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第十二章
腕(かいな)の中のリリアーナ 82
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「――っ!」
自分の胸のシャツを掴み、荒い息で、鏡に向かって怒鳴りつける。
「昨日の腹いせか!!」
「――違う」
12歳のカイトは真夜中の自室で、壁に手をつき、険しい目付きで鏡を見据えた。
18歳のカイトは鏡の中から冷めた目で、苦しむカイトを見返している。
「確かに昨日の出来事は、非常に腹立たしかったが――」
昨日カイトとリリアーナは、舞踏会を前にして”鏡の間”で、ダンスの練習に取り組んでいた。鏡の間とはその名の通り、四方を鏡で囲まれた部屋である。上手くリードができないカイトに、リリアーナが話しかけた。
「カイトはまだダンスを習っていなかったの?」
「はい、どちらかというと苦手でした。年齢的にこれから必要になるので、本腰を入れようとしていたところです」
カイトが鏡を一瞥した後に、何を思ったのかふいに足を止めた。
「あっ、……」
いきなりの出来事にリリアーナは足を躓かせる。胸の中に倒れこんできた華奢な身体を、カイトは難なく抱きとめた。リリアーナはカイトの胸に手をついて、体勢を立て直そうとしたが、しっかりと背中に回された手がそれを許さなかった。
「カイト?」
離してもらおうと、リリアーナは顔を上向ける。リリアーナを見つめながら、カイトが甘く名前を囁いた。
「リリアーナ……」
「――ずるいわ、声を低くして。それではまるで……」
「まるで?」
カイトが顔を近づけてくる。”18歳のカイトみたい”とは言い難く、リリアーナは後ろめたさからもくちづけを素直に受けた。
芳しい花の香りがするリリアーナ。しっとりと柔らかい唇に自分のそれを重ねながら、カイトは視線だけを鏡に向ける。
目の前の鏡にはリリアーナの可憐な後ろ姿と、彼女にくちづけている自分が映っていた。鏡の中の自分は18歳の姿をしていて、同じくくちづけながらも、射殺せんばかりにこちらを睨みつけている。
12歳のカイトは、わざと…ゆっくりと……リリアーナへのキスを続けた。
ビキッ――!
「きゃっ!」
鏡にひびが入り、リリアーナが悲鳴を上げた。カイトが咄嗟に自分の身体でリリアーナを庇う。
「いきなりどうしたのかしら?」
「さあ? これ以上割れる様子はないようですが――」
互いに身体を離してから、鏡をじっと見た。映った二人を切り裂くように、真ん中から縦にひびが入っている。
「あっ……」
「どうかしましたか?」
「今、鏡に映ったカイトが……」
鏡の中のカイトと目の前のカイトを、リリアーナは交互に見比べた。
「気のせいだったみたい……」
心なしか肩を落したリリアーナに、カイトは一瞬ひやっとした。彼には苦虫を噛み潰したような顔の、18歳カイトの姿が映って見えるが、リリアーナにも見える時があるのだろうか――?
***
「昨日キスするところを見せ付けたから、仕返しをしているんだろう!」
「子供だな――」
「なっ!」
クスッと笑いを零すカイトに、12歳カイトが言葉を詰まらせて赤くなる。
「そんな事をする労力があったら、元に戻る為に使うさ。今のお前のその痛みは、多分、昨日の行いが跳ね返ってきたものだ」
「跳ね返ってきた?」
「ああ。あんなものを見せ付けるから、当然俺は猛烈に元の姿に戻りたくなった。その反動が今きてるんだろう」
「つまり、お前が元に戻りたいと想う気持ちが、俺を苦しめているのか?」
「半分当たりだ。俺が強く思う事によって、お前は18歳に戻りつつある。それに逆らっているからそんなに苦しいんだ」
12歳カイトが顔色を変える。
「どれ位まで戻っている?」
「はっきりとは分からないが、その様子だと結構戻っているんじゃないか?」
「お前は余裕だな……」
恨めしそうに12歳カイトが言うと、18歳カイトがふっ、と口角を上げた。
「そうでもない。最初はもっと早く元に戻れると思ったからな」
「いつだ?」
「いつ?」
「最初、俺の中で目覚めたのは」
「かくれんぼで、お前がリリアーナに無理矢理キスした時だ。彼女に強く呼ばれた気がして目覚めたら……」
「あの時か」
強引にキスをしている途中で、突然身体が弾き飛ばされた。リリアーナにできるわけはなく、ずっと不思議に思っていた。
「リリアーナには鏡に映るお前の姿は見えるのか?」
「いや、見えないはずだが、勘のいいところがあるからな……何かの拍子に見える時があるのかもしれない」
12歳カイトが鏡のカイトをじっと見つめた。
「なぜ俺では駄目なんだろう……」
僅かな間の静寂――
「何故だろうな」
鏡の中のカイトはその理由を知っていそうではあったが、話さなかった。
***
舞踏会の当日――
サファイアはラベンダー色のドレスを身に纏い、精緻な細工が施された銀のピアスとネックレスを身に付けていた。
アクセサリーは昨日、部屋に押しかけてきたルイスに贈られたものである。
***
「サファイア姫にお会いしたい!」
「サファイア様はお部屋にいらっしゃいません」
「なら、何故君がここにいるんだ。ラザファム?」
「今サファイア様には他の護衛がついているのです。私は秘密の任務があったので、それを終わらせてからここに……」
「サファイア姫! サファイア姫!」
ルイスは話を聞かずに扉を叩き始めた。
「だから、居ないって言って…」
「うるさいわね! 私は居ないと言っているでしょう!!」
ルイスと、彼を押さえつけようとしたラザファム目掛けてバーンッ、と勢い良く扉が開いた。
「さっきから廊下で何よ!……あれ、二人共どうしたの?」
「サファイア様がいきなり(重たい)扉を開くから! 壁との間に挟まったんです!」
「確かに痛そうね」
「まともに当たりましたからね――って、居ないのに出てきたら駄目でしょう!」
「騒ぐなら他でやってちょうだい」
「見事にスルーしましたね」
「サファイア姫!!」
「何よ!? もう、舞踏会までは貴方と話さないと言ったでしょう!」
「これを……」
「えっ……」
ルイスは跪くと、ベルベットの平たい箱を取り出して、目の前で開けて見せた。
「綺麗」
紅いベルベットの箱に収まっていたのは、精緻な細工が施された銀のピアスとネックレスであった。片羽の形をしたピアスの、羽の付け根部分には小さなサファイアが嵌め込まれている。
ネックレスは中央部分から両側に向かって、羽を広げたデザインで、付け根部分にはやはりサファイアが嵌め込んであった。
「可愛い……」
サファイアは誘惑に駆られそうになる自分の気持ちを必死に抑えた。
実は彼女は可愛い物好きである。自分の性格が可愛くないのを承知しているので、可愛らしいドレスやアクセサリーをつけるのには抵抗があり、今まで避けてきたのだ。
しかしルイスが差し出したアクセサリーは、そこら辺の問題を全てクリアした逸品だった。
可愛らしいデザインの中に気品が感じられ、金ではなく銀細工のせいか、大人っぽい雰囲気もある。
(でも駄目。プロポーズを受けないのだから、こんな高価な物は……いえ、それ以前にアクセサリーなんてもらえない!)
「悪いけど、受け取れないわ」
「貴方のために作らせた品だ。舞踏会で身に付けてほしい」
(舞踏会で――。身に付けてみたい、でも、……!)
