「いなくなれば」

いとま

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「いなくなれば」

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「いなくなれば」

お前なんていなくなればいい。
そんなことを常に思い。
私は見えないナイフを利き手と逆の手に持ち
自分を守るために強く握って離さないんだ。

なにもかも嫌だった。
学校も人間も全部、全部嫌だった。
嫌なものは逃げずに私はその握ったナイフで
刺してやるんだ。そうすれば目の前の
相手は倒れもう二度と起き上がらないから。

でもそんなことは出来ない。
そんな私が1番臆病だからだ。
臆病だからこそ利き手と逆の手に持った
見えない弱さを強さに見せかけて
自分を守っているのだ。

みんないなくなればいい。
そんなことを願いながら
自分の掌に押し付けたナイフの刃が
食い込み血が垂れる。そんなに深くは
刺さらないが血が出るのを見て
私は何故か安心した。まだ生きているんだな。まだ血は通っているんだなと。

私は生きていたい。
そんな当たり前のことを思うのが
馬鹿らしくなった。でも死ぬのは怖い。
だから無意識に自分の身を守り
自分の身を削っていくんだ。
だから

私がいなくなればいい。
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