死神になった日

いとま

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3日目

精神異常

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終戦をしてから日が経っているというのに、
空爆で燃えた家や人の匂いが残っている。
酷い匂いだ。人を埋葬する時の腐敗臭も
中々のもんだが、燃える臭いも鼻にツンっとくる。感覚的に胃が浮あがるようなそんな
不快感が体を走り抜ける。

いずれは慣れていく。
臭いも骸も。人と言うのはそうやって
上手くやる生き物だ。吐き気をもよおすような、そんな場面でさえ、ツバと一緒に体に飲み込めば何事も次には過ぎたことになる。

そうやっていつものように
骸を見つけては土を掘り埋葬する。
手を合わせる。そんな作業だ。
いつも通り掘っては埋める。
見ず知らずの無念の塊を。

すると鉄製のスコップに何やら
小さな石が当たる音がした。
その音を皮切りに、俺の後ろから
無数の石と、多種多様な罵倒が飛んできた。

《バチあたり!》

《悪魔!バケモノ!》

《墓荒らし!》

《異常者!》

散々言われた。まるで恩を仇で返される
そんな感覚に似ていた。無論、俺が
したいようにしているし頼まれた訳でもない。俺のしたいようにしてるだけ。
だが、悪いことはしていないはずだ。
俺の何がいけないのだろうか。

これは死神と呼ばれる日までの記録。
死を慈しむカミサマのお話。
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