ダンジョンのボスは。

猫又うさぎ

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ダンジョンのボス。

3 - ダンジョンへ。

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 「ここがダンジョンだね」

翌日、一行は最近発見されたというダンジョンに向かった。

「ウイニー、どうだい?」

「ダンジョン自体はあまりレベルは高くないですね。ボス以外の魔物はほとんど低級といったところでしょうか」

ウイニーは人や魔物の魔力を探知する能力に長けている。森の中、霧が強い所などでは周りが見えないどころか不意を打たれることもある。ウイニーのこの力は意外と色々なところで役に立っている。

「低級じゃ手応えなさそうだな」

「ま!お金になるならいいんじゃない!」

「それじゃあ、みんな、一稼ぎしに行こうか!」

四人はダンジョンの中へと入っていった。

 ダンジョンは主に遺跡、洞窟の中などに発生する。このダンジョンも洞窟の中に発生した。どうして発生するのか、ダンジョンボスがどこから来るのかはいまだ解明はされていないが故に、人々はダンジョンが発生しては攻略を続けるしかないのである。

   ペチッ。

「なんか、平和なダンジョンだね」

「弱い魔力は感じてますが、一向に強い魔物は出てこないですね」

   ペチッ。
「おいハリス、こんなんじゃつまらないぞ」

   ペチッ。

「そうだね、さっさとボスだけ倒して帰ろうか」

   ペチッ。
「今日もおいしいご飯がたべれ」

   ペチッ。

「あーー!もう!さっきっからペチペチペチペチ何なのよ!」

「なんだココ、気づいてないのか」

「何よ!ダンロンは分かってんの⁈」

「まあ、俺はお前らより目線が低いからな」

「チビだもんね」

「埋めるぞ」

ドワーフであるダンロンは人間の平均身長よりも低い。元来ドワーフは低身長の代わりに力が強かったり、手先が器用だったりと各々の特徴を持っている。

「で、なんなのよこの音は!」

「魔物だ」

ダンロンがそう言うと、ココの足が止まった。

「あら、意外とビックリしてますね」

「え、だってどこにも魔物なんていなかったじゃん!」

ハリスはバッと腕を広げ、ニコッと笑って

「それはココも強くなったってことだよ」

ココの方に向かって話した。

 「僕たちは魔王を倒したんだ。そんじょそこらの冒険者とは比にならないくらい強くなったんだ」

「それに私たちは悪しき力で強くなったわけではありません。清なる力で強くなったのです」

「武をもって清める。言葉くらいはお前でも聞いたことあるだろ?」

「うん」

「あれは、悪しき力を武によって鎮め、清めるという意味がある。俺たちにはその力がある」

少し話が難しくなってしまったからかココはキョトンとしてしまった。

「お前ホントに何も知らなかったんだな」

「だってそんなの神様とかそんなのだと思うじゃん!」

「まあ、勇者一行の?大僧侶である?私がいるのですから、神様が多めに力を与えてくださったのかもしれませんけどね!」

「お前はすぐ調子のいいことを言いやがる」

「えー?今まで幾度となく回復してあげたのは誰でしょうねー?」

「まあまあ、二人とも」

ゴホンッ。ハリスは間を開けると

「そんなこんなでココも強くなってるんだ。それに力と同じオーラもまとってる。オーラにも清なる力がついてるから、僕らに近づいてオーラに触れた魔物はどんどん清められて消滅するってわけ」

「オーラの元である俺らはそれ以上に強い。だから運よく俺らのもとに辿り着いて俺らに触れても即消滅ってわけだ」

「だからペチペチって——え、もしかしてうち、知らぬ間に最強になってたの?!」

「相手によってはー、最強かな?」

軽く苦笑いをしながらハリスが答えると

「ココ、私という存在がいるのです。」

「うん?」

ウイニーが笑顔でココに声をかけた。

「まだまだ最強には程遠いですよ?」

「こんっのクソ坊主!」

ポコポコポコポコと殴ってるココを見ながら笑っていた。

「ポコポコいってるねー」

「いってるな」

ハリスとダンロンがゆる~く話していると「あっ」と何かを思いついたようにウイニーが二人の方を見て

「ポコココ」

「ハリス、こいつ殴っていいか?」

「いいよ」

「まってまってまって、まってー!」

ダンジョンボスまではあと少し。その少しがものすごく遅い一行だった。
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