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訪問者 六
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公爵がにやにや笑う。癖のある、嫌な笑い方だった。
「気を付けてくれよ。こんな、女神のような美しい人を傷つけるなんて許されない。俺があとで、もう一度、ちゃんとした縛り方を教えてやるよ」
オルティスはあらためてバルバラを見て、あらためて彼女が名うての娼婦だということを思い出した。
一見、無邪気で天真爛漫に見える彼女だが、こういうことを平然と言うところからして、普通の女ではない。
アベルもぎょっとした顔になってバルバラを見ている。
「ああ……、なんて美しい肌だろう。ずっと、こんな綺麗な人と遊んでみたかったんだ……」
バルバラの熱をふくんだ碧眼が、アベルの怜悧な碧眼を見つめる。
そこに一瞬、碧の火が爆ぜたようだ。
「ああ……欲しい」
バルバラは恍惚とした表情になると、アベルの半ばあらわになっている胸をさわる。
「よ、よせ!」
連日、公爵の度を越したいたぶりに翻弄され、感情が麻痺していたようなアベルだが、女の手に触れられることによって、久々に意識がはっきりと覚醒したようで、嫌悪をあらわにした。
「怖い目……。ふふ、綺麗な人は怒っても美しいのだね。ますます欲しいな」
バルバラが両手をひろげて、アベルの細い身体を抱きしめようとする。
いくらアベルが痩身でも、男の身体はバルバラの身体よりかは大きい。それでいて、傍で見ているオルティスの目には、バルバラがアベルを抱きすくめているように映るのだ。
「よ、よせ、触るな……!」
「ああ、なんて良い匂いだろう。酸っぱいような、甘いような。いやらしい匂いも混じっていて、たまらない。なんだか、癖になってしまいそうだ」
「は、離れろ!」
焦ってもがくアベルを、公爵は面白そうに見ている。
「ねぇ、公爵、はやくやろうよ。縄はあるかい?」
バルバラのあっさりとした言葉に、アベルはまたぎょっとした顔になった。
「ああ。ちゃんとお姫様にふさわしい絹紐だ」
「さすが、用意がいいね」
「気を付けてくれよ。こんな、女神のような美しい人を傷つけるなんて許されない。俺があとで、もう一度、ちゃんとした縛り方を教えてやるよ」
オルティスはあらためてバルバラを見て、あらためて彼女が名うての娼婦だということを思い出した。
一見、無邪気で天真爛漫に見える彼女だが、こういうことを平然と言うところからして、普通の女ではない。
アベルもぎょっとした顔になってバルバラを見ている。
「ああ……、なんて美しい肌だろう。ずっと、こんな綺麗な人と遊んでみたかったんだ……」
バルバラの熱をふくんだ碧眼が、アベルの怜悧な碧眼を見つめる。
そこに一瞬、碧の火が爆ぜたようだ。
「ああ……欲しい」
バルバラは恍惚とした表情になると、アベルの半ばあらわになっている胸をさわる。
「よ、よせ!」
連日、公爵の度を越したいたぶりに翻弄され、感情が麻痺していたようなアベルだが、女の手に触れられることによって、久々に意識がはっきりと覚醒したようで、嫌悪をあらわにした。
「怖い目……。ふふ、綺麗な人は怒っても美しいのだね。ますます欲しいな」
バルバラが両手をひろげて、アベルの細い身体を抱きしめようとする。
いくらアベルが痩身でも、男の身体はバルバラの身体よりかは大きい。それでいて、傍で見ているオルティスの目には、バルバラがアベルを抱きすくめているように映るのだ。
「よ、よせ、触るな……!」
「ああ、なんて良い匂いだろう。酸っぱいような、甘いような。いやらしい匂いも混じっていて、たまらない。なんだか、癖になってしまいそうだ」
「は、離れろ!」
焦ってもがくアベルを、公爵は面白そうに見ている。
「ねぇ、公爵、はやくやろうよ。縄はあるかい?」
バルバラのあっさりとした言葉に、アベルはまたぎょっとした顔になった。
「ああ。ちゃんとお姫様にふさわしい絹紐だ」
「さすが、用意がいいね」
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