118 / 184
宮廷の獣たち 六
しおりを挟む
公爵がアベルの右足を引き上げ、強引に身体を反転させたのだ。すごい力だ。
「ああ!」
アベルは台の上に押し上げられるかたちになり、エンリケが驚いているうちに、台上で四つん這いの姿勢を強要されていた。
青白いような月光が、さらに青白く見えるアベルの肌を、かすかに照らす。
真珠のように冷ややかに見える臀部が、武骨そうな公爵の手によって押し上げられる。
「うっ、うう……!」
アベルは苦しい姿勢で必死にあらがっているようだが、しばし拮抗していた公爵の両手とアベルの尻は、やがては手によって、さらに押し上げられていく。
「はぁっ……!」
海の底をおもわせるような室内で、それこそ深海にうずもれていたような真珠を思わせる肌が、恐ろしいほどに妖しく闇に光る。
エンリケは、この闇夜にまぶしいものを見たような錯覚を感じた。
「はぁ……! ああっ、あっ、やめ、やめてくれ!」
公爵の両手が、アベルの尻に圧力をかけているようだ。
アベルは泣きじゃくった。
我知らずエンリケは身体をふるわせていた。
今、見ているものが信じられない。
アベル=アルベニス伯爵が、泣きじゃくっているのだ。
今、ほんの少し先で……、それこそ数歩でたどりつく場所で、世にも淫らな影絵を見せているのは、本当にエンリケの知っているアベル=アルベニス伯爵なのだろうか。
御前試合でエンリケを完膚なきまでに打ちのめした、帝国有数の勇士なのだろうか。
さかりのついた雌犬のような姿勢で、なおもアベルは泣きつづけている。
アベルがあんな格好をしていること自体が、エンリケには信じられない。
グラリオンのできごとは父アビラ子爵から聞いてはいたが、心のどこかでは否定していたのかもしれない。アベルが、自分の知っているアベルが、あれほど淫猥なことをされるわけがない、と。純白の薔薇が、かつて泥に染まっていたことが信じられないのだ。
「ああ!」
アベルは台の上に押し上げられるかたちになり、エンリケが驚いているうちに、台上で四つん這いの姿勢を強要されていた。
青白いような月光が、さらに青白く見えるアベルの肌を、かすかに照らす。
真珠のように冷ややかに見える臀部が、武骨そうな公爵の手によって押し上げられる。
「うっ、うう……!」
アベルは苦しい姿勢で必死にあらがっているようだが、しばし拮抗していた公爵の両手とアベルの尻は、やがては手によって、さらに押し上げられていく。
「はぁっ……!」
海の底をおもわせるような室内で、それこそ深海にうずもれていたような真珠を思わせる肌が、恐ろしいほどに妖しく闇に光る。
エンリケは、この闇夜にまぶしいものを見たような錯覚を感じた。
「はぁ……! ああっ、あっ、やめ、やめてくれ!」
公爵の両手が、アベルの尻に圧力をかけているようだ。
アベルは泣きじゃくった。
我知らずエンリケは身体をふるわせていた。
今、見ているものが信じられない。
アベル=アルベニス伯爵が、泣きじゃくっているのだ。
今、ほんの少し先で……、それこそ数歩でたどりつく場所で、世にも淫らな影絵を見せているのは、本当にエンリケの知っているアベル=アルベニス伯爵なのだろうか。
御前試合でエンリケを完膚なきまでに打ちのめした、帝国有数の勇士なのだろうか。
さかりのついた雌犬のような姿勢で、なおもアベルは泣きつづけている。
アベルがあんな格好をしていること自体が、エンリケには信じられない。
グラリオンのできごとは父アビラ子爵から聞いてはいたが、心のどこかでは否定していたのかもしれない。アベルが、自分の知っているアベルが、あれほど淫猥なことをされるわけがない、と。純白の薔薇が、かつて泥に染まっていたことが信じられないのだ。
0
お気に入りに追加
76
あなたにおすすめの小説
ずっと女の子になりたかった 男の娘の私
ムーワ
BL
幼少期からどことなく男の服装をして学校に通っているのに違和感を感じていた主人公のヒデキ。
ヒデキは同級生の女の子が履いているスカートが自分でも履きたくて仕方がなかったが、母親はいつもズボンばかりでスカートは買ってくれなかった。
そんなヒデキの幼少期から大人になるまでの成長を描いたLGBT(ジェンダーレス作品)です。
魔族に捕らえられた剣士、淫らに拘束され弄ばれる
たつしろ虎見
BL
魔族ブラッドに捕らえられた剣士エヴァンは、大罪人として拘束され様々な辱めを受ける。性器をリボンで戒められる、卑猥な動きや衣装を強制される……いくら辱められ、その身体を操られても、心を壊す事すら許されないまま魔法で快楽を押し付けられるエヴァン。更にブラッドにはある思惑があり……。
表紙:湯弐さん(https://www.pixiv.net/users/3989101)
双葉病院小児病棟
moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。
病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。
この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。
すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。
メンタル面のケアも大事になってくる。
当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。
親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。
【集中して治療をして早く治す】
それがこの病院のモットーです。
※この物語はフィクションです。
実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。
部室強制監獄
裕光
BL
夜8時に毎日更新します!
高校2年生サッカー部所属の祐介。
先輩・後輩・同級生みんなから親しく人望がとても厚い。
ある日の夜。
剣道部の同級生 蓮と夜飯に行った所途中からプチッと記憶が途切れてしまう
気づいたら剣道部の部室に拘束されて身動きは取れなくなっていた
現れたのは蓮ともう1人。
1個上の剣道部蓮の先輩の大野だ。
そして大野は裕介に向かって言った。
大野「お前も肉便器に改造してやる」
大野は蓮に裕介のサッカーの練習着を渡すと中を開けて―…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる