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若葉 一
しおりを挟む「具合……どう?」
声をかけられて、リィウスは重い身体で寝がえりを打った。頭がくらくらするのは、体調のせいではなく、昨夜されたことにたいする精神的打撃のせいだろう。
それでも、どうにか寝台の上に身を起こすと、声をかけてきた相手がおずおずと皿を差し出した。
「これ、食べれる?」
ヒヨコ豆を煮て魚醤で味付けしたものだ。食欲はまったく無いが、自分を見つめる相手の、澄んだ緑の目からにじみ出る好意を感じ取って、リィウスもまたおずおずと手を伸ばし皿を受け取った。
「はい、お水」
まるで幼子の世話をするようにリィウスの世話をやく。
青銅の杯に満たした清水を、一口飲んでみてから、リィウスはぶっきらぼうに礼を言った。相手は頬を染めた。
「おまえの名はなんという?」
なかなか匙を手に取る気がしないリィウスは、場をつくろいたく話しかけてみる。
「あたし? コリンナ」
「おまえはここで働いているのか?」
「うん」
「タルペイア付きの召使か?」
館に仕える奴隷かとリィウスは見当をつけたが、ちがっていた。
「ううん。召使じゃなくて、娼婦」
「……おまえは娼婦なのか?」
目を見張っていた。
「おまえ、歳はいくつなのだ?」
「このまえ十三になったわ」
見た目にはもうすこし年上のようの見えたが、たしかにその目はひどくあどけない。
「もっと年下の子でも、この仕事をする子はたくさんいるわよ。皇帝は赤ん坊ほどの子と遊ぶというじゃないの?」
ませた口調でコリンナはそんなことを言う。
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「そんな他愛もない噂話を信じてはいけない」
リィウスは眉をしかめていた。
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