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第十二章
腕(かいな)の中のリリアーナ 98
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「ルイス様。手が止まっております。早く書類に目を通してサインをお願いします」
ルイスが執務をこなしている――ここは会議室。ラトヴィッジの高官や事務官達が入りきる部屋は、会議室しかなかったのだ。
書類からルイスが顔を上げる。
「サファイア姫はまだか?」
「まだ迎えに行ったばかりですが」
「アーロンだが……この間の一件以来、すっかりサファイアのファンになった」
「そうですね……」
ルイスと話している彼の名はバーナード。貴族であり優秀な彼は、宰相の任についている。
「アーロンが彼女に懸想して…」
「ありえません」
「今頃口説いている可能性が」
「だから、ありえません――」
「サファイアを異性から守るいい手を考えた。おまけにいちいち呼びに行かなくて済む」
「余計なことを考えずに仕事して下さい」
「彼女を膝に乗せて仕事するのはどうだ」
「それ、サファイア様絶対いやがります……」
扉の外にはサファイア達が居て、警備兵がドアノブを持ったまま固まっていた。中から洩れ聞こえてくる内容に、扉を開けようにも開けられずにいる。
気まずい雰囲気の中、アーロンが顔を赤くさせて謝った。
「恥ずかしい話を、お聞かせして申し訳ありません。ルイス王子は大変優秀なのですが、サファイア様のこととなると、冷静な判断ができなくなるのです」
「気にしないで。それよりも貴方が私に懸想しているという誤解を解かないとね。膝の上はいやだもの」
「誤解を解くのは無理かと……この世の男性は、全てサファイア様に惹かれると思っている方ですから」
「……じゃあ、私が他の男性には見向きもしないと思わせればいいかしら?」
「はい?」
「クリスティアナ姉様とアーロンは、後から二人で楽しそうに話しながら入ってきてちょうだい。私が入った……そうね、三分後位でいいわ」
サファイアは自分の頬を、両手でパンパンと叩いて赤くする。
クリスティアナがクスリと笑ってアーロンに右手を差し出し、当のアーロンは狐につままれたような顔をして、クリスティアナの手を取った。
「開けてちょうだい」
警備兵が頷いて、ノックの音と共に扉を開ける。ルイスにバーナード、高官や事務官達の視線が、一斉に開けた扉に集中をした。
「ルイス様……」←人前なので、様付け
サファイアは顔の筋肉をフルに使い、飛びっきりの笑顔をルイスに向ける。ルイスはガタッ、と椅子から立ち上がり、サファイアの笑みに目を奪われた。
走ってきたのだろうか? 頬は上気し、瞳もキラキラと輝いて、ルイスに会える喜びに溢れかえっている――ように傍からは見える。周囲には目もくれず、いそいそとルイスのもとへ急ぐ姿も愛らしい。途中で躓いたサファイアを、目にもとまらぬ速さで、ルイスが駆けつけ抱き留めた。
そのままギュッと抱き締められて、サファイアは頬を一段と赤く染め上げる。
「人前で恥かしいわ……」
「サファイア」
可愛くって、可愛くって、可愛くって仕方がない様子でサファイアを見つめながらルイスは尋ねた。
「アーロンはどうしたんだ? 呼びにやらせた筈だが」
クリスティアナがアーロンに囁く。
「さあ、今よ。談笑しながら入りましょう」
「さすがサファイア様ですね。心底嬉しそうに見える」
「心底嬉しいのよ。あの子は恥かしがりやだから、私達の前で”演技します”ってポーズを取ったの」
「なるほど……可愛い方ですね」
「ルイス様の前で、それは黙っていたほうがいいかも……」
笑いながら入っていく二人は、大層親しげに見えた。ルイスは満足そうにその光景を眺める。
「クリスティアナ姫もお出で下さったのですね」
