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第4章
3 修道院へ行く ①
しおりを挟む今日は、ルイーズがずっと行きたいと思っていた修道院を訪れる日。
朝から天候が良く、素晴らしい一日の始まりとなった。
この訪問については週の初めに生徒会から日時が知らされていた。その日から指折り数えながらも、そわそわと落ち着かない日々を過ごしたルイーズ。昨夜はベッドで横になってからも、頭の中は修道院一色で、中々眠りにつくことができなかったようだ。自分自身、何故こんなにも修道院に惹かれてやまないのかと不思議に思っているような様子であった。
そんなこんなで朝になり、昨夜の寝つきの悪さなど全く感じさせないほどに早起きをしたルイーズは、身支度を済ませてから朝食を摂り、玄関でシャロン家の馬車が到着するのを今か今かと待っていた。今日は訪問人数が多く、帰宅時間が読めないため、シャロン家の馬車に同乗することになったようだ。
玄関前で待って20分が経った頃、一台の馬車が門を潜り敷地内に入ってきた。馬車のドアに描かれた家紋から、シャロン家の馬車と気付いたようだ。見送りのためにルイーズと玄関前で待機していたローラが、修道院に持参するお菓子をルイーズに手渡した。
「お嬢様、いってらっしゃいませ。どうぞお気をつけて」
「ありがとう。ローラ、行ってきます」
挨拶を交わし馬車に乗り込むルイーズ。まだ早朝のため、静かに出発するようだ。馬車の中に入ると、エマとエリーが笑顔で待っていた。
「エマさん、おはようございます。エリーおはよう。今日はお迎えありがとうございます。一日よろしくお願いします」
「ルーちゃんおはよう。今日はよろしくね」
「ルイーズおはよう。昨夜は良く眠れたかしら?」
見た目には分からないが、エリーには寝つきが悪かったことがお見通しのようだ。
「楽しみで、直ぐに眠れなかったの」
その返答に、エマは幼い子供を見るような慈愛の目でルイーズを見ているが、エリーは心配なのか、道中が長いから眠くなったら休むようにと言っているようだ。
走り出した馬車は、いつもの通学路を通り、女学院の方角に向かっている。三人で景色を見たりおしゃべりをしていたら、あっという間に女学院の建物が見えてきた。今日は女学院に続く並木道を通らずに、T字路の道を逆方向に進むようだ。
「そろそろ上り坂になるわね。舗装されているからそこまでひどい揺れはないけど、二人とも気分が悪くなったら言ってね。そうね、外の景色を見ていた方が良いかもしれないわね」
馬車での移動だが、初めての登山になるルイーズとエリーを気にかけ声を掛けるエマ。
二人とも、エマに返事した後は窓から外を眺めているようだ。
馬車の窓から外の景色を見ると、遠目からでは気づかなかった野生の花たちが可愛らしく咲き乱れている。あたり一面に咲く爽やかな色の夏の花に感動するルイーズとエリーは言葉にならないようだ。
「二人とも、そろそろ着くわよ。外に出る準備をしておいてね」
「はい」
しばらくの間、可愛い花を見て和んでいたルイーズだが、エマの言葉を聞いた途端、胸の高まりを感じたようだ。
「着いたわ、二人とも降りるわよ」
御者にドアを開けてもらい、颯爽と馬車から降りるエマ。その後を二人も続いて降り立った。
外に出た二人は、目の前の修道院を見上げて、再び言葉を失ったようだ。大きい建物だとは思っていたが、ここまでとは思っていなかったのだろう。
「三人とも来たわね。待っていたわよ」
先に到着していたエリザベスが声を掛けてきた。
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