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6日目
鏡
しおりを挟む今日も迎えた日。
焼け野原に伸びる朝焼け。
目を細め、この何も無い世界に
日出ずる国の変わらない姿を映す。
水道管がまだ生きてる場所へ着いた。
冷たい綺麗な透明は勢いよく吹き出した。
それを零さまいと、乾いていた体内へ
流し込む。これさえも味があると思えるほど、ろくな物を食べていなかった。
近くには配給場所があるらしい。
重い身体とスコップを引きづりながら
それらしき場所へと向かう。
ご飯のいい香り。炊き出しがある。
こんなご時世でも米や味噌汁に
ありつけるとは、まだ運はあるらしい。
薄汚れた服で列に並ぶ。
渡されたのはおもゆと
味噌が入ってるかも分からない味噌汁。
しかし温かい。こんなにも身に染みるなんて。思ってもなかった。助かった。
満足した俺は食休みをしようと
程よい場所を探そうと体を起こす。
ふと目を寄越すと親の骸にしがみついて
泣きじゃくる子供。まだ4つぐらいだろうか。蝿や蛆虫が沸く母親だったもの。
残された1人。それを見て自分を映しているかのような感覚になり、虫酸が走った。
手伝え。
と一言、まだ幼い鏡の主に伝える。
1度びっくりしたような顔をして
穴を掘った場所へその小さな身体で
一生懸命引きづり、一緒に埋葬した。
一緒に手を合わせた。何故だか口元が震えた。
一人の男の頭に掌を置いて別れを告げた。
ばいばい。と。しゃがれた声で
後ろから優しい言葉を突き刺した。
これは死神と呼ばれる日までの記録。
死を慈しむカミサマのお話。
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