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強風 三
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この家には蔵のほかにも物置や押入に、いろいろ古い道具があり、どれもそれなりに価値あるもので、あまり触れないで欲しいと伊能から言われたのを思い出す。
(特に、蔵には絶対に入らないでくださいよ。下手に触れると危険ですからねぇ)
念を押すようにそう言われもした。入るなと言われても、大きな錠前がとりつけられており、入りようがないじゃないか、と竹弥は聞きながしていたが。
「でも、鍵がかかってますけれど」
伊能の家に電話して鍵を持ってきてもらおうか、それとも自分が取りに行った方が早いだろうかと一瞬悩むと、相手はうす汚れた黒い作業ズボンのポケットから、得意げに鍵束を取りだした。
「預かってますよ」
片頬をゆがめて、陽に焼けてうっすらと鳶色めいてかがやく顔は、遊び過ぎた子どものようで、竹弥は一瞬、見惚れた。
「そ、それじゃ、お願いします」
自分や伊能の名を知っており、鍵も持っているぐらいなのだから、まず間違いはないだろう。
「ええ。では」
「あ、俺も行きます」
言うとあっさり背を向けた相手を追いかけるように、竹弥はあわてて縁側を下りて靴下のまま、踏み石の上にあった下駄をはいた。
(特に、蔵には絶対に入らないでくださいよ。下手に触れると危険ですからねぇ)
念を押すようにそう言われもした。入るなと言われても、大きな錠前がとりつけられており、入りようがないじゃないか、と竹弥は聞きながしていたが。
「でも、鍵がかかってますけれど」
伊能の家に電話して鍵を持ってきてもらおうか、それとも自分が取りに行った方が早いだろうかと一瞬悩むと、相手はうす汚れた黒い作業ズボンのポケットから、得意げに鍵束を取りだした。
「預かってますよ」
片頬をゆがめて、陽に焼けてうっすらと鳶色めいてかがやく顔は、遊び過ぎた子どものようで、竹弥は一瞬、見惚れた。
「そ、それじゃ、お願いします」
自分や伊能の名を知っており、鍵も持っているぐらいなのだから、まず間違いはないだろう。
「ええ。では」
「あ、俺も行きます」
言うとあっさり背を向けた相手を追いかけるように、竹弥はあわてて縁側を下りて靴下のまま、踏み石の上にあった下駄をはいた。
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