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新たな影 五
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夜、といっても七時にはならないころで、まだうっすらと空は墨に白をまぜたような、初夏の夜独特のほのかな薄闇をつくりだしている。
「な、なにするのさ、ここで?」
と言う竜樹の顔は心なしか赤くなっている。
「馬に乗るんだよ。ちゃんと許可は取ってあるさ。走らせるのは駄目だが、乗るぐらいならいいと、ね」
「の、乗るって、あの?」
「ほら、来い。ここで待っていろ」
言うと、須藤は厩舎へ向かい、しばらくして一頭の馬をひっぱってきた。
今朝方、あの厩舎となる小屋で鈴希と小島の行為を見てしまった竜樹は、そのときのことを思い出して身体がほてってくる。
「どう、どう」
栗色の馬はやすらいでいたときに外へひっぱりだされたせいか、やや機嫌が悪そうだが、それでも薄闇に黒曜石のように光る目は、ふしぎなほどに澄んでいて美しい。
「よしよし」
須藤は馬の鬣を撫でて落ち着かせながら、手際よく鞍を装着していく。さすがにもとは華族の若君だけあって馬術には親しんでいたのだろう。
「さ、できた。よし、乗るぞ、竜樹」
「あ、うん」
竜樹は馬に乗るのははじめてだ。緊張したが、それでも未知の経験に少年らしく目をかがやかせた。だが、
「なにしている、早く準備しろ」
「え?」
意味がわからずぽかんとしている竜樹に、須藤は例の悪魔の微笑を見せた。
「ほら、早く服を脱げよ」
「な、なにするのさ、ここで?」
と言う竜樹の顔は心なしか赤くなっている。
「馬に乗るんだよ。ちゃんと許可は取ってあるさ。走らせるのは駄目だが、乗るぐらいならいいと、ね」
「の、乗るって、あの?」
「ほら、来い。ここで待っていろ」
言うと、須藤は厩舎へ向かい、しばらくして一頭の馬をひっぱってきた。
今朝方、あの厩舎となる小屋で鈴希と小島の行為を見てしまった竜樹は、そのときのことを思い出して身体がほてってくる。
「どう、どう」
栗色の馬はやすらいでいたときに外へひっぱりだされたせいか、やや機嫌が悪そうだが、それでも薄闇に黒曜石のように光る目は、ふしぎなほどに澄んでいて美しい。
「よしよし」
須藤は馬の鬣を撫でて落ち着かせながら、手際よく鞍を装着していく。さすがにもとは華族の若君だけあって馬術には親しんでいたのだろう。
「さ、できた。よし、乗るぞ、竜樹」
「あ、うん」
竜樹は馬に乗るのははじめてだ。緊張したが、それでも未知の経験に少年らしく目をかがやかせた。だが、
「なにしている、早く準備しろ」
「え?」
意味がわからずぽかんとしている竜樹に、須藤は例の悪魔の微笑を見せた。
「ほら、早く服を脱げよ」
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