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第八回 溺れ、甘え、先立つ決意。
八の三(女達と雪掻き、懐いた大虎、甘える子猫)
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/三
夏は猛暑、冬は極寒の一年だ。今日も柴一族の庭園は、一面雪景色だった。
客人は絢爛豪華な邸宅の雪模様を楽しむ。しかし使用人達は雪掻きをしなければならない。屋根の雪を下ろさなければ、歴史ある名望家が潰れてしまうからだ。
男はもちろん、女中ですら雪掻きに駆り出されていた。
危険な高所や門前の作業ではなく、細々とした場所を命じられている。とはいえ、とてもつらい力仕事には変わりない。
「これならまだ気難しい客のお酌をした方がマシよー」
女中一同が一斉にボヤくほどの、大仕事だ。
柴一族の庭園は広い。
敷地を囲う門の中にも桃園があり、小さい湖があり、家畜が育てられ、数々の館が建てられている。そんな女達が雪掻きをするのは、敷地の端でひっそりと建つ書院の周りだった。
その書院こそが、宋江に割り当てられた館の本来の名である。
キャアキャアと文句を言いながら雪を集める女達の横で、宋江が手伝う。
それから一時間後、一人の女中が「なぜお客様が雪掻きを!?」と絶叫し、女中全員が飛び跳ねて驚いた。
「あまりに皆さんが楽しそうでしたから、私も混ぜてもらおうと思いまして。男手があれば違うでしょう?」
一時間も全員が気付かなかったことを謝罪されながらも、宋江は雪掻きを続けた。
男にしては情けない体格だが、女とは言えない見た目をしている。
発情期の七日を終えれば普通の男に戻れる宋江は、女達に混ざり楽しく喋りながら手を動かした。
「宋江様が居てくださって助かりました!」
「お噂通り、宋江様はお優しい御方ですね」
ただ雪掻きを手伝っただけなのに、女達ははしゃぎ回る。
客人に対するお世辞だと判っている宋江だが、満面の笑顔で喜ぶ彼女達を好ましく思えた。
「宋江様は他の男性と違って怖くないし、話しやすくて大好きです!」
女中の一人が、邪気の無い笑みで言い放つ。
女達は「殿方に向かって大好きだなんて、大胆!」と笑い合った。
かしましい彼女達の笑顔に囲まれ、嫌な気分ではない。
そうして雪掻きだけで一日が終わった。
冷えた体を入浴で暖め、浄めた後に私室に戻る。
発情期が収まり、二日が経っていた。
召使いが室内清掃を終えた寝室は、獣の熱気など感じさせない、優雅な空間へと戻っていた。
「失礼します」
優雅な館に相応しく、寝室に夕食が運び込まれてくる。
静かな声で現れたのは、武松だった。
「皆、寒い中で仕事をしていましたから、今夜は熱い麺料理だそうです」
「湯気が凄いな。作りたてみたいだ」
「作りたてです。食べましょう。この天気じゃあすぐ冷めちまう」
向かい合って座り、手を合わせ、二人で食事をする。平穏な夕食だ。
腕の良い料理長による麺料理は一級で、疲れた宋江の体を心から暖めた。
麺を啜りながら、今日の雪掻きについて話した。武松は静かに頷く。
生真面目な性格らしく多くを語らず、必要以上は自分を曝け出そうとしなかった。
だが無口という訳でもない。話し掛けられれば応じ、人並みに喋り、楽しければ口を開けて笑う男だった。
「なんで女どもの手伝いなんかしたのですか」
丁寧な若者なのだが、言葉の端々に生粋の乱暴さが伺える。
年上に礼儀を弁えて敬語で話していても、本性は荒く、女に厳しいようだった。
「大変な人を、助けない理由なんて無いよ」
「……そういうもんですか」
「うん。そういうものだ」
豪雪が大変なのは、古い大家に生まれた宋江には身に染みていた。
子供の頃は大雪が嬉しくて弟の宋清と遊んだが、雪掻きに泣いていた使用人達の姿を覚えている。
「私達だけが楽をして、使用人が苦労しているなんて、おかしいだろう? 目の前に大変そうにしている人がいたら声を掛けて、助ける。当然のことだよ」
とはいえ、子供の手伝いなんて高が知れている。結局弟との雪遊びの延長だった。
冬は雪遊びが楽しかった。春は花家と花見に出かけるのが楽しみだった。
実弟と遊んだ思い出に浸っていると、武松がいつの間にか食べ終えた食器を片付けていた。
宋江の器も消えていて、まるで一流の従者のように振る舞っている。
「武松。そんなこと、しなくていいんだよ」
自分も手伝うと立ち上がる。しかしギッと鋭い視線を向けられた。
物静かで誠実な男と思いきや、反発して凍るような目で睨むこともある。
その鋭さに怯え、思わず宋江が肩を震わせていると、
「……宋江様。薬を飲まなくていいんですか」
武松は目を逸らしながら、おそるおそる声を絞り出した。
「何から何までありがとう。……武松は本当に優しいな」
抑制薬を飲んで落ち着く。
就寝の準備を終え、整えられた寝具に腰掛け、明日のことを案じた。
発情期が終わって三日目ならば、柴進に会っても大事が無い筈。
そろそろ挨拶をすべきだろう――そう考えていると、武松がまた部屋を訪れた。
何も言わず、物静かな動きで、宋江が座る横に腰を下ろした。そのまま擦り寄り、宋江の肩へ頭を軽く乗せる。
見上げるほど体格が良い大男だが、まるで子猫のように甘えていた。
(もうずっと、こんな感じだ。困ったな……)
武松には割り当てられた部屋がある。雑多な部屋だったが、病にうなされる武松を看病した三日間のうちに掃除をして、一新した。
だから心地良く眠れる寝床があるのだが、武松は発情期の七日間が終わっても、宋江のもとから離れようとはしなかった。
撫でてもらうのを待つ子猫のように、体を寄せ、静かに目を瞑っている。
高熱に冒され睨んでいた姿とは思えぬほど、端整だがひどく幼い顔の男になっていた。
(荒くれ者だと思ったら、良くできた大人みたいになって、突然気難しくなったり、今度は猫みたいに甘えて……。多重人格というやつなのかな)
いつ見ても武松という男は、顔が変わる。今の武松は、ただの甘えん坊だった。
「武松。休もうか。灯りを消そう」
その言葉に嬉しそうに頷いた武松と共に、同じ寝台に寝そべる。
暗くなった室内で、武松は自分の腕を枕にしろと言わんばかりに体を寄せてきた。
それだと武松が疲れるだろうと断ると、やたら切なそうに唸った。
耐えきれなくて仕方なく身を任せると、無言ながら喜んで、額に唇を落としてきた。
もしかしたら彼は……大人に見せかけて、李逵以上に幼い子供なのかもしれない。
(そんな彼を、私は襲った。自分の快楽のために……)
武松を突き放せないのは、彼が難しい性格だからではない。
礼を言いに来た理性ある男を誘惑して、滅茶苦茶にしてしまった。
その罪悪感から強く言うことができなかった。
――あの七日間、武松と毎秒のように体を重ね合った。
快楽を求め合い、話もせず、互いのこともよく知らないまま至るところを犯してもらった。逞しい武松の肉棒で何度も達し、蕩ける刺激に幾度も酔った。
最高の七日間だった。そして宋江の身に残ったのは、無上の解放感と、身勝手に狂わせてしまったという自責の念だった。
(この子がまだ私から離れないということは……洗脳が解けてないのか)
七日間の性行三昧から抜けられても、宋江の傍に四六時中いようとする。
薬をいつも以上に飲んでいるが、未だに異香の魔力から逃れられないのだろう。
(武松だって、私のような男に魅了されるのはおかしいと思っているに違いない。早く、元の生活に戻してあげなくては……)
薬の量を更に増やそう。明日にでも自分から離れるように言おう。
いや、今からでも離れるように言うべきかと、宋江は武松の名を呼ぶ。
すると武松が、宋江を腕の中に抱く。
苦しくはない。暖かく柔らかい寝床で優しく抱かれ、心地良さすら覚える。
武松は既に寝息を立てていた。
飼い主の傍で安心しきって眠る猫のように、可愛らしい寝顔を浮かべていた。
宋江と十日ぶりに顔を合わせた柴進は、宋江の背後に虎がうろついていることに気付いた。
あの乱暴者の武松が大人しく、宋江と共に雪掻きを手伝っている。不可解だった。
「どうしてお客人である宋江殿が、女中の手伝いなど?」
「助け合えば少ない時間で済みます。ここに住まわせてもらっているお礼をさせてください」
病み上がりの筈の宋江が女中達に混じっていることには驚きだが、もう一人の病み上がりの筈の武松もまた、雪掻きに励んでいる。
武松は見るからに若くて力が強く、どんな男にも負けない逞しさがある。雪掻きなんてお手の物だろう。文句のつけようがない。
仕事は丁寧で、何より顔が良い。女中達は武松が動くたびに黄色い声を上げ、何気なく笑いかけられると、失神した。
