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<< 番外編 >>
兄と弟の話 (1) *
しおりを挟む2つ上の兄が大好きだった。
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それでも特に寂しいと思わずグレもしなかったのは、兄の存在が大きかったのだろうと思う。
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それが嬉しいのか怖いのか、ワクワクしているのかドキドキしているのか……自分でも良く分からない。
分からないけれど、今ここで愛する妻に聞いて欲しい、心の澱を打ち明けたいと、ただそう思ったんだ……。
*
ニューヨークのマンハッタン、高層ビルが立ち並ぶミッドタウンウエストにそびえるシルバーのタワー。
60階建ての建物の50階にあるマンションの寝室で目を覚ますと、朝哉の腕枕ですやすやと眠る愛妻の寝顔が、すぐそこにあった。
ーーああ、幸せだなぁ……。
あまりにも月並み過ぎる言葉だけれど、ニューヨークでの新婚生活初日ともなると、感想はコレしか無い。
うん、とにかく幸せなのだ。
昨日の午後JFK空港に到着した朝哉と雛子は、会社が手配したリムジンで、新居となるこのマンションに到着した。
すぐにシャワーを浴びると、まだシーツも掛かっていないキングサイズのベッドにブランケットをバッと広げて飛び乗って、バスローブ姿の雛子を押し倒した。
「えっ、まだ明るいのに……するの?」
「うん、シたい。駄目? 飛行機の中ではちゃんと我慢しただろ?」
「そんなの当然でしょ」
「ええっ!ヒナは嫌なの? 引っ越し初日の一発目なんだよ? 記念すべき日なんだよ? そんなの結ばれたいに決まってるじゃないか。そう思うのって俺だけ?」
雛子の顔を囲むように両手をついて上から見下ろせば、彼女はクスッと笑って呆れたように口を開く。
「もう……馬鹿ね、朝哉だけじゃないわよ。私だって嬉しいに決まってる。朝哉と一緒にニューヨークに住めることになって。夢みたい」
弧を描く口元に唇を寄せると、自然に目蓋が閉じられて、吐息が洩れる。
「んっ……あ…っ…」
「ふ……ヒナ、好き……大好き……俺の奥さん……」
唇に、頬に、耳朶に口づけて……耳元で囁きながらバスローブを肌蹴ると、湯上がりの肌が桃色に色づいて色香を振りまいている。
「甘い香りがする。美味そうだな」
白桃のような白い胸の膨らみをハムッと頬張り、右手はもう片方を揉みしだく。甘くて柔らかくて程良い弾力があって……。
指に吸い付く滑らかな感触に身震いしながら、捏ねて揉んで噛み付いて、夢中になって味わった。
「あっ……とも…や…」
鼻にかかった細い声。雛子が膝を擦り合わせている。分かっている。あっちが疼いて仕方ないんだろう。
さっきから昂ぶったモノを雛子の股に擦り付けていたから、クリが刺激されているに違いない。
そっと右手で触れてみれば、そこは既にグッショリと溢れていた。割れ目を開いて愛液を指に纏ってから、その上の蕾をツルリと撫でる。
「凄いな……もう大きくなってる。俺ので擦っただけでこんなになっちゃったんだ」
「嫌だ……そんなこと言わないで」
「可愛い……ご褒美にもっと気持ちよくしてやるな」
「あっ、ああっ!……いやっ、あっ……んんっ!」
腫れ上がった蕾を指の腹でクルクルと撫で回し、親指と人差し指で摘んでやると、包皮で隠れていたピンクが顔を出す。
そこをさらに激しくフルフルと揺らし、転がし、爪でカリッと引っ掻いてやると、雛子が嬌声を上げて腰を跳ねさせた。
「軽くイったな。……ヨかった?」
