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第3章 ~よう
心がか⑥
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☆sideシン
リンは無事『パーフェクトボディー』に勝利する。意外とあっさりと倒せた印象を覚えてしまうが、リンが対面したからに過ぎない。龍児やメハでは…勝てない。
「強かった…」
〔あぁ…〕
【流弾】は留めることこと異能を用いているが、作用は親和力と関係ない。そして、武術にも親和力は関係ない。『肉体』には異能は効きにくいからこそ、この勝利はでかい。
ただ…ゾッとする
『最強』は『パーフェクトボディー』を上回る脅威。異能も、体術も、罠も使えるものを全て使われたら、リンでさえ危うい。
<最後の技は……出す前に封じただけだ…。リンも分かっている…分かっているんだ>
もしかして…詰んだか…?
〈リンが出されたら止めようがないなら、アピスは出せるように工夫するイタチごっこ〉〈でも、圧倒的に劣勢〉〈完全な有効打がバレた〉〈作戦とか工夫でなんとかなる問題か?〉〈やり直しがきかないとこまで来たんじゃないのか?〉〈ここは、ヤツの庭!!〉
「シン…」
〔あ、あぁ〕
「お母さんが大丈夫だって言ったよ」
〔……〕
「勝てないと思う…?」
そう言われると…弱い。あのケイトが考えない技じゃない。ただ、肉体を熱くするだけのことを想定しないわけもないし、そうされてもケイトなら突破する。リンも…できる。字面では理解できる。
ビジョンが浮かばない
今ある手札から、アピスを打ち破れる未来が想像できない。メハやケイト、皆が託してくれたバトンだけは、アイツのひん曲がった悪意から守らなきゃいけない。守らなきゃ…いけないのに。
「急がば回れ」
〔…ッ…!!〕
「…お母さんが…言ってたからずっと考えてる……たぶん、焦るなとかの意味合いも強そう…」
〔…はは…かもな。…ケイトならオレらの感情も読めてそうだよな…〕
笑みとまではいかないが小さな明るみに変わる。ケイトの言葉も、リンの考えも、オレにとっての救いだ。
「起きた」
「………」
『パーフェクトボディー』は敗北を理解した顔をしている。泣き出すかもしれない。
死相が見える…
憑き物が落ちたような雰囲気、全力を出し尽くし充実感を覚えた優しい眼、生まれたばかりに似た存在の不安定感。知っている。オレにとって、これらは全て、死亡フラグだ!!
ド ク ン !
「毒」
「ガハ…」
ブシュ!ビィチャァーー!
リンは即座に身体のチェックに入る。だが、親和力の通りが悪い『肉体』には、受け入れられないことには異能の干渉は望めない。
「受け入れて!助けたい!」
〔リン!〕
出血の激しい部分を直接手で押さえていたら声くらいかけたくなる。毒に汚染されたのなら、リンにも効きうる。
「抗体作る」
わざと浴びたと、言うのか…。だが、間に合うか…!?
「……ゴッh」
「死にたくないんでしょ!!」
リンは自身の『血』に含まれる抗体を異能で『パーフェクトボディー』に流し込む。
「踏ん張ってよ!…死ぬなぁ!」
ダン!!!!
それは【魂抜】だった。リンと『パーフェクトボディー』のどちらにも通じる『霊体』攻撃。
「ぐ…はぁ!!」
「………ぅ!!」
自身の『霊体』を守りつつ、治療を止めない。さすがに、『パーフェクトボディー』の『霊体』までは守り切れない。
〔すまないな〕
衝撃の連続だ。それは、オレの声ではなかった。アピスの声とも言い難く、中性的で感情が薄い声。出会ったばかりのリンに似ていた。リンは反撃で異能を発揮するが、その存在には届かず、終わる。
「…やられた…」
〔……だな〕
『霊体』の主は姿をくらまし、案の定、担架を持ったロボットが部屋に入る。
「お預けください。お預けください」
リンは大人しく、『パーフェクトボディー』を乗せる。解毒も簡単に行われ、一層ムカつく。自作自演と言ってもおかしくないものだ。
〔くそ!〕
「仕方ない。あぁするしかなかった」
そう仕方ないのだ。『霊体』が『肉体』と離れすぎると戻れなくなる可能性が出てくる。敵の戦力を削ったかと思ったら、変わらないなんてクソゲーにも程がある。バグだろ。それはそれとしても、リンが不意打ち食らうのが珍しい。
「とりあえず、ルピカとエンちゃんを迎えに行こ」
〔あぁ…〕
階段まで戻ると、一人がいなくなっていた。
「…あーー、その、お疲れ」
「ルピカは?」
「上に向かってる」
〔…なんでだ?〕
一筋縄ではいかないことが多くて、リンとケイトがどこまで読んでいたかが全く分からない。
リンは無事『パーフェクトボディー』に勝利する。意外とあっさりと倒せた印象を覚えてしまうが、リンが対面したからに過ぎない。龍児やメハでは…勝てない。
「強かった…」
〔あぁ…〕
【流弾】は留めることこと異能を用いているが、作用は親和力と関係ない。そして、武術にも親和力は関係ない。『肉体』には異能は効きにくいからこそ、この勝利はでかい。
ただ…ゾッとする
『最強』は『パーフェクトボディー』を上回る脅威。異能も、体術も、罠も使えるものを全て使われたら、リンでさえ危うい。
<最後の技は……出す前に封じただけだ…。リンも分かっている…分かっているんだ>
もしかして…詰んだか…?
〈リンが出されたら止めようがないなら、アピスは出せるように工夫するイタチごっこ〉〈でも、圧倒的に劣勢〉〈完全な有効打がバレた〉〈作戦とか工夫でなんとかなる問題か?〉〈やり直しがきかないとこまで来たんじゃないのか?〉〈ここは、ヤツの庭!!〉
「シン…」
〔あ、あぁ〕
「お母さんが大丈夫だって言ったよ」
〔……〕
「勝てないと思う…?」
そう言われると…弱い。あのケイトが考えない技じゃない。ただ、肉体を熱くするだけのことを想定しないわけもないし、そうされてもケイトなら突破する。リンも…できる。字面では理解できる。
ビジョンが浮かばない
今ある手札から、アピスを打ち破れる未来が想像できない。メハやケイト、皆が託してくれたバトンだけは、アイツのひん曲がった悪意から守らなきゃいけない。守らなきゃ…いけないのに。
「急がば回れ」
〔…ッ…!!〕
「…お母さんが…言ってたからずっと考えてる……たぶん、焦るなとかの意味合いも強そう…」
〔…はは…かもな。…ケイトならオレらの感情も読めてそうだよな…〕
笑みとまではいかないが小さな明るみに変わる。ケイトの言葉も、リンの考えも、オレにとっての救いだ。
「起きた」
「………」
『パーフェクトボディー』は敗北を理解した顔をしている。泣き出すかもしれない。
死相が見える…
憑き物が落ちたような雰囲気、全力を出し尽くし充実感を覚えた優しい眼、生まれたばかりに似た存在の不安定感。知っている。オレにとって、これらは全て、死亡フラグだ!!
ド ク ン !
「毒」
「ガハ…」
ブシュ!ビィチャァーー!
リンは即座に身体のチェックに入る。だが、親和力の通りが悪い『肉体』には、受け入れられないことには異能の干渉は望めない。
「受け入れて!助けたい!」
〔リン!〕
出血の激しい部分を直接手で押さえていたら声くらいかけたくなる。毒に汚染されたのなら、リンにも効きうる。
「抗体作る」
わざと浴びたと、言うのか…。だが、間に合うか…!?
「……ゴッh」
「死にたくないんでしょ!!」
リンは自身の『血』に含まれる抗体を異能で『パーフェクトボディー』に流し込む。
「踏ん張ってよ!…死ぬなぁ!」
ダン!!!!
それは【魂抜】だった。リンと『パーフェクトボディー』のどちらにも通じる『霊体』攻撃。
「ぐ…はぁ!!」
「………ぅ!!」
自身の『霊体』を守りつつ、治療を止めない。さすがに、『パーフェクトボディー』の『霊体』までは守り切れない。
〔すまないな〕
衝撃の連続だ。それは、オレの声ではなかった。アピスの声とも言い難く、中性的で感情が薄い声。出会ったばかりのリンに似ていた。リンは反撃で異能を発揮するが、その存在には届かず、終わる。
「…やられた…」
〔……だな〕
『霊体』の主は姿をくらまし、案の定、担架を持ったロボットが部屋に入る。
「お預けください。お預けください」
リンは大人しく、『パーフェクトボディー』を乗せる。解毒も簡単に行われ、一層ムカつく。自作自演と言ってもおかしくないものだ。
〔くそ!〕
「仕方ない。あぁするしかなかった」
そう仕方ないのだ。『霊体』が『肉体』と離れすぎると戻れなくなる可能性が出てくる。敵の戦力を削ったかと思ったら、変わらないなんてクソゲーにも程がある。バグだろ。それはそれとしても、リンが不意打ち食らうのが珍しい。
「とりあえず、ルピカとエンちゃんを迎えに行こ」
〔あぁ…〕
階段まで戻ると、一人がいなくなっていた。
「…あーー、その、お疲れ」
「ルピカは?」
「上に向かってる」
〔…なんでだ?〕
一筋縄ではいかないことが多くて、リンとケイトがどこまで読んでいたかが全く分からない。
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