死神になった日

いとま

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21日目

赦されなかった血筋

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白い洋服が土で汚れ、絶望の縁に落とされた
綺麗な顔の人。こんな時代でも幸せだったのだろう。落胆や悲痛さが泣いている声で分かる。

そして泣き止んだと思ったその矢先
次は腹を抱えて苦しみ出した。
一体なんだ?と思い見ていると
その人は青い目の仲間の子を身篭っていた。

ぶかっとした服で気が付かなかった。
いや、気付かれないようにそんな服を着ていたのであろう。察しがついた。

周りの人が女を抱えて
建物の中へと消えていく。
俺はこの日、空いている建物で
久しぶりに屋根のある家という場所で
寝ることが出来た。生きている感じがした。

明朝、近くから元気な赤ん坊の声が
聞こえてきた。生まれたのか。
今まで骸を埋めることしかできなかった俺が
生命の誕生を肌で感じれる時が来るとは
思ってもいなかった。誰かが生まれ、誰かが死にゆく。そうやってこの世の中は出来ている。

これは死神と呼ばれる日までの記録。
死を慈しむカミサマのお話。
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