上半身を起こして雛子のソコがピクつくのを観察する。愛液を垂らしながら、蜜口と花芯が同時に痙攣している。絶景だ。
「ごめん、もう我慢できない」
本当は指を挿れてもう一度イかせてからのつもりだったけれど……このままじゃコッチが暴発しそうだ。出すなら雛子のナカがいい。
雛子の腰の下にバスタオルを敷き、カチカチの漲りにゴムを纏わせると、膝裏から抱え上げて広げたソコに、勢いよくブッ刺した。
「ああーーっ!あっ、やっ……は…っ」
「ヒナ……っ……はっ……気持ちいい…」
挿れてすぐに動きを止める。柔らかい肉壁がうねって包んで締めつけて、吐精を促してくる。
ーーヤバっ、挿れただけで持ってかれそうだ。
自分だけ先にイクなんて絶対に嫌だ。イクなら彼女を絶頂に導いてから……いや、せめて同時に……。
奥歯を食いしばり、ゆるゆると腰を動かす。
ゆっくりと回し、腰をぶつけて奥を刺激し、途中で雛子の感じる所を擦り上げる。
「あっ、ソコ駄目……感じちゃう……」
ーー感じるトコロを狙ってるんだよ。
天井の少しザラつく一点をカリで引っ掻き、肉棒でしつこく擦る。
締め付けが強くなる。ヤバイ、そろそろ限界だ。
右手で腰を抱え上げながら、左手の指で蕾をグッと押して転がす。嬌声が上がる。
「中と外同時はダメっ! もうっ……もうイっちゃうから……っ」
「いいよ……一緒に行こ……っ」
フィニッシュだ。
両手で膝裏を抱え上げ、ギリギリまで引き抜いたモノを子宮口目掛けて勢いよく叩きつける。
「ああっ!……ああっ、ああ……嫌ぁ、イク…っ」
ナカがギュウッと締まった。
ーーよしっ!
パンッ! パンッ、パン……
あとは無我夢中で腰を振り、ひたすら己の快感を追求する行為に没頭した。
「うっ……は……イク…っ…」
ブルッと背中を震わせて、勢いよく精を吐き出す。日本からの移動の約1日ヤれなかっただけなのに、どんだけ溜まってたんだってくらい、しばらく腰を押し付けて出し続けた。
漸く引き抜いて見たら、ビックリするくらいゴムに液体が貯まっていた。
ぐったりと横になり、雛子を抱き寄せる。汗ばんだ肌がくっついて、それが幸福感となる。
長旅の疲れも抜けないままの激しい行為で、肉体的にも限界が来ていたのだろう。時差ボケも手伝って、そのままシャワーも浴びずにぐっすり眠ってしまったのだった。
そして今、目を覚ますと、カーテンのついていない窓の外はまだ暗く、遠く煌めくビルの明かりが見えている。
スマホを見ると午前3時。
時差ボケ真っ盛りだ。ここは無理してでもまた目を閉じて寝る方がいいだろう。
腕の中でゴソリと頭が動いた。
見上げる瞳と目が合った。
「ごめん、起こしちゃった? スマホが眩しかったよな」
「ううん、グッスリ寝たから……ただの時差ボケね」
「ハハッ、俺も」
黙って見つめられて「んっ、どうした?」と額にキスしたら、
「朝哉……私、幸せ」
呟くように言われて、ついつい頬が緩む。
「ん……俺も、めちゃくちゃ幸せ」
額にかかった彼女の髪を掻き上げて、そのままゆっくりと撫でながら、ふと頭に浮かんだ事を口にする。
「俺って兄さんっ子でさ……」
「お兄さん……透さん?」
「うん、そう。来週こっちに来るだろう? 俺さ、兄貴がクインパスを継ぐって思ってたから、そうじゃないって分かった時、親に反抗してさ……」
もうすぐ兄が渡米してきて自分の部下となるからなのか、ニューヨークに来て感傷的になっているのか……雛子には聞いて欲しい、知っておいて欲しいと思った。
いや、優しい女神に全てを受け止めて欲しかったんだろう。
朝哉が大きく息を吸ってからゆっくり語り出すと、雛子は目を逸らすことなく大きな瞳でジッと見つめて先を促した。
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