「無理よ。やはりだめ」
固く断るサファイアに、ルイスは残念そうに立ち上がった。
「分かりました。君、――」
「はい、王子」
「これを処分してくれ給え」
「かしこまりました」
ルイスが後ろに控えていた従者に箱を渡そうとするのを見て、サファイアは驚きで目を剥いた。
「何を言っているの!?」
「君のために作らせたんだ。今更、他の者には渡せない」
「だからって……、前にも花束の時に言ったでしょう! ちゃんと使いなさいよ、こんな手の込んだ細工物を…」
「それでは銀は溶かして再利用を、サファイアも外して他のネックレスに使えばいい」
「そうではなくて、職人に失礼でしょう?」
「職人には十分な報酬を与えている。このネックレスとピアスを君意外の女性に渡すなんて事は俺には考えられない」
「だから……ああ、もういいから渡して!」
サファイアがルイスからひったくるように、ベルベットの箱を取り上げた。
「私が預かるわ!」
「それは良かった」
「あ、預かるだけなんだからね! 身に付けるわけではないんだから!」
「勿論分かっているさ。でも一応、リリアーナ姫に了解はもらったよ」
サファイアの瞳が驚きで見開かれ、そのままギロリとルイスを睨みつけた。
「まさか……またあの子に近付いたの?」
「違う、違う、カイトを間に挟んで、距離もちゃんと5m以上離れて話した」
「何て、言ってた……?」
「”これは是非、姉様につけてほしい”って」
「うそ……」
「本当さ。”貴方の事はまだ許せないけど、これはサファイア姉様の為に作られた素晴らしい品だから” と言ってくれた」
「………」
サファイアが手の中にある紅い箱を、心持ち嬉しそうに眺め、その様子にルイスが和らいだ笑みを浮かべた。 それに気付いたサファイアが顔を赤らめる。
「な、なに嬉しそうな顔しているのよ。また首を絞められたいの?」
「今度は更にきつい言葉と蔑みの視線でお願いしたい」
バタンッ、と目の前で扉が閉められた。
「しまった……」
「いい加減に学びましょうよ…って、わざと言ったでしょう?」
「つい、可愛くて。それに、半分は本音だ」
「………やらかした後に、本当に懲りない方ですね」
ルイスがニヤリと笑い、ラザファムは恒例の溜息を吐いた。
自分の胸のシャツを掴み、荒い息で、鏡に向かって怒鳴りつける。
「昨日の腹いせか!!」
「――違う」
12歳のカイトは真夜中の自室で、壁に手をつき、険しい目付きで鏡を見据えた。
18歳のカイトは鏡の中から冷めた目で、苦しむカイトを見返している。
「確かに昨日の出来事は、非常に腹立たしかったが――」
昨日カイトとリリアーナは、舞踏会を前にして”鏡の間”で、ダンスの練習に取り組んでいた。鏡の間とはその名の通り、四方を鏡で囲まれた部屋である。上手くリードができないカイトに、リリアーナが話しかけた。
「カイトはまだダンスを習っていなかったの?」
「はい、どちらかというと苦手でした。年齢的にこれから必要になるので、本腰を入れようとしていたところです」
カイトが鏡を一瞥した後に、何を思ったのかふいに足を止めた。
「あっ、……」
いきなりの出来事にリリアーナは足を躓かせる。胸の中に倒れこんできた華奢な身体を、カイトは難なく抱きとめた。リリアーナはカイトの胸に手をついて、体勢を立て直そうとしたが、しっかりと背中に回された手がそれを許さなかった。
「カイト?」
離してもらおうと、リリアーナは顔を上向ける。リリアーナを見つめながら、カイトが甘く名前を囁いた。
「リリアーナ……」
「――ずるいわ、声を低くして。それではまるで……」
「まるで?」
カイトが顔を近づけてくる。”18歳のカイトみたい”とは言い難く、リリアーナは後ろめたさからもくちづけを素直に受けた。
芳しい花の香りがするリリアーナ。しっとりと柔らかい唇に自分のそれを重ねながら、カイトは視線だけを鏡に向ける。
目の前の鏡にはリリアーナの可憐な後ろ姿と、彼女にくちづけている自分が映っていた。鏡の中の自分は18歳の姿をしていて、同じくくちづけながらも、射殺せんばかりにこちらを睨みつけている。
12歳のカイトは、わざと…ゆっくりと……リリアーナへのキスを続けた。
ビキッ――!
「きゃっ!」
鏡にひびが入り、リリアーナが悲鳴を上げた。カイトが咄嗟に自分の身体でリリアーナを庇う。
「いきなりどうしたのかしら?」
「さあ? これ以上割れる様子はないようですが――」
互いに身体を離してから、鏡をじっと見た。映った二人を切り裂くように、真ん中から縦にひびが入っている。
「あっ……」
「どうかしましたか?」
「今、鏡に映ったカイトが……」
鏡の中のカイトと目の前のカイトを、リリアーナは交互に見比べた。
「気のせいだったみたい……」
心なしか肩を落したリリアーナに、カイトは一瞬ひやっとした。彼には苦虫を噛み潰したような顔の、18歳カイトの姿が映って見えるが、リリアーナにも見える時があるのだろうか――?
***
「昨日キスするところを見せ付けたから、仕返しをしているんだろう!」
「子供だな――」
「なっ!」
クスッと笑いを零すカイトに、12歳カイトが言葉を詰まらせて赤くなる。
「そんな事をする労力があったら、元に戻る為に使うさ。今のお前のその痛みは、多分、昨日の行いが跳ね返ってきたものだ」
「跳ね返ってきた?」
「ああ。あんなものを見せ付けるから、当然俺は猛烈に元の姿に戻りたくなった。その反動が今きてるんだろう」
「つまり、お前が元に戻りたいと想う気持ちが、俺を苦しめているのか?」
「半分当たりだ。俺が強く思う事によって、お前は18歳に戻りつつある。それに逆らっているからそんなに苦しいんだ」
12歳カイトが顔色を変える。
「どれ位まで戻っている?」
「はっきりとは分からないが、その様子だと結構戻っているんじゃないか?」
「お前は余裕だな……」
恨めしそうに12歳カイトが言うと、18歳カイトがふっ、と口角を上げた。
「そうでもない。最初はもっと早く元に戻れると思ったからな」
「いつだ?」
「いつ?」
「最初、俺の中で目覚めたのは」
「かくれんぼで、お前がリリアーナに無理矢理キスした時だ。彼女に強く呼ばれた気がして目覚めたら……」
「あの時か」
強引にキスをしている途中で、突然身体が弾き飛ばされた。リリアーナにできるわけはなく、ずっと不思議に思っていた。
「リリアーナには鏡に映るお前の姿は見えるのか?」
「いや、見えないはずだが、勘のいいところがあるからな……何かの拍子に見える時があるのかもしれない」
12歳カイトが鏡のカイトをじっと見つめた。
「なぜ俺では駄目なんだろう……」
僅かな間の静寂――
「何故だろうな」
鏡の中のカイトはその理由を知っていそうではあったが、話さなかった。
***
舞踏会の当日――
サファイアはラベンダー色のドレスを身に纏い、精緻な細工が施された銀のピアスとネックレスを身に付けていた。
アクセサリーは昨日、部屋に押しかけてきたルイスに贈られたものである。
***
「サファイア姫にお会いしたい!」
「サファイア様はお部屋にいらっしゃいません」
「なら、何故君がここにいるんだ。ラザファム?」
「今サファイア様には他の護衛がついているのです。私は秘密の任務があったので、それを終わらせてからここに……」
「サファイア姫! サファイア姫!」
ルイスは話を聞かずに扉を叩き始めた。
「だから、居ないって言って…」
「うるさいわね! 私は居ないと言っているでしょう!!」
ルイスと、彼を押さえつけようとしたラザファム目掛けてバーンッ、と勢い良く扉が開いた。
「さっきから廊下で何よ!……あれ、二人共どうしたの?」
「サファイア様がいきなり(重たい)扉を開くから! 壁との間に挟まったんです!」
「確かに痛そうね」
「まともに当たりましたからね――って、居ないのに出てきたら駄目でしょう!」
「騒ぐなら他でやってちょうだい」
「見事にスルーしましたね」