「はい。アーロン殿に”ぜひ”と誘われまして」
クールビューティーのクリスティアナが優雅にお辞儀をすると、周囲はどよめき、”我先に!”と挨拶するべく人が群がった。
「サファイアも負けず劣らず美しいのに、なぜ人が殺到しない……!」
「ルイス様のせいです。近付いたら烈火のごとく怒るではありませんか。私は慣れっこですが」
バーナードがサファイアの手を取って、その甲にくちづける。
「三時間前と変わらずにお美しく、愛らしい――」
「それはお褒めの言葉と取っていいのかしら? それとも……」
サファイアは”お前が来ると仕事になんねーよ”と言っているのかと匂わせる。
「はい、これは純粋に王子に対する嫌味です。私自身はサファイア様を大歓迎しております。お会いになった後は溜まった仕事がサクサクと片付きますからね」
ウインクをするバーナードからサファイアが見えないようにルイスは背を向けた。
「サファイアを、見るな触るな口を利くな!」
「標語ですか? そんな調子だから先程も申しました通り、皆サファイア様を遠巻きにするのです」
「ルイス……」
腕の中からサファイアが真っ直ぐにルイスを見上げた。
「なんだいサファイア?」
「私が信じられないの?」
「えっ?」
「私は、貴方以外の男性に決してときめいたりしないわ」
「………それは分かっている。これは俺のくだらない独占欲からくるものなんだ」
サファイアがルイスの頬に手を伸ばして、優しく触れる。
「そうなのね……。でも、少しずつ慣れていかないと。王子妃になる私は立場上、色々な男性と話さなければいけなくなるのよ?」
「分かってはいるのだが……」
柔らかな笑みを浮かべて、サファイアが言う。
「分かったわ。少しずつ慣れていきましょう」
「ルイス様。申し訳ないのですが、そろそろ仕事に戻らないと」
「もうか? 明後日には帰国しないといけないんだぞ? まだ離れたくない。……サファイア、実は提案があるのだが……」
「さっきの思い付きを話したらドン引きされますよ」
バーナードの意見には構わず言い放つ。
「君を膝に乗せて仕事をしたら、能率も上がると思うんだ」
周囲がシーンと静まり返った。明らかに、”それ、言っちゃったの……”の空気である。ただでさえ重いルイスの愛情に加え、限りなく変態チックな申し出に、サファイアの気持ちが一気に冷めたらもう、目も当てられない。
ルイスは元のダメ王子に戻り、子孫も残せず、ラトヴィッジ王国は衰退の一途を辿るであろう。
「ルイス、」
皆がサファイアの次の言葉を固唾を呑んで待った。
「私は欲張りなの――」
「え?」
「仕事の合間に構ってもらうなんて、仕事と私が半分半分だなんて、そんなの許せない。私の相手をする時は、100パーセントでなければ。もちろん私も貴方を独占したい」
「サファイア……!」
ルイスの嬉しそうな表情に、周囲の人間は胸をほっと撫で下ろす。
「優秀な貴方だったら、きっとあの机の上の書類もすぐに終わらせることができるでしょう? そうしたら、心置きなく会えるわ。それに私、アレクセイ兄様が優秀なせいか、優秀な男性が好きなの」
上目遣いでルイスを見上げてくるサファイアに、彼は任せろ!とばかりに返事をする。
「すぐに終わらせる!」
「散歩をしながら、二人で夕日を見たいわ。でも、あの量は多すぎるかしら? アレクセイ兄様も、あれだけの量はさすがに無理かも……」
”上手い……!” と皆が頭を唸らせる。アレクセイより優秀なことを示す為に、夕日を二人で見たいが為に、ルイスは意地でも仕事を終わらせようとするだろう。
それも無茶振りをしたわけではなく、机の上に置いてある仕事は、バーナードが考慮して、ルイスならこなせる分だけ置いてあるのだ。
「仕事に戻るぞ! 休憩時間は終わりだ!」
覇気のある声に、皆が従う。
本当だったら喜ぶべきところだろうが、バーナードをはじめとする高官や事務官達は危機感を抱いた。
”やベーよ。サファイア様に会えなくなったら、王子、仕事しねーよ”
ルイスが執務をこなしている――ここは会議室。ラトヴィッジの高官や事務官達が入りきる部屋は、会議室しかなかったのだ。
書類からルイスが顔を上げる。
「サファイア姫はまだか?」
「まだ迎えに行ったばかりですが」
「アーロンだが……この間の一件以来、すっかりサファイアのファンになった」
「そうですね……」
ルイスと話している彼の名はバーナード。貴族であり優秀な彼は、宰相の任についている。
「アーロンが彼女に懸想して…」
「ありえません」
「今頃口説いている可能性が」
「だから、ありえません――」
「サファイアを異性から守るいい手を考えた。おまけにいちいち呼びに行かなくて済む」
「余計なことを考えずに仕事して下さい」
「彼女を膝に乗せて仕事するのはどうだ」
「それ、サファイア様絶対いやがります……」
扉の外にはサファイア達が居て、警備兵がドアノブを持ったまま固まっていた。中から洩れ聞こえてくる内容に、扉を開けようにも開けられずにいる。
気まずい雰囲気の中、アーロンが顔を赤くさせて謝った。
「恥ずかしい話を、お聞かせして申し訳ありません。ルイス王子は大変優秀なのですが、サファイア様のこととなると、冷静な判断ができなくなるのです」
「気にしないで。それよりも貴方が私に懸想しているという誤解を解かないとね。膝の上はいやだもの」
「誤解を解くのは無理かと……この世の男性は、全てサファイア様に惹かれると思っている方ですから」
「……じゃあ、私が他の男性には見向きもしないと思わせればいいかしら?」
「はい?」
「クリスティアナ姉様とアーロンは、後から二人で楽しそうに話しながら入ってきてちょうだい。私が入った……そうね、三分後位でいいわ」
サファイアは自分の頬を、両手でパンパンと叩いて赤くする。
クリスティアナがクスリと笑ってアーロンに右手を差し出し、当のアーロンは狐につままれたような顔をして、クリスティアナの手を取った。
「開けてちょうだい」
警備兵が頷いて、ノックの音と共に扉を開ける。ルイスにバーナード、高官や事務官達の視線が、一斉に開けた扉に集中をした。
「ルイス様……」←人前なので、様付け
サファイアは顔の筋肉をフルに使い、飛びっきりの笑顔をルイスに向ける。ルイスはガタッ、と椅子から立ち上がり、サファイアの笑みに目を奪われた。
走ってきたのだろうか? 頬は上気し、瞳もキラキラと輝いて、ルイスに会える喜びに溢れかえっている――ように傍からは見える。周囲には目もくれず、いそいそとルイスのもとへ急ぐ姿も愛らしい。途中で躓いたサファイアを、目にもとまらぬ速さで、ルイスが駆けつけ抱き留めた。
そのままギュッと抱き締められて、サファイアは頬を一段と赤く染め上げる。
「人前で恥かしいわ……」
「サファイア」
可愛くって、可愛くって、可愛くって仕方がない様子でサファイアを見つめながらルイスは尋ねた。
「アーロンはどうしたんだ? 呼びにやらせた筈だが」
クリスティアナがアーロンに囁く。
「さあ、今よ。談笑しながら入りましょう」
「さすがサファイア様ですね。心底嬉しそうに見える」
「心底嬉しいのよ。あの子は恥かしがりやだから、私達の前で”演技します”ってポーズを取ったの」
「なるほど……可愛い方ですね」
「ルイス様の前で、それは黙っていたほうがいいかも……」
笑いながら入っていく二人は、大層親しげに見えた。ルイスは満足そうにその光景を眺める。
「クリスティアナ姫もお出で下さったのですね」
「はい。アーロン殿に”ぜひ”と誘われまして」
クールビューティーのクリスティアナが優雅にお辞儀をすると、周囲はどよめき、”我先に!”と挨拶するべく人が群がった。
「サファイアも負けず劣らず美しいのに、なぜ人が殺到しない……!」
