4 / 5
ダンジョンのボス。
3 - ダンジョンへ。
しおりを挟む「ここがダンジョンだね」
翌日、一行は最近発見されたというダンジョンに向かった。
「ウイニー、どうだい?」
「ダンジョン自体はあまりレベルは高くないですね。ボス以外の魔物はほとんど低級といったところでしょうか」
ウイニーは人や魔物の魔力を探知する能力に長けている。森の中、霧が強い所などでは周りが見えないどころか不意を打たれることもある。ウイニーのこの力は意外と色々なところで役に立っている。
「低級じゃ手応えなさそうだな」
「ま!お金になるならいいんじゃない!」
「それじゃあ、みんな、一稼ぎしに行こうか!」
四人はダンジョンの中へと入っていった。
ダンジョンは主に遺跡、洞窟の中などに発生する。このダンジョンも洞窟の中に発生した。どうして発生するのか、ダンジョンボスがどこから来るのかはいまだ解明はされていないが故に、人々はダンジョンが発生しては攻略を続けるしかないのである。
ペチッ。
「なんか、平和なダンジョンだね」
「弱い魔力は感じてますが、一向に強い魔物は出てこないですね」
ペチッ。
「おいハリス、こんなんじゃつまらないぞ」
ペチッ。
「そうだね、さっさとボスだけ倒して帰ろうか」
ペチッ。
「今日もおいしいご飯がたべれ」
ペチッ。
「あーー!もう!さっきっからペチペチペチペチ何なのよ!」
「なんだココ、気づいてないのか」
「何よ!ダンロンは分かってんの⁈」
「まあ、俺はお前らより目線が低いからな」
「チビだもんね」
「埋めるぞ」
ドワーフであるダンロンは人間の平均身長よりも低い。元来ドワーフは低身長の代わりに力が強かったり、手先が器用だったりと各々の特徴を持っている。
「で、なんなのよこの音は!」
「魔物だ」
ダンロンがそう言うと、ココの足が止まった。
「あら、意外とビックリしてますね」
「え、だってどこにも魔物なんていなかったじゃん!」
ハリスはバッと腕を広げ、ニコッと笑って
「それはココも強くなったってことだよ」
ココの方に向かって話した。
「僕たちは魔王を倒したんだ。そんじょそこらの冒険者とは比にならないくらい強くなったんだ」
「それに私たちは悪しき力で強くなったわけではありません。清なる力で強くなったのです」
「武をもって清める。言葉くらいはお前でも聞いたことあるだろ?」
「うん」
「あれは、悪しき力を武によって鎮め、清めるという意味がある。俺たちにはその力がある」
少し話が難しくなってしまったからかココはキョトンとしてしまった。
「お前ホントに何も知らなかったんだな」
「だってそんなの神様とかそんなのだと思うじゃん!」
「まあ、勇者一行の?大僧侶である?私がいるのですから、神様が多めに力を与えてくださったのかもしれませんけどね!」
「お前はすぐ調子のいいことを言いやがる」
「えー?今まで幾度となく回復してあげたのは誰でしょうねー?」
「まあまあ、二人とも」
ゴホンッ。ハリスは間を開けると
「そんなこんなでココも強くなってるんだ。それに力と同じオーラもまとってる。オーラにも清なる力がついてるから、僕らに近づいてオーラに触れた魔物はどんどん清められて消滅するってわけ」
「オーラの元である俺らはそれ以上に強い。だから運よく俺らのもとに辿り着いて俺らに触れても即消滅ってわけだ」
「だからペチペチって——え、もしかしてうち、知らぬ間に最強になってたの?!」
「相手によってはー、最強かな?」
軽く苦笑いをしながらハリスが答えると
「ココ、私という存在がいるのです。」
「うん?」
ウイニーが笑顔でココに声をかけた。
「まだまだ最強には程遠いですよ?」
「こんっのクソ坊主!」
ポコポコポコポコと殴ってるココを見ながら笑っていた。
「ポコポコいってるねー」
「いってるな」
ハリスとダンロンがゆる~く話していると「あっ」と何かを思いついたようにウイニーが二人の方を見て
「ポコココ」
「ハリス、こいつ殴っていいか?」
「いいよ」
「まってまってまって、まってー!」
ダンジョンボスまではあと少し。その少しがものすごく遅い一行だった。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~
甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」
「全力でお断りします」
主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。
だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。
…それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で…
一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。
令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろうにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる