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第3章 ~よう
器④
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☆sideシン
少し時間をおいて会議が始まる。
「わたしが使える手札を最大限使う。相手の情報を少しでも多く知る。弱点を突いて、効果的に損害を与え、本体に相対する。他何かある?」
「概ね、いいと思う。異能の会議・特訓は…今はしない。細かい作戦会議をする前に知識をつけてもらおうかな」
リンが大枠を決め、ケイトが手っ取り早く段取りを決める。オレは首肯するだけだった。
「科学、医学、農学…あと建築、心理。すべてを最先端の論文を網羅し超える勢い理解して頂戴」
「わかった」
〔そんなに多くいけるか??〕
「大丈夫。死ぬ可能性が高いものから優先的に覚えてもらうし、リン用の『辞書』は持たせる。でも、戦う前に理解して」
「うん」
リンは頷いてはいるが、オレはそんな時間や理解が可能なのか気になって仕方ない。その意図が伝わって、ケイトは微笑する。そして、リンの目線に合わせてしゃがむ。
「リン。こっち見て」
「?」
「リンはわての心が読めるじゃろ?」
「隠そうとされなければ」
「考えていることはどうじゃ?」
「いけは………」
リンは言いながら、倒れかける。一瞬ではあれど、白目を剝いていた。すかさず、ケイトが支えて、声をかける。
「無理をするんじゃないよ…」
「…やる」
リンは肩で息をしながら立ち上がる。
「………」
ケイトはこっちに目を向ける。するべきかどうか。
〔二人に任せる〕
「リン…。今見たのは、本当に一部じゃ。今回の何十倍もあるが、良いな?」
「うん」
「では始める。…ゆっくり、ゆっくり、基礎を総浚いしてから、他分野で統合して現実に最適化して…」
「……うん…うん……」
リンが集中して一人の世界になるのを確認しながら、ケイトは指示を飛ばす。
「ルコ!バン!直ぐに動ける人を確保して。マスト」
「は、はい!!」
「他は、家族やつながりの強い人に送りたい言葉を考えてて。必ず役に立つ」
「……!」
返事こそしないが、気迫と説得力、信頼から皆頷く。リンには頭の中の情報を選択的に見せながら、口頭で更なる指示をグルバンたちに伝える。
「ルコ、バン、アイナたちには、さっきのとは別で、それぞれして欲しいことがある」
「任せて」
「あたしたちにできることなら、ね~~。あっ、人を傷つけるとかは向いてないと思う」
ケイトは軽くこちらに目配せし、淡々とそれぞれに【情報】を与える。驚くことしかできないオレに改めて一瞥する。
「二時の方向から来客じゃ。敵意なし…」
〔!!行ってくる〕
「…リンを通じて、力借りるわ」
〔…そっちは頼む〕
ギギ…ギ…
オレはそのケイトの言葉を背中で受けながら飛び出す。リンに繋いだオレの体の一部から異能を引き出すと言っているのだ。
<オレが許可するから使えるんだが、なんも教えてないんだがな…>
オレはケイトに言われた方角に突き進む。念のため、存在感を隠し、他の霊似たようなカモフラは最低限して進む。警察の服装をした男がなりふり構わず走っている。
<…あれは…>
ここが、さっきリンがいた公園で。二人が話をしたのを知っていた。周りをよく見渡している。存在感を放ち、見える姿を調整していると、男はこちらに顔を向ける。
「……」
〔………〕
目が合っているのか微妙なラインだったが、別の方向に顔を向けられる。気のせいだと判断しかけると、唐突に男は叫びだす。
「なぜ王様がいっぱいいるんだぁ!!!ほ、本部からはなにもなかったぞ!?応援を呼ばなくてはぁああ!!」
オレの横を通り過ぎる瞬間、明らかにこちらに視線を向けていた。刹那のアイコンタクトで察する。
<これは、合図だ。こういう風に伝えざるを得ないから、なにか制限されているから、緊急的にナニカを伝えるため……>
オレは急いで、飛び上がり、確認する。
〔噓だ…ろ〕
アピスだ。それも大量のアピス。
<アピスは複数名いたか。そして、やはり全員が異能持ちだ。なぜこちらの方角と分かった??アピスの来る方向を見てから、警官がこっちに来たか。警官がこっちに来たから、アピスが来てるのか…>
下手に戻っても見られている可能性がある。
<戻るのもリスクがある…なら>
体に信号を回す。ケイトはオレの体の一部を介して異能を引き出していたし、おそらく、変化には気づける。一方通行になるかもしれないが有用な連絡手段と言えた。即行って戻ったりしたら、見える人間には少々怪しく映るかもしれないためである。次の一手を打つことも想定する。存在感を放って、誘導する作戦だ。
<あと一分経っても連絡が来なければ決行しよう>
オレには、警官が敵か味方か判別できない。できる最善を尽くs。
「迎えに来たわ」
〔!!??〕
ケイトが現れる。警官と話している間にもケイトからこれまでの異能使用者とは桁違いに使っているのは体感していたが、使いこなしている。これは【時空】を使ったとしか思えない。
「…知りたいんでしょ」
<???理解が追いつかない…。何をしたら、ここまで神に近づけるか>
ケイトはこちらに、情報データを視覚化された立体的なものと【時空】を歪め小さくなったリンを見せつけるが。リンが…人外の領域に踏み込んだ存在感を有していたことには、恐ろしいと思わずにはいられなかった。
