21 / 25
21日目
赦されなかった血筋
しおりを挟む白い洋服が土で汚れ、絶望の縁に落とされた
綺麗な顔の人。こんな時代でも幸せだったのだろう。落胆や悲痛さが泣いている声で分かる。
そして泣き止んだと思ったその矢先
次は腹を抱えて苦しみ出した。
一体なんだ?と思い見ていると
その人は青い目の仲間の子を身篭っていた。
ぶかっとした服で気が付かなかった。
いや、気付かれないようにそんな服を着ていたのであろう。察しがついた。
周りの人が女を抱えて
建物の中へと消えていく。
俺はこの日、空いている建物で
久しぶりに屋根のある家という場所で
寝ることが出来た。生きている感じがした。
明朝、近くから元気な赤ん坊の声が
聞こえてきた。生まれたのか。
今まで骸を埋めることしかできなかった俺が
生命の誕生を肌で感じれる時が来るとは
思ってもいなかった。誰かが生まれ、誰かが死にゆく。そうやってこの世の中は出来ている。
これは死神と呼ばれる日までの記録。
死を慈しむカミサマのお話。
0
お気に入りに追加
0
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる