テンポよく会話できないわ」
アレクセイの身体から、強い負のオーラが吹き出した。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい! 30秒、きっちり数えます!」
泣きっ面になったサファイアに、オーラを引っ込めたアレクセイが説教を続ける。
「行動に移す前に、必ず誰かに相談をしろ」
「ふぁい」
「自己判断をするな。自分が正しいと思うな、自分の考えを疑ってかかれ」
「兄様」
「何だ?」
「お花を摘みに行きたいのだけど」
「便所か」
「兄様、下品」
「さっき行ったばかりじゃないか」
「また行きたいの」
「二時間で三回は行きすぎだ」
「だって、こんなに疲れたのに、まだ二時間なのよ? やっとお昼で、このあとも夜まで続くのよ!? お願い休ませて。これだけ説教したら、もう話すこともないでしょう?」
「まだ序盤だ」
「うげっ、」
サファイアはアレクセイの隙を見て逃げ出そうとした。
「やっぱり行ってくる!」
が、あっさりと捕まり、ぐるぐると紐で椅子に縛り付けられる。
「なにこれ、冗談はやめてよ!」
「さぁ、残り八時間、行ってみようか」
「えーーー!!」
「復唱しろ。”人の話をきちんと聞く”…………」
席を立ったアレクセイが歩きながら話していると、何やら外が騒がしい事に気が付いた。窓辺に寄り、開け放たれた窓から外を覗き見てみる。
サファイアが復唱をする。
「人の話をきちんと聞く」
アレクセイは、窓に張り付いたままだ。
「に、さま……復唱したけど、……?」
凄まじい形相で振り返り、猛烈な勢いで執務室を出て行ってしまった。
「………えっ、」
椅子に縛り付けられたサファイアは、一人取り残される。
「えっ……?」
サファイアのように、色々とやらかしてしまい遅れております。。゚( ゚^∀^゚)゚。
緊張から、キュッと閉じられたリリアーナの唇の間を、舌先でくすぐる。リリアーナがくすぐったそうに、僅かにあけた隙間から、舌を滑り込ませた。思わず縮めた彼女の舌先を探し当てて絡め取り、柔らかく吸い上げる。
「んっ、……」
リリアーナは小さく肩を震わせて、細い指先で、カイトに縋り付いた。
「ぁ……はぁ……っ…」
キスのとき上手く息ができないリリアーナは、カイトが角度を変える度に、喘ぎながら懸命に呼吸をする。カイトが笑みを浮かべ、くちづけを、押し当てるだけの軽く…緩やかなものに変えた。
甘やかに……触れては離れ、リリアーナが慣れるのを待つように、穏やかなキスが続く。
ノックの音が部屋に響いた――。
「リリアーナ様。朝食を、お持ちしました」
「フランだわ……!」
弾かれたように、膝の上から下りようとしたリリアーナは、たちまちカイトによって引き戻される。力強い腕に背後から抱え込まれ、彼の膝の上で身動きが取れなくなってしまった。
「どこに行く?」
リリアーナの腰を掴んでいた片手が離れ、すらりと伸びた指先がつぅ…っ、と彼女の首筋を撫で上げた。ぴくっと身体を揺らしたリリアーナの顎を後ろから掴み、耳元に顔を寄せる。
「鍵の件は了承したはずだろう?」
「フ、フランにひとこと言ってくるだけ、」
耳朶を甘噛みしながらカイトが囁き、リリアーナの胸の鼓動は一段と速くなる。
「”邪魔をしないで”って言うのか?」
顎を捕らえている力は、さほど強くないのに、振り払える気がしない。耳を這う熱い舌にも負けそうになりながら、フランを思い、抗議する。
「フランが、……やぁっ、耳を舐めちゃ……」
「分かった」
「か、噛むのもダメっ、」
「”邪魔をしないで”って言うのか?」
再度問われ、根が真面目なリリアーナは、正直に、しかし恥ずかし気に答える。
「……もう少し、後で、…後で来てって……」
微笑ましいものを見る表情で、口元を緩めたカイトが、リリアーナを腕の中に横たえた。左の二の腕に彼女の頭をそっと乗せ、上から覗き込む。
「もう少し後で?」
その状況と、じっと自分の唇を見つめるカイトの視線にハッとしたリリアーナは、腕の中でもがき始めた。今、この状態から抜け出さなければ、きっとずっと抜け出せなくなる。フランは身を挺して、自分を守ろうとしてくれた。一言でいい、声を掛けたい。
カイトは腕の中から抜け出そうと、じたばたしているリリアーナを、まるで猫の子でも相手にするように、軽くあしらう。はぁはぁと肩で息をしているリリアーナを、悠然と、目を細めて見下ろした。
「それでは、全然足りない」
徐に呟いてから、ゆっくりと……リリアーナに覆いかぶさった。
***
フランチェスカはガラガラと、朝食を載せたワゴンを押しながら考えていた。
(カイトはやはり拳で起こそう。一発……いえ、二発)←腹に食らって、鍵を吐かされた事を根に持っている。
「おはよう、フランチェスカ。遅かったわね」
「おはよう、ビアンカ。ジャネットも、」
「おはよう。もうカイトもリリアーナ様も起きているわよ?」
「チッ、――そうなのね」
フランチェスカが笑みを浮かべた。
「………今、笑顔の前に舌打ちしなかった?」
ジャネットとビアンカが、びくついて、少々遠巻きになる。
「気のせいよ」
フランチェスカが、扉をノックする。
「リリアーナ様。朝食を、お持ちいたしました」
暫く待ったが返事がない。
試しにドアノブを回したが、ガチャガチャと音がするだけで開かない。フランが表向きは落ち着いた様子で、ポケットから鍵を取り出した。ビアンカが恐る恐る声をかける。
「フラン、今はやめたほうがいいわ」
右手に鍵をもったまま、笑みを浮かべて振り返る。
「なぁぜ?」
「笑顔怖っ!!」
ジャネットが慌てて説明をする。
「カイトとリリアーナ様、いい雰囲気だったのよ。邪魔しないほうがいいと思うの」
「分かったわ……」
フランチェスカが頷いたので、二人でホッとしていると、目の前で鍵が差し込まれた。
「えっ、?」
少し差し込んだところで鍵が止まってしまい、フランは回すことができない。
「あの野郎……」
不穏な言葉を吐き、ヒッと息を呑んだ二人の前で、ノックを……と言うよりは、扉をガンガンと叩き始めた。
「カイト、出てきなさい! 朝食を持ってきたわ! 起きている事は分かっているのよ!!」
「何をやっているの、フラン!」
ビアンカが慌てて羽交い絞めにする。
「離して、リリアーナ様のお世話をするんだから!」
ジャネットが宥めにかかった。
「リリアーナ様は心配しなくても大丈夫だから、ワゴンだけ中に入れたら? 後はカイトに任せればいいのよ」
「着替えを手伝わないと! 夜着のままのはずよ!」
「あっ、そういえばそうだったわね。ガウンも着ていなかったし……」
ビアンカの不用意な発言に、ジャネットはみるみるうちに青ざめ、フランはこめかみに青筋を立てた。
「ガウンを・着て・いなかった・…ですって……?」
地獄の亡者のような声で、強く区切って言うフランに、ビアンカが慌てて口を噤んだが、後の祭り。
「誰か、斧を持ってきて! それかイフリート団長!!」
「お願い、落ち着いてぇえええ!」
「扉を壊す気!?」
その時カチャリ、と扉が開いた。
***
執務室――
「口に出す前に、必ず30秒数えろ」
「30秒も数えていたら、テンポよく会話できないわ」
アレクセイの身体から、強い負のオーラが吹き出した。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい! 30秒、きっちり数えます!」
泣きっ面になったサファイアに、オーラを引っ込めたアレクセイが説教を続ける。
「行動に移す前に、必ず誰かに相談をしろ」
「ふぁい」
「自己判断をするな。自分が正しいと思うな、自分の考えを疑ってかかれ」
「兄様」
「何だ?」
「お花を摘みに行きたいのだけど」
「便所か」
「兄様、下品」
「さっき行ったばかりじゃないか」
「また行きたいの」
「二時間で三回は行きすぎだ」
「だって、こんなに疲れたのに、まだ二時間なのよ? やっとお昼で、このあとも夜まで続くのよ!? お願い休ませて。これだけ説教したら、もう話すこともないでしょう?」
「まだ序盤だ」
「うげっ、」
サファイアはアレクセイの隙を見て逃げ出そうとした。
「やっぱり行ってくる!」
が、あっさりと捕まり、ぐるぐると紐で椅子に縛り付けられる。
「なにこれ、冗談はやめてよ!」
「さぁ、残り八時間、行ってみようか」
「えーーー!!」
「復唱しろ。”人の話をきちんと聞く”…………」
席を立ったアレクセイが歩きながら話していると、何やら外が騒がしい事に気が付いた。窓辺に寄り、開け放たれた窓から外を覗き見てみる。
サファイアが復唱をする。
「人の話をきちんと聞く」
アレクセイは、窓に張り付いたままだ。
「に、さま……復唱したけど、……?」
凄まじい形相で振り返り、猛烈な勢いで執務室を出て行ってしまった。
「………えっ、」
椅子に縛り付けられたサファイアは、一人取り残される。
「えっ……?」
サファイアのように、色々とやらかしてしまい遅れております。。゚( ゚^∀^゚)゚。
0
お気に入りに追加
1,637
あなたにおすすめの小説
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!
ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、
1年以内に妊娠そして出産。
跡継ぎを産んで女主人以上の
役割を果たしていたし、
円満だと思っていた。
夫の本音を聞くまでは。
そして息子が他人に思えた。
いてもいなくてもいい存在?萎んだ花?
分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。
* 作り話です
* 完結保証付き
* 暇つぶしにどうぞ
【完結】殿下、自由にさせていただきます。
なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」
その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。
アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。
髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。
見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。
私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。
初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?
恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。
しかし、正騎士団は女人禁制。
故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。
晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。
身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。
そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。
これは、私の初恋が終わり。
僕として新たな人生を歩みだした話。
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる