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第3章 ~よう
■⑰
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☆sideシン
オレたちはリンとメハの対談を邪魔されないように見張っていた。
そう、リンの体とコンピューターを前に、独りで
アピスを時間の牢獄に分身と共に封じ込めた上で、幻覚を見せ時間をできるだけ稼ぐ。全ては、最小限の負担で最大限の効能を得るため、だ。
<…明らかにリンは疲弊している。おそらく、『時』や『記憶』を流れとして感じとったり、操作するのは…きついのだろう。神子と言っても、人間だから…>
その上で、AIと霊の中間のような精神体を擬似的に作り出した。そこにオレを少し混ぜるだけで、やりたかったアピスへの臨機応変な対応を可能にしている。
1を0.8と0.2に分けて、0.2を0.6にした感じだ
不完全とはいえ、分身は分身。器と同時に、【時間隔離】もやっているんだ。天才としか言いようがない。分身を作り出せたのは本当にでかい。
<発案がほぼケイトとは言え…理解して、こなすリンもスゴイ…>
オレは独りだった。リンの様子が見える位置に待機していた。この部屋もまた、霊が入れないせいでオレしかいない。そこに現れる。邪悪なる次の手。
「…はぁーーーやっぱり、入られてたか」
そこには、当然というか必然というか、アピスの姿が現れる。
「さてと…まさか無防備に放置なんてしないよな?」
あろうことか、アピスの腕が変形する。それも無機質で殺意しかないレールガンへと変貌する。
ッーーーーーーーーーーーン!!
驚きで反応に送れるが、意識がない人間に銃よりも恐ろしいもので簡単に殺そうとするアピスの異常さを再確認する。
スタッ……
〔………〕
<念のためにリンに体の主導権は貰っていて良かった…>
耳が狂っても仕方ないような衝撃の後のはずなのに、アピスはのうのうと宣う。
「良い反応するじゃーーん」
声色と顔が一致しない。
ミチチィ…バキキ…ドンガガガ…ブシュゥウウ…タララララ…ボボトトチャァ……!!!
「お待たせ」
<この襲撃は…読めていた。そして、そういった姿形を使うのも…でも…>
アピスがロボットだったかと錯覚するレベルの異常な変形。わざと人間らしい部位をあらぬ方向に捻じ曲げ、眼がビッシリとついていて、血や排泄物をまき散らす。戦うための変形じゃない、精神攻撃や動揺を誘うためだけのゴリゴリのトラウマメカになってしまう。
「コレくらいじゃあ、楽しんでもらえないかな?」
オレですらグロさを覚える変形だった。所々原型はあるもののアピスのような姿をしていたロボットというか…ロボットなのかも怪しい異様さ……。
<余裕がない……>
アピスとカードゲームをしている方は確かに時空が歪められているが、精々10分。コレをなんとか、しないと……。
《sideメハ
そこは安心感を覚えさせる薄暗い暗闇が広がっていた。惰眠を貪ってしまいたくなるようなだるさは意識から体まで支配しているのに気が付く。
<安心感を覚えるのは…>
ここには悪意がないと分かっているからだ。
<気怠さが蔓延るのは…>
……。そこで思い出す。記憶を戻してもらったんだ。
「り、リン!」
大事な存在を、思い出せることに涙が出てくる…。
「…っ!」
それ以上に何をしているのか、無事なのかでいっぱいになる。涙を拭いて、現状を確認しようと落ち着かせる。
<肌触りの良い布…。この部屋自体が上質で、好意的なものばかりだ。あれ…部屋?薄暗い?…ってことは>
一筋の光が壁に走っている。いや、ドアがあると確信を得る。
<…リンだよね…?>
重たい体を、不慣れなせいで引きずるように前に押し出す。
「……こ、れは」
リンが弾いて電脳世界の光や音などで遊んだり、私が踊ったり………。何度も同じようなことをした。飽きることなどなく、ずっと……たのしかった。その想いで数々が頭を駆け巡る。ドアの隙間から見えるリンにそれだけで胸を熱くなる。
キィ……
「ん。起きた」
「…うん。おかげさまでね」
とめどなく流れる涙は、私が涙もろいからじゃないはずだ》
オレたちはリンとメハの対談を邪魔されないように見張っていた。
そう、リンの体とコンピューターを前に、独りで
アピスを時間の牢獄に分身と共に封じ込めた上で、幻覚を見せ時間をできるだけ稼ぐ。全ては、最小限の負担で最大限の効能を得るため、だ。
<…明らかにリンは疲弊している。おそらく、『時』や『記憶』を流れとして感じとったり、操作するのは…きついのだろう。神子と言っても、人間だから…>
その上で、AIと霊の中間のような精神体を擬似的に作り出した。そこにオレを少し混ぜるだけで、やりたかったアピスへの臨機応変な対応を可能にしている。
1を0.8と0.2に分けて、0.2を0.6にした感じだ
不完全とはいえ、分身は分身。器と同時に、【時間隔離】もやっているんだ。天才としか言いようがない。分身を作り出せたのは本当にでかい。
<発案がほぼケイトとは言え…理解して、こなすリンもスゴイ…>
オレは独りだった。リンの様子が見える位置に待機していた。この部屋もまた、霊が入れないせいでオレしかいない。そこに現れる。邪悪なる次の手。
「…はぁーーーやっぱり、入られてたか」
そこには、当然というか必然というか、アピスの姿が現れる。
「さてと…まさか無防備に放置なんてしないよな?」
あろうことか、アピスの腕が変形する。それも無機質で殺意しかないレールガンへと変貌する。
ッーーーーーーーーーーーン!!
驚きで反応に送れるが、意識がない人間に銃よりも恐ろしいもので簡単に殺そうとするアピスの異常さを再確認する。
スタッ……
〔………〕
<念のためにリンに体の主導権は貰っていて良かった…>
耳が狂っても仕方ないような衝撃の後のはずなのに、アピスはのうのうと宣う。
「良い反応するじゃーーん」
声色と顔が一致しない。
ミチチィ…バキキ…ドンガガガ…ブシュゥウウ…タララララ…ボボトトチャァ……!!!
「お待たせ」
<この襲撃は…読めていた。そして、そういった姿形を使うのも…でも…>
アピスがロボットだったかと錯覚するレベルの異常な変形。わざと人間らしい部位をあらぬ方向に捻じ曲げ、眼がビッシリとついていて、血や排泄物をまき散らす。戦うための変形じゃない、精神攻撃や動揺を誘うためだけのゴリゴリのトラウマメカになってしまう。
「コレくらいじゃあ、楽しんでもらえないかな?」
オレですらグロさを覚える変形だった。所々原型はあるもののアピスのような姿をしていたロボットというか…ロボットなのかも怪しい異様さ……。
<余裕がない……>
アピスとカードゲームをしている方は確かに時空が歪められているが、精々10分。コレをなんとか、しないと……。
《sideメハ
そこは安心感を覚えさせる薄暗い暗闇が広がっていた。惰眠を貪ってしまいたくなるようなだるさは意識から体まで支配しているのに気が付く。
<安心感を覚えるのは…>
ここには悪意がないと分かっているからだ。
<気怠さが蔓延るのは…>
……。そこで思い出す。記憶を戻してもらったんだ。
「り、リン!」
大事な存在を、思い出せることに涙が出てくる…。
「…っ!」
それ以上に何をしているのか、無事なのかでいっぱいになる。涙を拭いて、現状を確認しようと落ち着かせる。
<肌触りの良い布…。この部屋自体が上質で、好意的なものばかりだ。あれ…部屋?薄暗い?…ってことは>
一筋の光が壁に走っている。いや、ドアがあると確信を得る。
<…リンだよね…?>
重たい体を、不慣れなせいで引きずるように前に押し出す。
「……こ、れは」
リンが弾いて電脳世界の光や音などで遊んだり、私が踊ったり………。何度も同じようなことをした。飽きることなどなく、ずっと……たのしかった。その想いで数々が頭を駆け巡る。ドアの隙間から見えるリンにそれだけで胸を熱くなる。
キィ……
「ん。起きた」
「…うん。おかげさまでね」
とめどなく流れる涙は、私が涙もろいからじゃないはずだ》
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