少し時間をおいて会議が始まる。
「わたしが使える手札を最大限使う。相手の情報を少しでも多く知る。弱点を突いて、効果的に損害を与え、本体に相対する。他何かある?」
「概ね、いいと思う。異能の会議・特訓は…今はしない。細かい作戦会議をする前に知識をつけてもらおうかな」
リンが大枠を決め、ケイトが手っ取り早く段取りを決める。オレは首肯するだけだった。
「科学、医学、農学…あと建築、心理。すべてを最先端の論文を網羅し超える勢い理解して頂戴」
「わかった」
〔そんなに多くいけるか??〕
「大丈夫。死ぬ可能性が高いものから優先的に覚えてもらうし、リン用の『辞書』は持たせる。でも、戦う前に理解して」
「うん」
リンは頷いてはいるが、オレはそんな時間や理解が可能なのか気になって仕方ない。その意図が伝わって、ケイトは微笑する。そして、リンの目線に合わせてしゃがむ。
「リン。こっち見て」
「?」
「リンはわての心が読めるじゃろ?」
「隠そうとされなければ」
「考えていることはどうじゃ?」
「いけは………」
リンは言いながら、倒れかける。一瞬ではあれど、白目を剝いていた。すかさず、ケイトが支えて、声をかける。
「無理をするんじゃないよ…」
「…やる」
リンは肩で息をしながら立ち上がる。
「………」
ケイトはこっちに目を向ける。するべきかどうか。
〔二人に任せる〕
「リン…。今見たのは、本当に一部じゃ。今回の何十倍もあるが、良いな?」
「うん」
「では始める。…ゆっくり、ゆっくり、基礎を総浚いしてから、他分野で統合して現実に最適化して…」
「……うん…うん……」
リンが集中して一人の世界になるのを確認しながら、ケイトは指示を飛ばす。
「ルコ!バン!直ぐに動ける人を確保して。マスト」
「は、はい!!」
「他は、家族やつながりの強い人に送りたい言葉を考えてて。必ず役に立つ」
「……!」
返事こそしないが、気迫と説得力、信頼から皆頷く。リンには頭の中の情報を選択的に見せながら、口頭で更なる指示をグルバンたちに伝える。
「ルコ、バン、アイナたちには、さっきのとは別で、それぞれして欲しいことがある」
「任せて」
「あたしたちにできることなら、ね~~。あっ、人を傷つけるとかは向いてないと思う」
ケイトは軽くこちらに目配せし、淡々とそれぞれに【情報】を与える。驚くことしかできないオレに改めて一瞥する。
「二時の方向から来客じゃ。敵意なし…」
〔!!行ってくる〕
「…リンを通じて、力借りるわ」
〔…そっちは頼む〕
ギギ…ギ…
オレはそのケイトの言葉を背中で受けながら飛び出す。リンに繋いだオレの体の一部から異能を引き出すと言っているのだ。
<オレが許可するから使えるんだが、なんも教えてないんだがな…>
オレはケイトに言われた方角に突き進む。念のため、存在感を隠し、他の霊似たようなカモフラは最低限して進む。警察の服装をした男がなりふり構わず走っている。
<…あれは…>
ここが、さっきリンがいた公園で。二人が話をしたのを知っていた。周りをよく見渡している。存在感を放ち、見える姿を調整していると、男はこちらに顔を向ける。
「……」
〔………〕
目が合っているのか微妙なラインだったが、別の方向に顔を向けられる。気のせいだと判断しかけると、唐突に男は叫びだす。
「なぜ王様がいっぱいいるんだぁ!!!ほ、本部からはなにもなかったぞ!?応援を呼ばなくてはぁああ!!」
オレの横を通り過ぎる瞬間、明らかにこちらに視線を向けていた。刹那のアイコンタクトで察する。
<これは、合図だ。こういう風に伝えざるを得ないから、なにか制限されているから、緊急的にナニカを伝えるため……>
オレは急いで、飛び上がり、確認する。
〔噓だ…ろ〕
アピスだ。それも大量のアピス。
<アピスは複数名いたか。そして、やはり全員が異能持ちだ。なぜこちらの方角と分かった??アピスの来る方向を見てから、警官がこっちに来たか。警官がこっちに来たから、アピスが来てるのか…>
下手に戻っても見られている可能性がある。
<戻るのもリスクがある…なら>
体に信号を回す。ケイトはオレの体の一部を介して異能を引き出していたし、おそらく、変化には気づける。一方通行になるかもしれないが有用な連絡手段と言えた。即行って戻ったりしたら、見える人間には少々怪しく映るかもしれないためである。次の一手を打つことも想定する。存在感を放って、誘導する作戦だ。
<あと一分経っても連絡が来なければ決行しよう>
オレには、警官が敵か味方か判別できない。できる最善を尽くs。
「迎えに来たわ」
〔!!??〕
ケイトが現れる。警官と話している間にもケイトからこれまでの異能使用者とは桁違いに使っているのは体感していたが、使いこなしている。これは【時空】を使ったとしか思えない。
「…知りたいんでしょ」
<???理解が追いつかない…。何をしたら、ここまで神に近づけるか>
ケイトはこちらに、情報データを視覚化された立体的なものと【時空】を歪め小さくなったリンを見せつけるが。リンが…人外の領域に踏み込んだ存在感を有していたことには、恐ろしいと思わずにはいられなかった。
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