「ルイス様のせいです。近付いたら烈火のごとく怒るではありませんか。私は慣れっこですが」
バーナードがサファイアの手を取って、その甲にくちづける。
「三時間前と変わらずにお美しく、愛らしい――」
「それはお褒めの言葉と取っていいのかしら? それとも……」
サファイアは”お前が来ると仕事になんねーよ”と言っているのかと匂わせる。
「はい、これは純粋に王子に対する嫌味です。私自身はサファイア様を大歓迎しております。お会いになった後は溜まった仕事がサクサクと片付きますからね」
ウインクをするバーナードからサファイアが見えないようにルイスは背を向けた。
「サファイアを、見るな触るな口を利くな!」
「標語ですか? そんな調子だから先程も申しました通り、皆サファイア様を遠巻きにするのです」
「ルイス……」
腕の中からサファイアが真っ直ぐにルイスを見上げた。
「なんだいサファイア?」
「私が信じられないの?」
「えっ?」
「私は、貴方以外の男性に決してときめいたりしないわ」
「………それは分かっている。これは俺のくだらない独占欲からくるものなんだ」
サファイアがルイスの頬に手を伸ばして、優しく触れる。
「そうなのね……。でも、少しずつ慣れていかないと。王子妃になる私は立場上、色々な男性と話さなければいけなくなるのよ?」
「分かってはいるのだが……」
柔らかな笑みを浮かべて、サファイアが言う。
「分かったわ。少しずつ慣れていきましょう」
「ルイス様。申し訳ないのですが、そろそろ仕事に戻らないと」
「もうか? 明後日には帰国しないといけないんだぞ? まだ離れたくない。……サファイア、実は提案があるのだが……」
「さっきの思い付きを話したらドン引きされますよ」
バーナードの意見には構わず言い放つ。
「君を膝に乗せて仕事をしたら、能率も上がると思うんだ」
周囲がシーンと静まり返った。明らかに、”それ、言っちゃったの……”の空気である。ただでさえ重いルイスの愛情に加え、限りなく変態チックな申し出に、サファイアの気持ちが一気に冷めたらもう、目も当てられない。
ルイスは元のダメ王子に戻り、子孫も残せず、ラトヴィッジ王国は衰退の一途を辿るであろう。
「ルイス、」
皆がサファイアの次の言葉を固唾を呑んで待った。
「私は欲張りなの――」
「え?」
「仕事の合間に構ってもらうなんて、仕事と私が半分半分だなんて、そんなの許せない。私の相手をする時は、100パーセントでなければ。もちろん私も貴方を独占したい」
「サファイア……!」
ルイスの嬉しそうな表情に、周囲の人間は胸をほっと撫で下ろす。
「優秀な貴方だったら、きっとあの机の上の書類もすぐに終わらせることができるでしょう? そうしたら、心置きなく会えるわ。それに私、アレクセイ兄様が優秀なせいか、優秀な男性が好きなの」
上目遣いでルイスを見上げてくるサファイアに、彼は任せろ!とばかりに返事をする。
「すぐに終わらせる!」
「散歩をしながら、二人で夕日を見たいわ。でも、あの量は多すぎるかしら? アレクセイ兄様も、あれだけの量はさすがに無理かも……」
”上手い……!” と皆が頭を唸らせる。アレクセイより優秀なことを示す為に、夕日を二人で見たいが為に、ルイスは意地でも仕事を終わらせようとするだろう。
それも無茶振りをしたわけではなく、机の上に置いてある仕事は、バーナードが考慮して、ルイスならこなせる分だけ置いてあるのだ。
「仕事に戻るぞ! 休憩時間は終わりだ!」
覇気のある声に、皆が従う。
本当だったら喜ぶべきところだろうが、バーナードをはじめとする高官や事務官達は危機感を抱いた。
”やベーよ。サファイア様に会えなくなったら、王子、仕事しねーよ”
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