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凌辱の宴 九
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「は、はなせ! 来るな! 下がれ、下がれ、無礼者、私は帝国の伯爵だぞ!」
アベルの抗議の声を完全に無視して、カッサンドラは、いっそ優雅と呼びたいような足取りで近づき、舞を舞うかのような優艶な仕草で鎖をもちあげる。ジャラジャラ――とその音がやけに淫靡に広間にひびく。観客たちから受ける熱をふくんだ視線にアベルは息苦しさを覚えた。
極細の金の鎖はうねるように宙に揺れる。激しく抵抗するアベルだが、二人の宦官から両肩をおさえこまれ、逃げることもできず、カッサンドラによって手首に金の輪を嵌められてしまった。
「ああ!」
カチリ――。
というその音は、まさに地獄の扉が開いた音にアベルには思えた。
「ううう……」
さらにカッサンドラは、見せびらかすように首枷を高々とあげ、アベルの顔面にちかづけた。近くでよくみると、黄金の首輪には、蛇の図柄が彫りこまれている。両手を戒める二つの手枷にも同様の模様があることにアベルは気づいた。
「い、いやだ、やめろ! やめろ、私は伯爵だぞ!」
「いいえ、あなたは、今宵からグラリオン王の妻です。我が国では妻は夫に絶対服従なのです。御夫君が望まれることに従わねばなりません」
魔女の訓戒にアベルは吐き気すら覚えた。
「下がれ、売女!」
カッサンドラは眉ひとつ動かさず、満開の紅薔薇のような笑顔のまま、極細の金鎖をひっぱる。
彼女の細い指の動きにあわせて、アベルの首に金の輪が食い込む。
「うう!」
さらに鎖は両手にもつながっている。
「陛下、今花嫁をお連れします」
「ふむ。じゃが、遅参の罰を与えねばなるまい」
「はい。では、鞭で打ちましょうか?」
訊いたのはハルムだったが、王はカッサンドラを見、つぎに屈辱に震えて頬を燃やしているアベルをその漆黒の瞳で睨んだ。黒い夜を閉じこめたその目の奥で、魔性の火が燃えたつのを、ハルムのみならずアベルも感じた。
アベルは背がこわばるのを自覚したが、己の目に命を賭ける想いで異国の王を睨みかえした。
(鞭など恐れはしない。……負けるものか。私はアベル=アルベニス伯爵だ。異教徒の暴君になど屈しはしない)
アベルの抗議の声を完全に無視して、カッサンドラは、いっそ優雅と呼びたいような足取りで近づき、舞を舞うかのような優艶な仕草で鎖をもちあげる。ジャラジャラ――とその音がやけに淫靡に広間にひびく。観客たちから受ける熱をふくんだ視線にアベルは息苦しさを覚えた。
極細の金の鎖はうねるように宙に揺れる。激しく抵抗するアベルだが、二人の宦官から両肩をおさえこまれ、逃げることもできず、カッサンドラによって手首に金の輪を嵌められてしまった。
「ああ!」
カチリ――。
というその音は、まさに地獄の扉が開いた音にアベルには思えた。
「ううう……」
さらにカッサンドラは、見せびらかすように首枷を高々とあげ、アベルの顔面にちかづけた。近くでよくみると、黄金の首輪には、蛇の図柄が彫りこまれている。両手を戒める二つの手枷にも同様の模様があることにアベルは気づいた。
「い、いやだ、やめろ! やめろ、私は伯爵だぞ!」
「いいえ、あなたは、今宵からグラリオン王の妻です。我が国では妻は夫に絶対服従なのです。御夫君が望まれることに従わねばなりません」
魔女の訓戒にアベルは吐き気すら覚えた。
「下がれ、売女!」
カッサンドラは眉ひとつ動かさず、満開の紅薔薇のような笑顔のまま、極細の金鎖をひっぱる。
彼女の細い指の動きにあわせて、アベルの首に金の輪が食い込む。
「うう!」
さらに鎖は両手にもつながっている。
「陛下、今花嫁をお連れします」
「ふむ。じゃが、遅参の罰を与えねばなるまい」
「はい。では、鞭で打ちましょうか?」
訊いたのはハルムだったが、王はカッサンドラを見、つぎに屈辱に震えて頬を燃やしているアベルをその漆黒の瞳で睨んだ。黒い夜を閉じこめたその目の奥で、魔性の火が燃えたつのを、ハルムのみならずアベルも感じた。
アベルは背がこわばるのを自覚したが、己の目に命を賭ける想いで異国の王を睨みかえした。
(鞭など恐れはしない。……負けるものか。私はアベル=アルベニス伯爵だ。異教徒の暴君になど屈しはしない)
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