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訪問客 一
しおりを挟むいつから夜で、いつから朝になったのかすら竹弥の朦朧とした意識では判断できない。
身体の節々がにぶく痛む。
どろどろと五体になにかがまとわりついているような気分だった。
(ああ、まただ……)
笑い声が聞こえてきた。
くすくすくす。
けらけらけら。
はははははは。
(誰かいるのか……)
たびたび感じていた。この屋敷には杉屋や自分以外に、なにかが潜んでいる気配を感じることがある。虫や鼠などではなく、感情を持ったなにものかの存在を意識するのだ。
そして、そのなにものかは、竹弥の様子を見ておもしろがっているのだ。なぜか、竹弥はそのことを確信していた。
なにかがいて、自分を観察し、おもしろがっている……。
そんなことを考えている自分を、馬鹿々々しいと笑う余裕はなかった。
どうにかぼんやりと開けた目には、天井の木目が見える。その木目が恐ろしい化け物の顔のように見えてくる。
(よくある話だな)
布団の上に身を起こしながら、竹弥は自嘲の笑みをこぼした。
誰しも子どものころは、木目や壁の染みを不思議な生き物に変えて、怖れたり面白がったりしただろう。
竹弥は、どうにか身を起こした。
辺りは薄暗い。夕暮れなのか、もしくは夜明け前なのか。昼でないことだけは確かだ。
額に汗を感じる。
だるい身体であたりを見渡してみると、室の隅の和机の上に水差しとガラスのコップが置かれてあるのが目に入った。薄闇にも涼やかに光るガラスのコップを見た瞬間、竹弥はひどく喉がかわいてきた。
にじり寄るようにして和机の側に行くと、震える手つきで水をコップにそそぎ、一口飲み干す。
冷えてはいないのが、かえって飲みやすく、二口、三口とつづけて飲む。
息がつけた。少し発熱しているのか、ひどくだるい。
(俺、何していたんだ……?)
最初は本当に思い出せなかった。
おぼろな記憶が少しずつ蘇ってきて、今までのことがすべて脳裏に浮かんだ。次の瞬間には、はげしい羞恥と怒りが胸にこみあげてきた。
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