柴進の目からすると、すっかり牙を抜かれた腑抜けのように見える。
そんな武松は柴進の顔を見るなり、地に伏して、拝礼した。
……門の外で血にまみれて倒れ、手当をしてやっても怒鳴り散らした武松とは、別人だった。
「罪人の身でありますが拝顔させていただきます。小旋風柴進様の、格別のご厚情とご庇護を預かり、誠に御礼申し上げます」
「構いません。顔を上げなさい。色男の顔に凍傷を負わせたくありません。……わたくしより先に、宋江殿に何かとご指導を貰えたようですね? 良かったですわ」
頷く武松に、柴進は内心ガッカリした。
荒々しく牙を向く男だからこそ屋敷に受け入れた柴進としては、あまり面白くない反応だからだ。
落胆した。さっさとこの屋敷から去らせよう。
武松に興味を失った柴進がそう考えていると、挨拶を終えた武松が首を傾げる。
そのまま、謎の言葉を繰り出した。
「なんで柴進様は『宋江様』と呼ばないのですか?」
……それを聞いた柴進はもちろん、隣に居た宋江も素っ頓狂な声を上げる。
そんな声を上げられた武松も、驚いて目を丸くした。
「……わたくしが、『宋江様』とお呼びしないことに、何か?」
「問題でしょう? 宋江様はこの上ないほど聖人で良い御方だ。無礼極まりない俺を救ってくださった。第二の兄として尊敬している。女達にも無償で手を貸すほどで、そしてあんたは……いや、失礼、貴方は宋江様よりどう見ても年下なのに、礼儀を尽くさないなんて。あっ、何か理由があるのですか?」
敬語を使って頭を下げている。
だがそれだけで、武松の目は、『若干の敵意』すら含んでいた。
その敵意は、『敬愛する宋江』あってこそのもの。
……隣で聞いていた宋江は、大慌てで武松と柴進の間に入った。
「わ、私はただの一般庶民ですからっ! 大周皇帝の血筋、今世の孟嘗君とも言われる柴進様のような御方に、そんな、そんなっ……!」
それを聞いた武松は、暫し宋江の顔を静かに見つめた後、
「……もしかしてこの女、ただのでかい家に住んでる金持ちじゃないのか?」
と、何を今更という発言をする。
皇女が支配する敷地に居るにも関わらず『この女』呼ばわりは、生まれて初めて。
皇族であれ説教をする宋江という異分子を気に入った柴進にとって、武松の一言は、腹が捩れるほどのツボに入った。
あまりに笑い過ぎた柴進を見た家人達は皆、
「怒っているのか本気で笑っているのか、さっぱり判らない」
と怯えながら、機嫌取りのように宴を開くことにした。
断ろうにも、「宋江と武松が快調した祝い」とされては出席しない訳にいかない。
宴の席では当然のように宋江の隣に柴進が座り、そして逆隣には、身を寄せるように武松が座った。
酒を煽る柴進は、楽しそうに武松と話をする。
武松も一見、何事も無く愉快な話をした。
だが時折、相手を選ばぬとんでもない発言をするので、宋江は肝を冷やした。
「あー、笑いました笑いました。青くなったり赤くなったりする宋江殿が、いえ、宋江様が面白いですわ。一人でお色直ししているみたい」
「柴進様……お戯れを……」
酒宴の半分は、宋江をからかうためのようなものだった。
宋江は一喜一憂しながらも、酒を飲む。
回復した体に流し込む高級酒は絶品。
そして一触即発だった柴進と武松は、なんだかんだ話が盛り上がり、やはり柴家の宴はいつも通り楽しいものとなった。
「宋江様と武松に、衣装でも仕立ててあげなさい。旅するときの晴れ姿にどうぞ」
宴の最後に柴進は使用人に命ずると、倉から秘蔵の織物を出させた。
酔っ払った二人は、あっという間に人前で衣服を剥がれ、採寸を測られる。
相変わらず常識に囚われない人柄に、宋江は笑うしかなかった。
――夜遅くまで続いた宴が終わり、雪掻きを終えた庭道を歩く。
書院に向かう夜道でも、武松は宋江から離れない。
互いに酔っていたので、体を支えるため、寄り添っていた。
「武松は、旅をよくするのかい?」
柴進の言葉を思い出した宋江は、酒で惚けた顔のまま、問う。
薬を飲むため水を飲んだが、頭はいつも以上に軽い。
やや千鳥足の武松は、酔っているせいか普段より大きな声で頷いた。
「旅は、よくしました。兄のところに居たくなくて、あちこち歩き回っていました」
「ああ、武松にはお兄さんがいるって言っていたな」
「……いました、です」
その一言で、宋江は正気に戻る。
武松本人は気にした風ではないが、長くは語らなかった。
兄の話題でなくても、武松は自分自身を多く語りたがらない。旅をしていた以上の言葉は、続かなかった。
「宋江様は、旅行はお好きですか」
だから必然的に旅の話は、宋江が受け持つことになる。
「……遠出は、したことないんだ」
「どうして」
「どうして、か。体が弱くて、つい最近まで……自宅で籠りっきりの生活を送っていたから。外に出られるようになった後は、懸命に働いて……」
地下室から出た後も、薬を飲んでいるとはいえ、無駄な外出は控えていた。
下級役人として働くために街で一人暮らしを始めてからも、ただひたすらに人の為になるべく働き、休日は全て発情期に潰された。
そんな働き漬けの日々を送っていると、見かねた父と弟が、宋家で働く女中を「妻にしろ」と押し付けた。
成人した男が妻も持たないのは格好がつかないと言われ、実際家事をしてくれる者がいたら助かったので、結婚を受け入れた。
結婚してからは、休日を楽しむことも増えた。
妻という名の使用人ではあったが、家族になろうと愛を囁き、抱き合うこともあり、穏やかな日々が多くなった。
その生活も、一年もせずに終わる。
悲しみのあまり、仕事に没頭した。
すると、同僚達と過ごす時間が増え……。
「……友がいたから、釣りに行ったり、演劇を観に行ったりした。誰かと話すことが好きだから、近所の人達とたくさん酒盛りをしたよ。……でも、遠くに行くことは、できなかった。……毎日必死だったからかもしれないな……」
「どこか行きたい場所はありませんか」
遠くを見つめて友二人を思い浮かべる宋江に、武松が尋ねる。
首を振るい、特に思い当たらないと告げた。
外の世界に何があるのか、世間知らずの宋江には判らない。だからパッと思いつかなかった。
「じゃあ何か、今、してみたいことはありませんか」
寝室として使っている書院に到着し、武松が寝床へと導く。
体を冷やさないようにと何重にも掛け布団を重ねて、就寝の準備を始めた。
今夜の武松は、面倒見の良い弟のようだった。
束ねていた髪を解きながら、思案する。
「花が見たい。……かもしれない」
呟いたのは、とても長い時間、思案した末のことだった。
――春になるたびに、幼馴染の家に向かった。
暖かくなった春の中、幼い宋清と花栄を両手に連れて駆け回るのが好きだった。
元気な弟達に引っ張られながら、山菜を獲りに行ったり、川で綺麗な石を探して積んだり、野原を摘んで遊ぶ光景が、今も心の中で鮮明に思い描ける。
「なら、晴れ着を仕立てられたら、花を見に行きましょう」
「はは……着物は柴進様のご命令なら、すぐに仕上がるぞ。まだ花は咲かない」
「雪の中でも咲く花はあります。前に旅の途中で見ましたので、行きますか」
「武松は物知りだな。……案内、してくれるのかい?」
宋江の寝台に武松が腰掛け、手招きする。
手招きされて、そのまま近づこうとして……止まった。
そういえば昨夜、武松にしなければならない話を思いついた。
なのにこの時間まで『武松を洗脳していた事実』を忘れていた。
自分の快楽の為に武松を巻き込んだというのに。今度は、自分の思い出の為に武松に案内をさせるつもりか。
いくらなんでも、こんなに縋ってよいものではない。
首を振るおうとする。
だが武松の大きな掌が宋江の腕を掴む。ぐいっと引き寄せられた。
無理矢理に座らされ、そのまま腕の中に閉じ込められてしまう。
引いた腕は強く、激しかったが、抱き締める腕は優しかった。
「案内します。今からでも、春になってからでもいい。花を見に行きましょう」
「あ……ありがとう、武松……」
穏やかな口調で抱き締められて、涙が滲んだ。嬉し涙が零れ落ちる。
武松は微笑み深呼吸をすると、流れる涙を拭うべく、優しく瞼に唇を寄せ……。
弾け飛ぶように、宋江は武松から後ずさった。
「……宋江様?」
「す、すまない。武松、先に寝ていてくれ。……厠に行かないと。その、飲みすぎたから寝る前に行っておかないと、な」
酔った足を引き摺りながら、逃げる。
小さな館の暗い廊下に、崩れ落ちるようにして、蹲った。
胸元に忍ばせていた薬を取り出し、一気に口へと放り込む。
(どうしてすぐに離れなかった? 本当の話をしなきゃだろう? 何を流されているんだ。私はまた、武松に香りを嗅がせて……涙を吸わせて……惑わす気か? また、私好みに狂わせる気か!?)
薬は適量以上飲むべきではない。
判っていた。それでも止められない。
あんなにも心根が優しい彼を、もう、獣のようにしたくはない。
血走り、涎を垂らし唸る理性なき獣になど、させたくはなかった。
夏は猛暑、冬は極寒の一年だ。今日も柴一族の庭園は、一面雪景色だった。
客人は絢爛豪華な邸宅の雪模様を楽しむ。しかし使用人達は雪掻きをしなければならない。屋根の雪を下ろさなければ、歴史ある名望家が潰れてしまうからだ。
男はもちろん、女中ですら雪掻きに駆り出されていた。
危険な高所や門前の作業ではなく、細々とした場所を命じられている。とはいえ、とてもつらい力仕事には変わりない。
「これならまだ気難しい客のお酌をした方がマシよー」
女中一同が一斉にボヤくほどの、大仕事だ。
柴一族の庭園は広い。
敷地を囲う門の中にも桃園があり、小さい湖があり、家畜が育てられ、数々の館が建てられている。そんな女達が雪掻きをするのは、敷地の端でひっそりと建つ書院の周りだった。
その書院こそが、宋江に割り当てられた館の本来の名である。
キャアキャアと文句を言いながら雪を集める女達の横で、宋江が手伝う。
それから一時間後、一人の女中が「なぜお客様が雪掻きを!?」と絶叫し、女中全員が飛び跳ねて驚いた。
「あまりに皆さんが楽しそうでしたから、私も混ぜてもらおうと思いまして。男手があれば違うでしょう?」
一時間も全員が気付かなかったことを謝罪されながらも、宋江は雪掻きを続けた。
男にしては情けない体格だが、女とは言えない見た目をしている。
発情期の七日を終えれば普通の男に戻れる宋江は、女達に混ざり楽しく喋りながら手を動かした。
「宋江様が居てくださって助かりました!」
「お噂通り、宋江様はお優しい御方ですね」
ただ雪掻きを手伝っただけなのに、女達ははしゃぎ回る。
客人に対するお世辞だと判っている宋江だが、満面の笑顔で喜ぶ彼女達を好ましく思えた。
「宋江様は他の男性と違って怖くないし、話しやすくて大好きです!」
女中の一人が、邪気の無い笑みで言い放つ。
女達は「殿方に向かって大好きだなんて、大胆!」と笑い合った。
かしましい彼女達の笑顔に囲まれ、嫌な気分ではない。
そうして雪掻きだけで一日が終わった。
冷えた体を入浴で暖め、浄めた後に私室に戻る。
発情期が収まり、二日が経っていた。
召使いが室内清掃を終えた寝室は、獣の熱気など感じさせない、優雅な空間へと戻っていた。
「失礼します」
優雅な館に相応しく、寝室に夕食が運び込まれてくる。
静かな声で現れたのは、武松だった。
「皆、寒い中で仕事をしていましたから、今夜は熱い麺料理だそうです」
「湯気が凄いな。作りたてみたいだ」
「作りたてです。食べましょう。この天気じゃあすぐ冷めちまう」
向かい合って座り、手を合わせ、二人で食事をする。平穏な夕食だ。
腕の良い料理長による麺料理は一級で、疲れた宋江の体を心から暖めた。
麺を啜りながら、今日の雪掻きについて話した。武松は静かに頷く。
生真面目な性格らしく多くを語らず、必要以上は自分を曝け出そうとしなかった。
だが無口という訳でもない。話し掛けられれば応じ、人並みに喋り、楽しければ口を開けて笑う男だった。
「なんで女どもの手伝いなんかしたのですか」
丁寧な若者なのだが、言葉の端々に生粋の乱暴さが伺える。
年上に礼儀を弁えて敬語で話していても、本性は荒く、女に厳しいようだった。
「大変な人を、助けない理由なんて無いよ」
「……そういうもんですか」
「うん。そういうものだ」
豪雪が大変なのは、古い大家に生まれた宋江には身に染みていた。
子供の頃は大雪が嬉しくて弟の宋清と遊んだが、雪掻きに泣いていた使用人達の姿を覚えている。
「私達だけが楽をして、使用人が苦労しているなんて、おかしいだろう? 目の前に大変そうにしている人がいたら声を掛けて、助ける。当然のことだよ」
とはいえ、子供の手伝いなんて高が知れている。結局弟との雪遊びの延長だった。
冬は雪遊びが楽しかった。春は花家と花見に出かけるのが楽しみだった。
実弟と遊んだ思い出に浸っていると、武松がいつの間にか食べ終えた食器を片付けていた。
宋江の器も消えていて、まるで一流の従者のように振る舞っている。
「武松。そんなこと、しなくていいんだよ」
自分も手伝うと立ち上がる。しかしギッと鋭い視線を向けられた。
物静かで誠実な男と思いきや、反発して凍るような目で睨むこともある。
その鋭さに怯え、思わず宋江が肩を震わせていると、
「……宋江様。薬を飲まなくていいんですか」
武松は目を逸らしながら、おそるおそる声を絞り出した。
「何から何までありがとう。……武松は本当に優しいな」
抑制薬を飲んで落ち着く。
就寝の準備を終え、整えられた寝具に腰掛け、明日のことを案じた。
発情期が終わって三日目ならば、柴進に会っても大事が無い筈。
そろそろ挨拶をすべきだろう――そう考えていると、武松がまた部屋を訪れた。
何も言わず、物静かな動きで、宋江が座る横に腰を下ろした。そのまま擦り寄り、宋江の肩へ頭を軽く乗せる。
見上げるほど体格が良い大男だが、まるで子猫のように甘えていた。
(もうずっと、こんな感じだ。困ったな……)
武松には割り当てられた部屋がある。雑多な部屋だったが、病にうなされる武松を看病した三日間のうちに掃除をして、一新した。
だから心地良く眠れる寝床があるのだが、武松は発情期の七日間が終わっても、宋江のもとから離れようとはしなかった。
撫でてもらうのを待つ子猫のように、体を寄せ、静かに目を瞑っている。
高熱に冒され睨んでいた姿とは思えぬほど、端整だがひどく幼い顔の男になっていた。
(荒くれ者だと思ったら、良くできた大人みたいになって、突然気難しくなったり、今度は猫みたいに甘えて……。多重人格というやつなのかな)
いつ見ても武松という男は、顔が変わる。今の武松は、ただの甘えん坊だった。
「武松。休もうか。灯りを消そう」
その言葉に嬉しそうに頷いた武松と共に、同じ寝台に寝そべる。
暗くなった室内で、武松は自分の腕を枕にしろと言わんばかりに体を寄せてきた。
それだと武松が疲れるだろうと断ると、やたら切なそうに唸った。
耐えきれなくて仕方なく身を任せると、無言ながら喜んで、額に唇を落としてきた。
もしかしたら彼は……大人に見せかけて、李逵以上に幼い子供なのかもしれない。
(そんな彼を、私は襲った。自分の快楽のために……)
武松を突き放せないのは、彼が難しい性格だからではない。
礼を言いに来た理性ある男を誘惑して、滅茶苦茶にしてしまった。
その罪悪感から強く言うことができなかった。
――あの七日間、武松と毎秒のように体を重ね合った。
快楽を求め合い、話もせず、互いのこともよく知らないまま至るところを犯してもらった。逞しい武松の肉棒で何度も達し、蕩ける刺激に幾度も酔った。
最高の七日間だった。そして宋江の身に残ったのは、無上の解放感と、身勝手に狂わせてしまったという自責の念だった。
(この子がまだ私から離れないということは……洗脳が解けてないのか)
七日間の性行三昧から抜けられても、宋江の傍に四六時中いようとする。
薬をいつも以上に飲んでいるが、未だに異香の魔力から逃れられないのだろう。
(武松だって、私のような男に魅了されるのはおかしいと思っているに違いない。早く、元の生活に戻してあげなくては……)
薬の量を更に増やそう。明日にでも自分から離れるように言おう。
いや、今からでも離れるように言うべきかと、宋江は武松の名を呼ぶ。
すると武松が、宋江を腕の中に抱く。
苦しくはない。暖かく柔らかい寝床で優しく抱かれ、心地良さすら覚える。
武松は既に寝息を立てていた。
飼い主の傍で安心しきって眠る猫のように、可愛らしい寝顔を浮かべていた。
宋江と十日ぶりに顔を合わせた柴進は、宋江の背後に虎がうろついていることに気付いた。
あの乱暴者の武松が大人しく、宋江と共に雪掻きを手伝っている。不可解だった。
「どうしてお客人である宋江殿が、女中の手伝いなど?」
「助け合えば少ない時間で済みます。ここに住まわせてもらっているお礼をさせてください」
病み上がりの筈の宋江が女中達に混じっていることには驚きだが、もう一人の病み上がりの筈の武松もまた、雪掻きに励んでいる。
武松は見るからに若くて力が強く、どんな男にも負けない逞しさがある。雪掻きなんてお手の物だろう。文句のつけようがない。
仕事は丁寧で、何より顔が良い。女中達は武松が動くたびに黄色い声を上げ、何気なく笑いかけられると、失神した。
柴進の目からすると、すっかり牙を抜かれた腑抜けのように見える。
そんな武松は柴進の顔を見るなり、地に伏して、拝礼した。
……門の外で血にまみれて倒れ、手当をしてやっても怒鳴り散らした武松とは、別人だった。
「罪人の身でありますが拝顔させていただきます。小旋風柴進様の、格別のご厚情とご庇護を預かり、誠に御礼申し上げます」
「構いません。顔を上げなさい。色男の顔に凍傷を負わせたくありません。……わたくしより先に、宋江殿に何かとご指導を貰えたようですね? 良かったですわ」
頷く武松に、柴進は内心ガッカリした。
荒々しく牙を向く男だからこそ屋敷に受け入れた柴進としては、あまり面白くない反応だからだ。
落胆した。さっさとこの屋敷から去らせよう。
武松に興味を失った柴進がそう考えていると、挨拶を終えた武松が首を傾げる。
そのまま、謎の言葉を繰り出した。
「なんで柴進様は『宋江様』と呼ばないのですか?」
……それを聞いた柴進はもちろん、隣に居た宋江も素っ頓狂な声を上げる。
そんな声を上げられた武松も、驚いて目を丸くした。
「……わたくしが、『宋江様』とお呼びしないことに、何か?」
「問題でしょう? 宋江様はこの上ないほど聖人で良い御方だ。無礼極まりない俺を救ってくださった。第二の兄として尊敬している。女達にも無償で手を貸すほどで、そしてあんたは……いや、失礼、貴方は宋江様よりどう見ても年下なのに、礼儀を尽くさないなんて。あっ、何か理由があるのですか?」
敬語を使って頭を下げている。
だがそれだけで、武松の目は、『若干の敵意』すら含んでいた。
その敵意は、『敬愛する宋江』あってこそのもの。
……隣で聞いていた宋江は、大慌てで武松と柴進の間に入った。
「わ、私はただの一般庶民ですからっ! 大周皇帝の血筋、今世の孟嘗君とも言われる柴進様のような御方に、そんな、そんなっ……!」
それを聞いた武松は、暫し宋江の顔を静かに見つめた後、
「……もしかしてこの女、ただのでかい家に住んでる金持ちじゃないのか?」
と、何を今更という発言をする。
皇女が支配する敷地に居るにも関わらず『この女』呼ばわりは、生まれて初めて。
皇族であれ説教をする宋江という異分子を気に入った柴進にとって、武松の一言は、腹が捩れるほどのツボに入った。
あまりに笑い過ぎた柴進を見た家人達は皆、
「怒っているのか本気で笑っているのか、さっぱり判らない」
と怯えながら、機嫌取りのように宴を開くことにした。
断ろうにも、「宋江と武松が快調した祝い」とされては出席しない訳にいかない。
宴の席では当然のように宋江の隣に柴進が座り、そして逆隣には、身を寄せるように武松が座った。
酒を煽る柴進は、楽しそうに武松と話をする。
武松も一見、何事も無く愉快な話をした。
だが時折、相手を選ばぬとんでもない発言をするので、宋江は肝を冷やした。
「あー、笑いました笑いました。青くなったり赤くなったりする宋江殿が、いえ、宋江様が面白いですわ。一人でお色直ししているみたい」
「柴進様……お戯れを……」
酒宴の半分は、宋江をからかうためのようなものだった。
宋江は一喜一憂しながらも、酒を飲む。
回復した体に流し込む高級酒は絶品。
そして一触即発だった柴進と武松は、なんだかんだ話が盛り上がり、やはり柴家の宴はいつも通り楽しいものとなった。
「宋江様と武松に、衣装でも仕立ててあげなさい。旅するときの晴れ姿にどうぞ」
宴の最後に柴進は使用人に命ずると、倉から秘蔵の織物を出させた。
酔っ払った二人は、あっという間に人前で衣服を剥がれ、採寸を測られる。
相変わらず常識に囚われない人柄に、宋江は笑うしかなかった。
――夜遅くまで続いた宴が終わり、雪掻きを終えた庭道を歩く。
書院に向かう夜道でも、武松は宋江から離れない。
互いに酔っていたので、体を支えるため、寄り添っていた。
「武松は、旅をよくするのかい?」
柴進の言葉を思い出した宋江は、酒で惚けた顔のまま、問う。
薬を飲むため水を飲んだが、頭はいつも以上に軽い。
やや千鳥足の武松は、酔っているせいか普段より大きな声で頷いた。
「旅は、よくしました。兄のところに居たくなくて、あちこち歩き回っていました」
「ああ、武松にはお兄さんがいるって言っていたな」
「……いました、です」
その一言で、宋江は正気に戻る。
武松本人は気にした風ではないが、長くは語らなかった。
兄の話題でなくても、武松は自分自身を多く語りたがらない。旅をしていた以上の言葉は、続かなかった。
「宋江様は、旅行はお好きですか」
だから必然的に旅の話は、宋江が受け持つことになる。
「……遠出は、したことないんだ」
「どうして」
「どうして、か。体が弱くて、つい最近まで……自宅で籠りっきりの生活を送っていたから。外に出られるようになった後は、懸命に働いて……」
地下室から出た後も、薬を飲んでいるとはいえ、無駄な外出は控えていた。
下級役人として働くために街で一人暮らしを始めてからも、ただひたすらに人の為になるべく働き、休日は全て発情期に潰された。
そんな働き漬けの日々を送っていると、見かねた父と弟が、宋家で働く女中を「妻にしろ」と押し付けた。
成人した男が妻も持たないのは格好がつかないと言われ、実際家事をしてくれる者がいたら助かったので、結婚を受け入れた。
結婚してからは、休日を楽しむことも増えた。
妻という名の使用人ではあったが、家族になろうと愛を囁き、抱き合うこともあり、穏やかな日々が多くなった。
その生活も、一年もせずに終わる。
悲しみのあまり、仕事に没頭した。
すると、同僚達と過ごす時間が増え……。
「……友がいたから、釣りに行ったり、演劇を観に行ったりした。誰かと話すことが好きだから、近所の人達とたくさん酒盛りをしたよ。……でも、遠くに行くことは、できなかった。……毎日必死だったからかもしれないな……」
「どこか行きたい場所はありませんか」
遠くを見つめて友二人を思い浮かべる宋江に、武松が尋ねる。
首を振るい、特に思い当たらないと告げた。
外の世界に何があるのか、世間知らずの宋江には判らない。だからパッと思いつかなかった。
「じゃあ何か、今、してみたいことはありませんか」
寝室として使っている書院に到着し、武松が寝床へと導く。
体を冷やさないようにと何重にも掛け布団を重ねて、就寝の準備を始めた。
今夜の武松は、面倒見の良い弟のようだった。
束ねていた髪を解きながら、思案する。
「花が見たい。……かもしれない」
呟いたのは、とても長い時間、思案した末のことだった。
――春になるたびに、幼馴染の家に向かった。
暖かくなった春の中、幼い宋清と花栄を両手に連れて駆け回るのが好きだった。
元気な弟達に引っ張られながら、山菜を獲りに行ったり、川で綺麗な石を探して積んだり、野原を摘んで遊ぶ光景が、今も心の中で鮮明に思い描ける。
「なら、晴れ着を仕立てられたら、花を見に行きましょう」
「はは……着物は柴進様のご命令なら、すぐに仕上がるぞ。まだ花は咲かない」
「雪の中でも咲く花はあります。前に旅の途中で見ましたので、行きますか」
「武松は物知りだな。……案内、してくれるのかい?」
宋江の寝台に武松が腰掛け、手招きする。
手招きされて、そのまま近づこうとして……止まった。
そういえば昨夜、武松にしなければならない話を思いついた。
なのにこの時間まで『武松を洗脳していた事実』を忘れていた。
自分の快楽の為に武松を巻き込んだというのに。今度は、自分の思い出の為に武松に案内をさせるつもりか。
いくらなんでも、こんなに縋ってよいものではない。
首を振るおうとする。
だが武松の大きな掌が宋江の腕を掴む。ぐいっと引き寄せられた。
無理矢理に座らされ、そのまま腕の中に閉じ込められてしまう。
引いた腕は強く、激しかったが、抱き締める腕は優しかった。
「案内します。今からでも、春になってからでもいい。花を見に行きましょう」
「あ……ありがとう、武松……」
穏やかな口調で抱き締められて、涙が滲んだ。嬉し涙が零れ落ちる。
武松は微笑み深呼吸をすると、流れる涙を拭うべく、優しく瞼に唇を寄せ……。
弾け飛ぶように、宋江は武松から後ずさった。
「……宋江様?」
「す、すまない。武松、先に寝ていてくれ。……厠に行かないと。その、飲みすぎたから寝る前に行っておかないと、な」
酔った足を引き摺りながら、逃げる。
小さな館の暗い廊下に、崩れ落ちるようにして、蹲った。
胸元に忍ばせていた薬を取り出し、一気に口へと放り込む。
(どうしてすぐに離れなかった? 本当の話をしなきゃだろう? 何を流されているんだ。私はまた、武松に香りを嗅がせて……涙を吸わせて……惑わす気か? また、私好みに狂わせる気か!?)
薬は適量以上飲むべきではない。
判っていた。それでも止められない。
あんなにも心根が優しい彼を、もう、獣のようにしたくはない。
血走り、涎を垂らし唸る理性なき獣になど、させたくはなかった。
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