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53 月が綺麗だから外で休もう
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柱に嵌めこまれた鏡の前でくるっと回る。
そこに映った姿を目の当たりにして、エリカは真っ赤になり、周囲からは”キャー!”とまた喚声が上がった。
シャンデリアの光を浴びながら回転すると、金で刺繍された蔦がするすると伸び、エリカの身体に纏わりつく。
それはさながら生き物のように、ターンをする度、金の蔦が絡みついて見える。
(なんか淫ら………っていうか、逃げられない感じが怖い)
そのドレスはダニエルの強い独占欲が窺えて、周りも少々引いている。
ただでさえ注目を浴びているのに、恥ずかしさMaxで、エリカは精神的にどっときた。
「ダニエル……人の目がないところで休みたいです」
ダニエルがわずかに口の端を上げ、エリカの耳元で囁く。
「人気がないところ…?」
「人の目のないところ!」
ターンをしたところで曲が終わり、ギュッとエリカは抱き締められた。
「!」
「月が綺麗だから外で休もう」
皆の注目をものともせず、エリカの腰をグッと引き寄せ、ピッタリ寄り添い歩き始める。
「ダニエル、近すぎるわ」
「5回続けて踊った後だが、支えなくても平気なのか?」
「…………」
そう、休みなく5回も踊ったので、エリカの足腰は相当きていてヘロヘロである。
「軽く支えてくれるだけで大丈夫なのに」
ダニエルの腕の力は緩まない。
二人の仲を知らしめたいのか、オズワルド王子と踊らせたくないのか、ヘロヘロのエリカを心配しているのか……まぁ、全てであろう。
「恥ずかしいなら、俺の胸に顔を伏せていればいい」
集中する視線が辛いのでそうしたいが、婚約者候補だった令嬢たちに、”人前でベタベタして、なんてはしたない”と後でいびられそうだ。
(あ、もうとっくにベタベタしているか……)
考え事をしていたせいで、エリカはドリンクテーブルに気づかなかった。
「あっ、」
テーブルの脚につまずいてバランスを崩しかけたエリカを、ダニエルが支え、すっと横に抱き上げる。
「ダニエル!?」
「ふらふらしていると思ったら、気分がすぐれなかったんだな。悪かった。何曲もつきあわせて」
大きめの声でそう言った後に、顔を近づけて囁いた。
「これで俺の胸に堂々と顔を伏せられるだろう?」
”あ、確かに”と言われた通り、胸に顔を伏せて、エリカは大人しく運ばれていった。
『殿下、あの時エリカがつまずくよう、誘導していましたよね』
※)ミランダは見た
テラスへ続くガラス戸前には衛兵が待ち構えていて、さっと扉が開けられた。
後に続こうとした好奇心旺盛な人々は、衛兵たちによって止められてしまう。
人がついてこない事に気づいたエリカが、ダニエルの腕の中で顔を上げた。
「ダニエル?」
「人払いをしたからゆっくりできる」
そこに映った姿を目の当たりにして、エリカは真っ赤になり、周囲からは”キャー!”とまた喚声が上がった。
シャンデリアの光を浴びながら回転すると、金で刺繍された蔦がするすると伸び、エリカの身体に纏わりつく。
それはさながら生き物のように、ターンをする度、金の蔦が絡みついて見える。
(なんか淫ら………っていうか、逃げられない感じが怖い)
そのドレスはダニエルの強い独占欲が窺えて、周りも少々引いている。
ただでさえ注目を浴びているのに、恥ずかしさMaxで、エリカは精神的にどっときた。
「ダニエル……人の目がないところで休みたいです」
ダニエルがわずかに口の端を上げ、エリカの耳元で囁く。
「人気がないところ…?」
「人の目のないところ!」
ターンをしたところで曲が終わり、ギュッとエリカは抱き締められた。
「!」
「月が綺麗だから外で休もう」
皆の注目をものともせず、エリカの腰をグッと引き寄せ、ピッタリ寄り添い歩き始める。
「ダニエル、近すぎるわ」
「5回続けて踊った後だが、支えなくても平気なのか?」
「…………」
そう、休みなく5回も踊ったので、エリカの足腰は相当きていてヘロヘロである。
「軽く支えてくれるだけで大丈夫なのに」
ダニエルの腕の力は緩まない。
二人の仲を知らしめたいのか、オズワルド王子と踊らせたくないのか、ヘロヘロのエリカを心配しているのか……まぁ、全てであろう。
「恥ずかしいなら、俺の胸に顔を伏せていればいい」
集中する視線が辛いのでそうしたいが、婚約者候補だった令嬢たちに、”人前でベタベタして、なんてはしたない”と後でいびられそうだ。
(あ、もうとっくにベタベタしているか……)
考え事をしていたせいで、エリカはドリンクテーブルに気づかなかった。
「あっ、」
テーブルの脚につまずいてバランスを崩しかけたエリカを、ダニエルが支え、すっと横に抱き上げる。
「ダニエル!?」
「ふらふらしていると思ったら、気分がすぐれなかったんだな。悪かった。何曲もつきあわせて」
大きめの声でそう言った後に、顔を近づけて囁いた。
「これで俺の胸に堂々と顔を伏せられるだろう?」
”あ、確かに”と言われた通り、胸に顔を伏せて、エリカは大人しく運ばれていった。
『殿下、あの時エリカがつまずくよう、誘導していましたよね』
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テラスへ続くガラス戸前には衛兵が待ち構えていて、さっと扉が開けられた。
後に続こうとした好奇心旺盛な人々は、衛兵たちによって止められてしまう。
人がついてこない事に気づいたエリカが、ダニエルの腕の中で顔を上げた。
「ダニエル?」
「人払いをしたからゆっくりできる」
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