「サファイア姫!!」
「何よ!? もう、舞踏会までは貴方と話さないと言ったでしょう!」
「これを……」
「えっ……」
ルイスは跪くと、ベルベットの平たい箱を取り出して、目の前で開けて見せた。
「綺麗」
紅いベルベットの箱に収まっていたのは、精緻な細工が施された銀のピアスとネックレスであった。片羽の形をしたピアスの、羽の付け根部分には小さなサファイアが嵌め込まれている。
ネックレスは中央部分から両側に向かって、羽を広げたデザインで、付け根部分にはやはりサファイアが嵌め込んであった。
「可愛い……」
サファイアは誘惑に駆られそうになる自分の気持ちを必死に抑えた。
実は彼女は可愛い物好きである。自分の性格が可愛くないのを承知しているので、可愛らしいドレスやアクセサリーをつけるのには抵抗があり、今まで避けてきたのだ。
しかしルイスが差し出したアクセサリーは、そこら辺の問題を全てクリアした逸品だった。
可愛らしいデザインの中に気品が感じられ、金ではなく銀細工のせいか、大人っぽい雰囲気もある。
(でも駄目。プロポーズを受けないのだから、こんな高価な物は……いえ、それ以前にアクセサリーなんてもらえない!)
「悪いけど、受け取れないわ」
「貴方のために作らせた品だ。舞踏会で身に付けてほしい」
(舞踏会で――。身に付けてみたい、でも、……!)
「無理よ。やはりだめ」
固く断るサファイアに、ルイスは残念そうに立ち上がった。
「分かりました。君、――」
「はい、王子」
「これを処分してくれ給え」
「かしこまりました」
ルイスが後ろに控えていた従者に箱を渡そうとするのを見て、サファイアは驚きで目を剥いた。
「何を言っているの!?」
「君のために作らせたんだ。今更、他の者には渡せない」
「だからって……、前にも花束の時に言ったでしょう! ちゃんと使いなさいよ、こんな手の込んだ細工物を…」
「それでは銀は溶かして再利用を、サファイアも外して他のネックレスに使えばいい」
「そうではなくて、職人に失礼でしょう?」
「職人には十分な報酬を与えている。このネックレスとピアスを君意外の女性に渡すなんて事は俺には考えられない」
「だから……ああ、もういいから渡して!」
サファイアがルイスからひったくるように、ベルベットの箱を取り上げた。
「私が預かるわ!」
「それは良かった」
「あ、預かるだけなんだからね! 身に付けるわけではないんだから!」
「勿論分かっているさ。でも一応、リリアーナ姫に了解はもらったよ」
サファイアの瞳が驚きで見開かれ、そのままギロリとルイスを睨みつけた。
「まさか……またあの子に近付いたの?」
「違う、違う、カイトを間に挟んで、距離もちゃんと5m以上離れて話した」
「何て、言ってた……?」
「”これは是非、姉様につけてほしい”って」
「うそ……」
「本当さ。”貴方の事はまだ許せないけど、これはサファイア姉様の為に作られた素晴らしい品だから” と言ってくれた」
「………」
サファイアが手の中にある紅い箱を、心持ち嬉しそうに眺め、その様子にルイスが和らいだ笑みを浮かべた。 それに気付いたサファイアが顔を赤らめる。
「な、なに嬉しそうな顔しているのよ。また首を絞められたいの?」
「今度は更にきつい言葉と蔑みの視線でお願いしたい」
バタンッ、と目の前で扉が閉められた。
「しまった……」
「いい加減に学びましょうよ…って、わざと言ったでしょう?」
「つい、可愛くて。それに、半分は本音だ」
「………やらかした後に、本当に懲りない方ですね」
ルイスがニヤリと笑い、ラザファムは恒例の溜息を吐いた。
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