偏食王子は食用奴隷を師匠にしました

白い靴下の猫

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６８☆弟子はグレてしまいました

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あの後、ユオを抱っこして、お風呂に入れた。リラックス最優先で、世話を焼きまくったら、ユオの体の緊張度は、気持ち下がった気がする。

その後も、抱っこしっぱなしで。
洗うのも、流すのも、からだを拭くのも、着替えも、移動も、お肉やスープを口に運ぶのも、全部、僕がやった。

でも、ユオのほっぺは微熱があるみたいにぽってしていて。
無理をさせたろうか、どこか悪くさせたろうかと不安でたまらなくなる。

そして、僕のほうに副作用も一つ。不安になると、僕の金色の力は体を突き破りそうな勢いで満ちて、ユオに注がれたがり、ユオを癒したがり、受け入れてもらえなかったら狂ってしまうのではないかと思う程暴れるのだ。

昔のピノアさんは、子どもが泣くと頭が爆発しそうになって母乳が噴き出す！って言って、厄災を目前に、何度も死にぞこないながら授乳しに帰っていたそうだ。こんな感じ？

だからさっきも、熱っぽくって、呼吸が浅くなってしまったユオに、口づけて、治癒をかけて、眠らせた。もっともっと注ぎたかったけれど、ユオは、軽く酩酊したようで、途中でストップって。神経が尖って休めなくなるからストップって。そういって僕との間に少し隙間を開けた。

それでも、僕の腕の中で眠ってくれたから、いいことにする。
あ、本当は、体中にキスをして、ぴかぴか過敏、確かめたかったけれど、それは我慢しました。

僕の最近は、ガーディアンのお仕事も、トレーニングも、魔獣狩りもさぼって、ユオ一色。

だって、討伐隊なんかと対峙したら、まとめて頭蓋骨砕いて、髄液絞って捨てちゃうだろうし、気分が悪ければ、中央に跳んで、王城にいる奴ら片っ端からみじん切りにしちゃいそうだから。

そう言ったら、キルヤ様は、ユオに向き直って、陣は破らせないから、お前は蝮の生き血飲んででもサフラをベッドに引きとめとけって。

割と、言いたい放題言われている気がする。

今日のユオは、少ししかご飯を食べずに、すぐに寝てしまったから。起きた時にすぐたべさせられるように、宿の食堂に、サンドイッチを買いに来たところ。

このお店は、作ってもらうのに結構時間がかかるけれど、お持ち帰りが出来てユオのお気に入りなのだ。

まぁ、難をいえば。
宿の食堂なんて、大抵一組ぐらいは、下なネタに走っているおじさんたちがいて、聞きたくなくても耳に入って来る。大抵の場合、聞いてほしくて声のボリューム上げているから仕方がない。

どう少なく見積もっても、僕の倍は年が進んでいそうなのに、そのおじさん達にとっては、女はヤッちゃえばおとなしくなるんだってさ。

きっと現実でも、うらやましいほどニブい生き方をしているんだろうなぁ。

ワンプレートに、ビール足しただけで計算間違うようなおじさん達にくらべれば、僕の方が絶対に覚えが良い自信があるけれど、ユオの意志を曲げられたことがない。

雲の上でお昼寝するみたいな、ぽかぽかのエッチをしたって、終わった後に指一本動かせなくなるような、ひどいエッチをしたって、ユオの心はいつも一緒。YESはYESでNOはNO。

おかげで弟子はグレてしまいました。

ユオの泣き顔が、ね、嬉しい。
すごく安心する、僕だけの、泣き顔。

大好きだったユオの笑顔が、僕を守ろうとして負った、ひどい苦痛の上にあったのだと知ってから。僕は、ユオの笑顔を信じられない。

いつかきっと、行ってしまう。
笑ったまま、僕を呼ぶことすらなく、慣れ親しんだ死に、帰ってしまう。

そう思うと、本当にいてもたっても居られない。

まだ体が万全じゃないユオを、さわりまわして。
自分が狂っちゃったのかなぁっておもう程、嫌われるようなことばかりして、麻薬みたいなユオの泣き顔を、貪る。

だって、泣いているユオは、どこにもいかない。
僕の腕の中で、僕に縋りついて、僕に翻弄されてくれる。

ユオがいつも優しいから、ユオの嘘も、いつも優しくて苦しい。

おじさん達が、声高に、自分のモチモノを自慢している。
生意気な女をどう喘がせてやっただの、自分で色目を使っておきながら反抗するから縛り上げてやっただの。

ああ、早くサンドイッチが来ないと、あのおじさん達、捻っちゃうかもしれないな。
だって、すごく耳障りだ。

手のひらの中に、金色に光る炎が、浮かんでは消える。
捻る、捻らない、捻る、捻らない。

バチッ

「おい！！」

手の中の炎をはたかれて、顔をあげると。

「あ、れ、キルヤ様？」

「あれ、じゃねーわ。酔った雑兵、真っ金々に燃やす気かよ」

「あー、これで燃やしたら、金色に燃えるんですかね。下手に捻って血で汚すよりオブジェ向き？」

「おい、こら、しっかりしろ？ひょっとしてユオにフラれたのか？」

「・・・本気で言ってますか？」

そんな事があったなら、きっと自分の心臓でサンドイッチでも作っているんじゃなかろうか。

「フラれてないなら、ユオにしっかり手綱もっといてもらえ？こえーわ、この阿保！」

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